『歩道橋の魔術師』 (エクス・リブリス)読了

http://www.hakusuisha.co.jp/book/b206385.html
なぜかはまぞうのアマゾン商品の検索がアレになってたので、楽天白水社公式*1
これも台湾カルチャーミーティング*2で紹介されてた本。
装丁 緒方修一 カバー写真提供 中華民國外交部(!)
上記表紙写真松下電器の看板のある、台北の、いまは亡き商場を舞台にした、連作です。
こういう広く面積をガバッととるショッピングモールって、
日本では今世紀になってからの発想のように思います。ビエリ守山とか。
台湾は島なのに、台北にはこんなのがいっぱいあって(香港にはない)、
(クーロン城は上に建ぺいがアレで、タテヨコじゃない)
北京でも王府井とか'90年代に再開発する際、当たり前のようにこんなん作って。
根っこが違ふんだなあ、と思ったのを覚えてます。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/zh/thumb/6/66/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E5%95%86%E5%A0%B406.jpg/250px-%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E5%95%86%E5%A0%B406.jpg
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E5%95%86%E5%A0%B4
こういう歩道橋が商場の建屋間にあって、そこに地べたの物売りたちがいて、
その中の、手品グッズを売る乞食マジシャンが連作を串ぬくトリックスターとの由。
あとがきによると、訳者が本書を日本の出版業界に売り込む際には、
「三丁目のマジックリアリズム」なるコードネームを使っていたとか。
あとは、台湾語のせりふを区別できるように訳そうとしたけどやめたとか、
食べ物の名前は逐一原語をカッコでつけて読者台湾観光の一助になるようにしたとか、
そういうことも訳者あとがきに書いてあります。本書で訳者の経歴見て、
北京の語言にもいたのが分かって、なんか、へえと思いました。

頁195 レインツリーの魔術師
残された腕には、青天白日旗(中華民国の国旗)の刺青がある。これがラオリーだ。

老李。青天白日旗は国民党の旗で、中華民國の旗は青天白日満地紅旗だったと思います。

中華民国の国旗 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%B0%91%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%9B%BD%E6%97%97

頁50、サワラのとろみ汁(土[魚乇]魚羹)は食べてみたいです。
頁104

頁7 歩道橋の魔術師
 母さんはよく、「稼いでくる子供ってのは、なかなかいねえなぁ」と、ぼくに言った。

ほかにもこういう男みたいな喋り方をする母親が出てきますが、ここに関しては、
いないねぇの誤植のような気もします。
この頁7に、中華商場のルビがあり、ちゅうかしょうとなっていて、
光華商場はこうかしょうじょうと読む*3のに、中華商場は「しょうば」なの?
と不思議に思いました。そういうQ&Aの質問サイト投稿は見つかりませんでしたが、
ツイッターの投稿はありました*4が、公開でのそれへのリプはなし。

ほんとになんて読むんでしょうね。
下記は、ほかの人のこの小説の感想ブログに載ってた動画。

魔術的リアリズムや夫殺しのような骨太さ、殺伐さはなく、村上春樹のような、
一部ホンイキの気持ち悪さ(例:海辺のカフカの女衒サンダース)もないですが、
読んでいて、やはり思い出すのは、台北のアーケードでBBQした時、
「私たちは何人産んでも規制ないの!あんたたちとは違うのよ」と言われて苦笑したとか、
深夜のバスターミナルで警官に職質されて、日本だと言うと、
パスポート見せろと言われ、見せると、「ツァンリウグーアルま?」
と聞かれ、違うと答えても、なんか納得されなかったこととか、です。
大陸や香港ほか、別の漢文化でこの台湾の感性がどのように受容されているか、
それも知りたいようにも思いました。
ウェブで見つけた文春の、本書読書感想鼎談で、ちりばめられた日本のヒーローもの、
テレビ番組名に触れられてましたが、本土でも、たまに地方台がそれと知らずに、
台湾から買い付けて、やっちまった的に放映してしまうことがあり、
内村のライバルの、重慶だか出身の選手が、好きなテレビ番組、奥特曼、
百度に書かれてたのを北京五輪の頃見ました。関係ないか。以上