『てんやわんや』(新潮文庫/旧版)読了

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61-FLoKF4nL.jpgバロンサツマの小説を、
晩年の著者が書いてる*1ので、
それをまず読み、
ほかの作品も読もうと思い、
『七時間半』*2を読み、
次にこれ読みました。
読んだのは左記の表紙。
昭和26年6月15日初版
昭和42年4月10日三二刷改版
昭和50年2月10日四五刷
を、読みました。
カバーデザイン 記載なし
解説 大井広介
*3
*4
毎日新聞連載。
昭和23年11月から翌年4月迄。
解説によると、
「てんやわんや」という関西弁と、
次に作者が朝日新聞に連載した
『自由学校』の
「とんでもハップン」を
四海に広めたのは作者の功績だとか。「とんでもハップン」は、
のちに下の句がついて、「とんでもハップン歩いて十五分」
となりますが、下の句は、現状、詠み人知らずです、たぶん。

てんやわんや (ちくま文庫)

てんやわんや (ちくま文庫)

てんやわんや (新潮文庫)

てんやわんや (新潮文庫)

アマゾンレビューは上記、ちくま再発見文庫と新潮新版とで共通で、
ともにトップは、福田和也池澤夏樹マシアス・ギリの失脚』を叩いた時、
カウンターで持ち上げられたのが獅子文六『てんやわんや』だったという記事。
知りませんでした。面白いなあ。まあ、福田和也は、ナビダート共和国の、
ケンペーくんシステムが、気に食わなかっただけと思います。沖縄の愛人。

この小説はそれほどかように古いので、知らない単語がいっぱいありました。
以下列記します。
頁51別懇
https://kotobank.jp/word/%E5%88%A5%E6%87%87-625044
頁51紅い罫の入った中華便箋 
寂寥とした検索結果 何も出ず。
頁58開店匆々
http://www.weblio.jp/content/%E7%83%8F%E5%85%8E%E5%8C%86%E3%80%85

主人公は戦犯容疑がかけられないか脅えているので、

頁58
どうも、眩しくていけない。ジープが走ってるのを見ると、なんだか怖い。スーベニヤ屋の店頭を歩いてさえ、気がひける。

オキュパイドジャパンの銀座等に現出した、GI相手の土産物屋のことかと。
検索しても出ませんが、たぶんそう。私の灰色の脳細胞がそう言っています。
頁62ズルチン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BA%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%B3
頁112看経かんきん
https://kotobank.jp/word/%E7%9C%8B%E7%B5%8C-48624
頁122「大節季じゃ。一世一代の大節季じゃ」
https://kotobank.jp/word/%E7%AF%80%E5%AD%A3-547957
いっしゅん、「ケーセッキじゃ」と言ったのかと思いました。そんなわけはない。
一世一代のケーセッキって、なんじゃそりゃ、みたいな。

赤気 Weblio辞書
http://www.weblio.jp/content/%E8%B5%A4%E6%B0%97
頁157ネキ
不明。「ネキに座る」などの用法で使う為、下記ネットスラングとは無縁と推定。

Yahoo!知恵袋 2016/8/1811:45:09
トレンドに「吉田ネキ」というのが入ってます。吉田沙保里選手のこ ...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13163104983
頁166トッケもない
東南アジアのトッケーが検索上位に来て邪魔するので、掘り下げられず。
「途方もない」の変形か。
頁167テンポ作(非常識漢の意)
カッコで作者が説明してくれて助かりました。
頁178チョウサイ坊(弄られる)にさるるようで…
カッコで作者が説明してくれて助かりました。
検索すると、司馬遼太郎の竜馬がいくで、龍馬が笑う場面が出てきます。
頁202穆々たる垂穂たりほの秋
http://www.weblio.jp/content/%E7%A9%86%E3%80%85
頁203久闊を叙するこれは分かるので、書かなくてもよかったかな。
https://kotobank.jp/word/%E4%B9%85%E9%97%8A%E3%82%92%E5%8F%99%E3%81%99%E3%82%8B-476666
頁208デボチン(凸助の意)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1296401812
頁208鬼味噌(影弁慶の意)
https://kotobank.jp/word/%E9%AC%BC%E5%91%B3%E5%99%8C-453738

頁223
この土地の人は、“寒い”と言わぬのである。“ヒヤい”と言う。もっとも、暑い時でも、“暑い”といわないで、“ヌクトい”と言う。

福井県の「ぬくてーい」を思い出しました。アホバカ分布考。ひゃくた。

感想がありませんが、ユーモア小説に、感想が必要でしょうか。
必要かもしれません… 以上