『郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集』 (ちくま文庫)読了

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)

アマゾンの連想オススメ本。借りました。
下記は作者の第一作で、名声を確立した短編集だそうですが、
このちくま文庫(もとは国書刊行会のハードカバー)が、
どの原書からどの作品を集めて作ったのか、は分かりませんでした。
Adam & Eve & Pinch Me: Tales

Adam & Eve & Pinch Me: Tales

訳者による解説
 コッパードは特別な作家である。コッパードが書いたものはコッパードしか書けなかったものである。この本のなかには深く静かな輝きがある。それは書架からあなたの日常を照らし、幾らか明澄にしてくれるだろう。

こう言われちゃうと、あともう言うことないですね。

困窮家庭で非常に苦労しながらも、独学で小説家になったという点や、
早逝した父親が腕の良い仕立て屋でありながら結核の酒飲みであった点は、
ほかの国にもあったかもしれませんが、その一方で、生涯多様なスポーツを愛し、
フットボール、ボクシング、etc.)
短距離走の賞金稼ぎで生計を助けていたという点は新鮮でした。
炎のランナーみたい。日本でも、大森の郷土資料館か何かでむかしの文士相撲の写真や、
高橋源一郎の何かで、中上健次が野球する写真を見た記憶がありますが。
それが身をたすく、副収入になる、というものでもないと思うので…
英国と日本のスポーツの違いを感じました。
あと、自身も父母も職を転々としているのですが、そこに悲愴感も、
挫折感もないのが、やはりあちらの転職は日本と違うのかな、と思いました。
ただ、やっぱり転職ではイキナリマネジメント職みたいな、
やりがいと摩擦に直面するようなチャレンジしてますけど。(そして成功)

表紙はハリー・クラークだし、内容は、魔術的リアリズムマイナスリアルみたいな、
そんな内容です。
幼子は迷いけり」という、過保護というか病弱というか、の小説で、
そうした育った主人公が酒浸りになるのは、人生の道筋ってそういうものか、
と思いました。
シオンへの行進 Marching to Zion」は、何度も思って何度も忘れること、
シオンってSionでなくZionだから、ガンダムジオン公国って、
サイド3がシオンの地ってことなんかな、をまた思いました。
ジオンは従来よくナチに重ねられますので忘れられがちな、
トミノ一流の諧謔…みたいな。ザビ家がXabiでシャビみたいな。

以上