『ウィリアム・テン短編集 2』(創元SF文庫)読了

http://www.tsogen.co.jp/img/cover_image_l/64802.jpgコニー・ウィリスが『混沌ホテル』*1序文で、
影響を受けた小説をべらべら書いていて、
それのウィリアム・テン作品の
もうひとつがこの本収録です。
どの作品か再度確認要。
東京創元社の公式が非常によく出来ていて、
装幀者まで明記されています。で、当時の、
創元推理の表紙は大同小異同工異曲なので、
わざとフザケて明記な気もします。
創元公式の定価864円(本体価格800円)
私の借りたのは\260、1973年8月初版。
訳者はブラウン神父シリーズやバラードの
結晶世界なんかも訳したしとだそうですが、
本書の訳者あとがきは非常にあっさりです。

訳者あとがきによる原題
「囮(おとり)のアレグザンダー」"Alexander the Bait"
(あとがきによると、"Alexander the Great"「イスカンデルアレクサンダー大王」にひっかけた駄洒落)
「最後の任務」"The Last Bounce"
「彼女は夜しか外出しない……」"She Only Goes Out at Night......."
「私の母は魔女だった」"My Mother Was a Witch"
「道化師」"The Jester"
「混乱貨物」"Confusion Cargo"
「金星は男の世界」"Venus Is a Man's World"
「領事」"Consulate"
「レモン緑とスパゲッティー音声とダイナマイト・ドリブルの一日」
"The Lemon-Green Spaghetti-Loud Dynamite-Dribble Day"

また、あとがきによると、短編集1の原題、"The Wooden Star"は、
「ダメな惑星であるこの地球」の意で、この本の原題、
"The Square Root of Man"は、「人間の平方根→即ち人間の根源的性格」だそうです。

頁8 序文
 最初の短編「囮のアレグザンダー」は、第二次大戦の三か月後、ベルマー実験所が月へ向けたレーダー電波から最初の反応信号を得るおよそ八か月前に、書かれた。私は当時、陸軍航空部隊の技術誌の編集者をやっていたが、私の知っている著名な科学者で、月面のクローズ・アップ写真が一世紀以内に撮れると予想した人はごく僅かだった。私が信じているところでは、宇宙旅行が、最初の宇宙船を自宅の裏庭の実験所で建造する個人の科学者によってではなく、むしろ大規模な制度のようなものによって達成されるであろうと予言したSFは、「囮のアレグザンダー」が唯一のものなのである。

頁16「囮のアレグザンダー」犛牛の凝乳
犛牛とは - 難読語辞典 Weblio辞書
http://www.weblio.jp/content/%E7%8A%9B%E7%89%9B
犛牛/旄牛(ボウギュウ)とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E7%8A%9B%E7%89%9B-627316

頁293「レモン緑とスパゲッティー音声とダイナマイト・ドリブルの一日」
 あの行列に参加していた団体の名前を誰が全部、憶えていられるでしょうか? つまりですね、おわかりでしょう、アイルランド人古代結社だとか、コロンビア大学ニューヨーク同窓生会だとか、ブロードウェイ街不触賎民アンタッチャブル同志とか、無名アル中連盟とか、全米黒人向上協会だとか、生体解剖反対同盟だとか、ワシントン・ハイツ民主クラブだとか、ユダヤ男子共済組合だとか、西四十九番街ポンビキ及び売春婦共済信用組合だとか、ハンガリー自由戦士団とか、農村救済委員会とか、警察カソリック協会、それに、歌手ビリティスの娘たちの会や、さては、われらがポンペイ婦人選手権バスケットボール・チームだとか。そういった団体が次から次へとやって来たんですからね、とうてい全部、憶えられっこありません。

東京創元社公式
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488648022
作者 英語版Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/William_Tenn
作者公式
http://dpsinfo.com/williamtenn/
短編集1読書感想
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170405/1491404771#20170405f1

ウィリアム・テン短編集 2 (創元推理文庫)

ウィリアム・テン短編集 2 (創元推理文庫)

The Square Root of Man (English Edition)

The Square Root of Man (English Edition)

https://i.pximg.net/c/600x600/img-master/img/2008/07/27/21/01/43/1252081_p0_master1200.jpg
テンちゃん (てん)とは【ピクシブ百科事典】 - pixiv
http://dic.pixiv.net/a/%E3%83%86%E3%83%B3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93

【後報】
コニーが触れているテン作品は下記三つなのですが、
市井の方のサイトによると、いずれもこの短編集未収録でした。学刈也。

『地球解放』「世界ユーモアSF傑作選」(講談社文庫)浅倉久志編 1980 収録
『死者の国へ』奇想天外に訳出掲載号有とのこと。
       こういうの調べてオープンソースしてくれる方を敬服します。
『新ファウスト・バーニー』ジュディス・メリル編年刊SF傑作選4収録とのこと。

最初調べた時、完璧寝ぼけてました。検索ツールがどんな優秀でも、
ハサミと同じで、使いようです。以上
(2017/5/1)