『瀬戸内寂聴全集〈1〉短篇(1)』読了

瀬戸内寂聴全集〈1〉短篇(1)

瀬戸内寂聴全集〈1〉短篇(1)

新潮社当該ページ https://www.shinchosha.co.jp/book/646401/

デビュー作でもある『女子大生・曲愛玲』を読みたかったので、
収録されている本を図書館で検索したら、コレでした。
日中百合ロマンですが、作者自身による解説でも出来に関してゆっているとおり、
ジルベールが異民族だと、ジルベールの我儘ぶりの魅力が半減する気がしました。
どこまでが個と個のぶつかり合いで、どこが異文化摩擦なのか曖昧になるので…

きのう何食べた?(5) (モーニング KC)

きのう何食べた?(5) (モーニング KC)

ジルベールといえば上のマンガの、この巻あたりで活躍する人ですが、
もう若くないのを自覚して彼氏に当たり散らすなど、本家ジルベールにない属性が多々あり、
あのあたり爆笑しながら読みました。
話を戻すと、愛玲といえば張愛玲*1で、
本国の名誉回復前にロスで孤独死した、高島敏男等から絶賛された作家ですが、
晴美のこの処女作のジルベール、曲小姐とは関係ないです。
この小説は、モデルは実在、起こる出来事はフィクション、ということで、
ネタばれすると、最後延安に逃げられるのですが、虚構なら余計安易なオチと思います。
猫も杓子も延安では、つまらない。

あとは、頁315、『けものの匂い』で、老北京にラオベイジンとルビをふってて、
これは昭和三九年の初出時では出色のルビだったのではないかと思います。
ペキンとしか皆呼んでない頃、英字新聞もPekingの頃に、
ベイジンと読んだのは、流石。

頁429、逢いびきを幽会という、约会でなく幽会とか、やはりそういうのには詳しいな、と。

约会の意味 - 中国語辞書 - Weblio日中中日辞典
http://cjjc.weblio.jp/content/%E7%BA%A6%E4%BC%9A
幽会の意味 - 中国語辞書 - Weblio日中中日辞典
http://cjjc.weblio.jp/content/%E5%B9%BD%E4%BC%9A
幽会旅馆の意味 - 中国語辞書 - Weblio日中中日辞典
http://cjjc.weblio.jp/content/%E5%B9%BD%E4%BC%9A%E6%97%85%E9%A6%86

頁574、解説、花芯は、中国語の「子宮」である。やはり詳しいです。

この人も女怪ですが、それで、ふと、この本思い出しました。

女妖啼笑―はるかな女たち (講談社文芸文庫)

女妖啼笑―はるかな女たち (講談社文芸文庫)

東方書店常備で、支那学関係の人に愛されてる本です。たぶん。