『クワイエットルームにようこそ』DVD鑑賞&読書感想


さてまたお金の細る月末にむけて、ブッコフに何かもってこうと思い、
未見のDVDばかりで、とりいそぎこれのビニールを破りました。
観てない人はあまりいないと思います。
食事の支度とかストレッチとかしながら観たので、注意不足の場面も多々あるかと。
コメンタリー付でもっかい見る時間はないので、再生一回でおしまいです。

主人公は処方箋のお薬より前に、やったら飲んでばっかで、
別に酒が悪いという描写はいっこもないのですが、
妙に演出が気を使ったのか、チューハイやビール(発泡酒?)の缶が、
すべて架空の銘柄で、この美術さんの仕事は必見だと思います。

内田有紀は、アル中映画『ばかもの』*1でも見たので、こういう役を振られる時期があったのか、
と思いましたが、この映画が先で、これが迫真だったので、ばかものがあったのだな、
と思いました。よくこんなこと演技で延々やれたな。
いまフジテレビでヒロスエとやってる「ナオミとカナコ」も面白いそうで、
高畑淳子の中国人女社長の喋りは、動画見たら本当に評判通りリアルだった。

公式
http://www.fujitv.co.jp/naomi-kanako/index.html
苹果日報が映像メディアまで持ってるとは知りませんでした。
下のはそのりんご日報です。よって、ナレーションは広東語。

なんで男の松尾スズキがこの題材に取り組まなならんかったのか、と、
思いました。嚆矢なのかな。劇中もトランスジェンダーの人は出てきますが…
ちかえもんの無表情は、なんでですかね。イノッチの番組とかで、
表情つけてましたが、それはそれで不思議だ。

最後の「捨てる」選択は、どうかなぁと思いました。実は、途中まで、
自分ではこう写ってると思ってる姿で出てて、実際はこんな汚いっすよ、
と分かる場面がもっとちゃんとあるかと思ってたので。ゲロだけでなく。
もらった贈り物は私の人生の宝物です、みたいに宣言しなくてもいいですけど。
備忘録がないと、後戻り、繰り返しが人生の常なので…
大竹しのぶみたいな人は施設とかにもいて、会いたくないかもしれませんが、
シャバにもいるでしょ。映画『自虐の詩』の薬物治療入院もそうでしたが、
シャバか入院かの二択だと、また元の環境で元の黙阿弥になったり、
よるべのない人はどうすんの、みたいな話もあるので、だから中間の、
施設があるんだと思ってます。それがなんで出てこないんだろう。
山田洋次の『おとうと』の施設とはまた別の施設。カネの話はアレですけど、
病院だってワークグループとか「ここはなんでもカネよぉ」と、
大竹しのぶに云わせてますし、なんだかなぁ。
まともな自分が紛れ込んでる、という認識はみんな持つらしいですが、
それこそ、自分の(回復の)ことだけ考えれば、「バケモノ」とか叫んで、
相手を殴らなくてもいいと思います。あっネタばれごめんなさい。

塚本晋也にこんなところで会えるとは思いませんでしたが、
アゴが外れたり、無理にはめてロックかかった時は、
すぐ歯科か整形外科に行けば、はめ直せるかもとか。
私は、会話は出来るので、仕事に支障はないかと思って、
翌日勤務明けに医者に行って、それから一年、転院二回かかりました。
でも、また再発はするかもしれませんが、直ってますよ。
お握りもハンバーガーも食べられるようになった。よかった。
以上
【後報】
それで、図書館行ったら、原作の単行本があったので、
ぱらぱら読んだら、三十分で読めたので、その感想も付記します。

クワイエットルームにようこそ (文春文庫)

クワイエットルームにようこそ (文春文庫)

(読んだのは単行本です)出だしが、人生仮免ナントカとか連想して、
さらに、文体が軽いことは軽いのですが、混乱してる人にとっては、
イラつくような気もしました。なぜ松尾伴内が女性の一人称で、
女性の題材で書かねばならなかったのか
(男性の摂食障害は確かに少ないそうですが)は、土佐日記だな、
と思いました。紀貫之みたく、ナントカもすなる病棟ルポといふものを、
カントカもしてみんとてするなり、で、書いたのだと。たぶんそれだけ。
土佐と言えば、吉田類西原理恵子を生んだ偉大な土地柄なので、
紀貫之が紀行文を書いても仕方ないですね。許そう、しかし。

バカ気取ってるのに森茉莉とか引用してて、やらしい女や、
しかし本体が松尾スズキと思えば腹も立たないでしょう。そういうことかと。
ネタばれの台詞は、小説では「言ってはいけない言葉」としか書いてません。
でも映画だと喋ってる。この辺は映画のチカラではないかと。
ペンは無力です。

映画ではかゆみどめはムヒでしたが、小説ではオイラックスでした。

【第3類医薬品】ムヒS 18g

【第3類医薬品】ムヒS 18g

【第3類医薬品】オイラックスソフト 12g

【第3類医薬品】オイラックスソフト 12g

変更の陰にどんな大人の事情があったのか…

頁136「1時間以内に捨てないと、この画用紙は爆発します」
小説では、捨てたのはコレが理由のひとつか、と分かりますし、
もうひとつは、すれ違い再入院なので、そんな奴のメアド汁か、
で捨てたのだと分かります。小説では、捨てた意味は割と解る。
でも、映画だとなぁ… ただ、集団でなく、個でつき合うと、
巻き込まれたりもたれかかられたりするし、ナントカ研究所とか、
病院や施設、自助グループでない不思議存在もあるし、
最悪は、実在アメリカンスナイパー*2の最後みたいに、
サシで会って撃ち殺されたりするわけなので、個で会うのは慎重に。

西野さん、映画ではアリランとか歌うんですが、小説では特にそんな場面なくて、
あれはどういう演出だろうかと思いました。あとラジオ体操は、
スタジオジブリでもやってるから、別に大丈夫ですよ。以上
(同日)