『酒のほそ道 24』 (ニチブンコミックス)読了

酒のほそ道 24 (ニチブンコミックス)

酒のほそ道 24 (ニチブンコミックス)

あとがきは石井慧。私の中では、総合格闘技転向後名前を聞かなくなった若手柔道選手、
くらいの認識しかなかったですが、改めてWikipediaを読むと、現在は二足の草鞋で、
柔道米国代表を目指していて、
帯から下に触れることが全面禁止になった新ルールに対応できず
苦戦中とのことでした。

Wikipedia 石井慧
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E6%85%A7

このあとがきでも奔放に背伸びをしていて、斎藤先生との相克はいろんな余波だな、
と思いました。彼の北京五輪金メダル獲得時の斎藤先生発言を聞いて思ったことは、
柔道部物語に出てくるO・U大学って、国士舘かな?ということです。

まえがきはまた飲酒の暗黒面、記憶喪失遺失物飲酒運転事故です。
前巻は賞味期限切れ飲み残し食品廃棄、でした。
24巻第12話はその当時の時事ネタであったバター不足の話ですので、
その影響があったのかも。
(マーガリンのほうが健康によいという日本特有の俗説についても、
 非常にさらっと、記憶に残らないよう配慮しつつ否定してます)
以下頁を繰りながらの感想。(このマンガはこうやって読めるから人気があるのだと)

頁27 第3話「コストパフォーマンス」
竜 「オレなんかやっぱフダンから1円でも安いほうを選ぶ習性がついてるからね
宗達ああ ビールより発泡酒 発泡酒より第3のビールってクチだな
竜 「そうそう 3000円の大吟醸1本より1000円の純米酒 3 本とかさ
  あとワインなんかもそうだよな 同じ値段だったら一升瓶でドッカーンと

矢田「(中略)酒ってのはメシと違って嗜好品なわけ 栄養のためじゃなくココロを豊かにするために飲むものなのョ だからある程度のグレードのものをじっくり味わうべきでさ 安い酒をいくら浴びるように飲んでもどこか満たされないものがあるだろ その点いい酒ってのは少しでも満足できるんだよ つまり結局そのほうが得ってことさ
(中略)
宗達まあまあ 矢田さんの言うこともわからないではないけどさ オレらにとって毎日飲む酒はメシと同じでさ やっぱりどちらかっていうとなるべく経済的にって考えちゃうんだよ

頁31 ちょっと寄り道③「コストパフォーマンス」
 テレビでよく、「節約の達人」なんてオバさんが出てきて、一般家庭の家計簿をチェックする、てな企画をやっている。
 そんなとき、真っ先にやり玉にあがるのが、アルコール類の飲食費だ。
 もっとも削りやすい項目なのだろうが、ちょっと待った、そう簡単にバッサリやられちゃ困るのだ。
 吞まない人にとっては、まったく余計な出費なんだろうけど、われわれ呑兵衛にしてみると、アルコール類はお米以上の“主食”なのよ。だから、ここを斬られるのは生命の危機なのだ。
 とはいえ、経済が逼迫していれば、何とかしなくちゃならんのも事実だ。
 そーゆーときは、少しでも効率よく酔っぱらえる道を考える。大事なのはアルコール度数と値段の兼ね合いだね。
 シングルモルトウイスキー泡盛の花酒など、度数が高くて値段も高いというようなのはダメ。
 なるべく度数が高くて値段が安いのを捜さなくちゃならん。でも、ただ度数が高けりゃいいってもんでもないんだよなあ。
 ビールや発泡酒は同じ値段でいろんな度数のものが売られている。同じ値段なら度数の高いほうが得なんだけど、味の好みもあるからね。

(後略)

ちょっと危険な香りがしたので、長くなりましたが引用しました。
なんのために酔うのか、なんのために酔いたいのか、
足もとを見直すことも必要だと思います。
それ(幸福)は酒でなければ得られないものなのか、
合法ドラッグとして酒を考えるようなはきちがえをしていないか。
酒は度を越すと決して百薬の長でなく、牙をむいてくる。
信じていた酒に裏切られることのないようにお願いします。

前巻にも本巻頁19にも「そんなのカンケーねえ」って台詞があり、
単なる当時の流行語と考えてもいいし、ワセダの先輩後輩だし、
なにかつながりがあるのかな、と考えてもいいと思います。知らないけど。

頁114は、初夏の蒸す陽気に、木造家屋の縁台でエアコンつけない場面ですが、
木造家屋は熱気がこもるし、21世紀のメガロポリス東京は、
周囲の室外機でもうとってもやれんくらい蒸すので、
この場面はファンタジーだと思います。あと蚊も気になる。
執筆当時まだデング熱は日本上陸してませんでしたが…

蚊の不思議―多様性生物学

蚊の不思議―多様性生物学

上記の本は、東海大学出版会黎明期の刊行物で、当時の熱気が感じられて好きです。

第16話「フルーツ系チューハイ」、チューハイの語源について触れてますが、
「サワー」という呼び名にも慣れ親しんできた人間としては、
そっちにも触れてほしいと思いました。焼酎ハイボールがチューハイになった、
という蘊蓄もいいんですが、サワー。ハイサワー
こちらも網羅して頂けると天網恢恢疎にして漏らさずです。

「チューハイ」と「サワー」はどう違うのでしょうか? suntry お客様センター ...
http://www.suntory.co.jp/customer/faq/001811.html

漢字メニューについての考察が今回の長文コラムパート2ですが、
(パート1は電子レンジの燗つけとその他、ちろりの素材別燗つけテイスティング比較)
香港の話なので、「京都」がペキンを指すところまではいいのですが、
そのペキンは、あくまでカントニーズたちが伝統的にイメージするペキンで、
中華人民共和国首都のベイジンじゃないよ、ってことだけつけ加えておきます。
現代の北京風味は別に甘口じゃないし。(清代の随園食卓とかに出てくる味はまた別)以上