「私たちの青春、台湾」「我們的靑春,在台灣」"OUR YOUTH IN TAIWAN" 劇場鑑賞

私たちの青春、台湾オフィシャルサイト

気が進まなかったのですが、厚木で二週間もやってくれたので見ました。


金馬獎最佳紀錄片得主【我們的青春,在台灣】HD中文正式電影預告

あと、ほかのはてなブログの方が、東中野ポレポレで見てブログに書いていて、そこに私も、観ようかなみたいなコメント書いたかもしれないので(忘れてます)見ました。


總統蔡英文專文推薦!【我們的青春,在台灣】HD中文正式電影預告

ネタバレをおそれずに書かねばいけないなーと。台湾では登場人物のその後はわりと知られてると思うのですが、日本はそうではないので、同じドキュメンタリーフィルムを見ても、おのずと感想が違う。


映画『私たちの青春、台湾 』予告編2020/10/31(土)公開

しかし、ふしぎなのですが、この映画は、極端にレビューが少ないです。ヤフー映画がふたつ、映画コムが三つだけ。フィルマークスだけ三十個以上ありますが、理由は分かりません。関連会社だからか。

映画の中で、最初「痴漢」ヂーハンとはっきり言ってた気がするのですが、セクハラを意味する〈性騷擾〉になっても字幕が「痴漢」で、シンサオラオだったらセクハラと訳すべき、と、ひとりでぼそぼそ考えてました。

zh.wikipedia.org

下記は2014年12月の記事。いちおう日本でも、ウェイティンくんの痴漢騒動は報道されてたわけですが、そんなもん一部の漢字文化圏ヲチしか覚えてませんがな。私はウェイティンくんもひまわりユンドンもようしらへんだ。

toyokeizai.net

映画の中で、崔健のホワファングーニャン、花房姑娘を、顔にボカシの入ったギター青年と歌う場面があり、象徴的だと思いました。女買う歌だと思ってますんで。

tw.appledaily.com

ひまわり運動の時は、既に起訴猶予の判決が出た後なのかな? マスコミは一切とりあげてなかったそうで、不思議だ不思議だ、とウェイティンくん(いていクン)も言ってます。いてててて。それが地元で選挙に出るや否や、燎原の火のようにばーっと、広まる。野焼き。

ひまわりっ!の時は、台湾ミンスが報道に圧をかけたのではないかとの推察に対し、監督は、いやーそれはないでしょう、ミンスが学生を煽ったというより、学生がミンスを動かしたってのが真相でしょうから、と言ってます。どうなんだか。シールズぅ。

数少ないレビューで、馬英九時代の國民黨タイオワンすっかり忘れてたわ、的な声があり、いやそれは日本の親臺の人の中に、混在一起で、ごまかして語る人たちがいるせいもあるんじゃんと思いました。どっちかというと連戦の第三次国共合作に近い人も、表面上は「台湾スキデスぅ~」になってる。で、台湾民進党の、東京都知事のライトグリーンと同じカラーを、リベラルだからという理由で、ほんとは嫌いなのがネトウヨ。たぶん。台湾は好きだが、台湾民進党は、政治的力学、地政学的な要因で、中国の敵は日本の友人だからつきあってるだけ、ほかに臺獨を唱える有力な勢力がないから、てなこと言う人も多い。いや、少ないか。

https://tw.appledaily.com/resizer/I1x8a-x2wKDdtS4LuE4AroW4CdA=/760x559/filters:quality(100)/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/appledaily/BJBMJKLLS6I6L7FWETNG3KFB5I.jpg

上の、蘋果日報(りんご新聞)に載ってるイラスト。こういう絵をこしらえて載せてしまうのもアップルデイリーの一面。「資料写真」の名目で、ひまわり運動の時、付き合ってたジョーカノの写真も載せてマス。映画にも出てくるから、まあそこはあれなんですが…

ウィキペディア見ると、父親は彼の出生前に、隣家の住人と乱闘騒ぎになって木刀持ち出した時、相手に刺されて死んだそうで、13歳の時に母親がガンで死亡。ぬいぐるみがたくさんある部屋は、監督的にはバッチリの絵だったはず。

president.jp

ジョージ秋山がマンガを書いた黄文雄の本に、中国大陸の十代精神病者は三千万とありましたが、それがそのままブーメランのように台湾に返って来た出来事なのかと。ウェイティンくんのもうひとつのやらかし、学生証云々は、集中を切らしてねかけたときだったので、何が何やら分からないです。レビューに、ウェイティンくんが、もみ消せないかという場面があると書いてる人がいましたが、そんなこと言ってたっけ?と思いました。むしろ、ウェイティンくんが、爾後半年後、監督の取材に対し、「ほとんどの痴漢は失敗しない。被害者がこわくて最後まで騒がないから」と言ってるのが、完全にアウトだと思います。増補改訂版でも作って、改めて謝罪コメントいれないと、広まったままだ。白く清算するのはムズい。徴兵の義務をこなしたって、渡米したって、罪は消えない、お湾内、it's so heavy.♪ こんなコンプリートな「堕ちた英雄」ひさびさに見ました。監督の前作《完美墜地》もそういう話なんでしょうか。すごいな。監督の両親はマレー華人インドネシア華僑だそうで、勉学で台湾に来て9歳の時に親が移住してそのままの人。それで、チウソンとかなんとか言ってたのか。

傅榆 - 维基百科,自由的百科全书

フー・ユーでなく、フー・ユィーのほうが、ウムラウトなので、國語のはっちょんに近いと思います。監督自身は英語では"Fu Yue"と名乗ってるそうで、どこから来た言い方かは知りません。

Fu Yue (director) - Wikipedia

話を戻すと、予備校教師やりながら十年かけて重力の本書くような話でもないし。ちんいていクン、そんなに頭もよさそうに見えないという偏見。ちゃんと謝っても言われ続けてるのか、ちゃんと謝ってないのかは映画を観ただけでは分かりません。

こないだ夜テレビ見てたら、例のカジサックの相方の人と、千鳥のやりとりナマで見まして、私はこのクラファンの鬼の人は、むかし小田急線で隣の席のオバチャンが一生懸命、活字が大きくて読みやすいこの人の自己啓発本を読んでるの見ただけですが、のー先生のオレンジの、「人は理想に金は出さない。理想を実現する人に金を出すのだ」を改めて思い出しました。夢見させるようなことを延々言い続ける人、何を実現するか、何を実現しないかの人、人に投資するなら自分に投資しろよ、という正論。

www.tokyo-sports.co.jp

台湾の人には自明でしょうが、ミャオリー(苗栗)が客家地帯とは知りませんでした。ウェイティンくん、客家だったのか。苗栗で話しかける老婆、北京語でしたが、字幕では他言語をあらわす〈〉がついていて、いくつか混乱してそうと思いました。为天转苗栗。

「失落感」を喪失感と訳していて、墜落した感じなのに喪失感でいいのかと思いました。民族主義を「ナショナリズム」と訳す箇所も、違和感。

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清大所長說陳為廷:他是我教過最特別的學生 | 民報 Taiwan People News

この映画を観るまで、台湾にも清華大学があるとは知りませんでした。じゃー南海大学も復旦大学もあるのかな。集美もあったりして。日本の学生闘争は、安田講堂があまりに若者の玉砕の美学を刺激したとかで、その後、どこの大学のゼンガクレンも籠城して玉砕を狙い、その瞬間をマスコミに報道してもらおうと積極的に新聞社に電話をかけたりしたそうですが(でもへきちの大学には誰も来なくて、警官隊ももちろん突入しないので、腹がへってすごすご退場したりもしたとか)21世紀の台湾でそんなことがあったら、オードリー・タンは生まれない。ひまわりは栄光ある堂々とした退場。ひまわり前の、学生運動やってるような青年は、やっぱり台湾でもビラ配りとか黙殺で、上の預告でも、"神経病"(吉外)とすれちがいざま罵倒される場面があります。やっぱりそういう、一部の閉じた活動だったのが、國民黨統治下の恐怖で変貌をとげて、ゲッタチャンスだったのか。

解説ブログかなんかに、ひまわりは漢語でも向日葵xiangrikuiだが、ひまわりユンドンは太阳花运动學運と呼ばれたとかいて有りました。中華民國の國旗が、青天白日満地紅旗なのとは關係ないかしらと思いました。立法院の外で、上下逆に掲げられてる場面があり、光復後満州で、日章旗は上下関係ないが青天白日満地紅旗は上下があるので、さてどっちだべと迷った話を思い出しました。

日本の団塊世代が見たら反応しそうな、インターナショナルの漢語版。作詞は瞿秋白とエンドロールにありました。

いきなり冒頭に天安門動画が出て、戦車を坦克(タンク)と呼ぶ中華ナレーションが炸裂してるので、これ大陸人は引くだろうと思いました。中国が民主化したら台湾を手放さなければならないのなら、中国は民主化を選択しない、と、あちらのセイガクに言い切られるウェイティンくんの場面はよかったです。

英題 "OUR YOUTH" は、ゲリン・ヤンからイエン・グーリンに、華麗なる復活を遂げた严歌苓民主化運動の挫折で、中国からアメリカに逃げて、その後の作品は、台湾の反共映画として制作されたりしたが、その後、祖国の懐抱に回帰して、関係修復、南京アトロシティー小説は、北京五輪CG花火監督チャン・イーモウの手で映画化されるも日本未公開)原作映画「芳華」の英題"YOUTH"を意識してるのかと思いました。彼岸と此岸ではかくも歴史が異なるデスヨ。

和山やまセンセイがこんな人だったらいいのにという蔡博藝芸艺についても、例のジエンチュー、「賎畜」関連の攻撃を探してみましたが、あまり出ませんでした。下は、淡江大学での落選運動絡みのヘイトアカウント。

https://www.facebook.com/antiboyi/

下は、アップリデイリー台湾版から、中国で彼女がボロクソ言われてるという記事。大陸からも〈贱畜〉呼ばわりされてかーいそー。

tw.appledaily.com

「あんたのおとっさんおっかさんは、あんたのせいで仕事を失ったわよ、育ててもらった恩にイエス、アイキャンて感じ?」(妳爹娘因為妳工作都丟了,對得起他們的養育之恩?)なんて言われる筋合いは毛頭ないと思うのですが。

私は、前に検索した時、彼女の出身地が、湖州だったと覚えてるのですが、今日改めてウィキペディアを見ると、もともとはキンペーチャンの故郷、兰州だったと分かりました。11歳の時に引っ越したんだとか。だから、映画で出てくる風景は、江蘇熟すれば天下足る、の風景。荒涼とした西北ではない。

baike.baidu.com

監督も彼女を評してについて、100%信じ切れるとはいえない自分がいる、てな感じで言っていて、日本のネトウヨ界における石平太郎サンを思い出しました。あれほど漢文に造詣の深い人物(安田峰俊の著書に依る)が、なぜネトウヨをやってるのか、疑問に思う人も多いかと。ハッサン中田考にそのイスラム神学の理解度をアレされる「フィフィ姐さん」と石平サンはインテリ度が違うんだなと。石平サンは日本国籍取ってますが、ボーイーサンは台湾国籍(民國籍)とってないわけで、大陸人が民國籍とるのって、ムズいのかなあと思いました。かんたんに取れたら、台湾は中共出身者ばかりになって、乗っ取られる危惧があるのだろう。現在はもう、ワテは反共でおま、亡命きぼん、のひとことふたことで終わるようにはいかないのだろうなと。その辺、監督にとっては自明の理すぎて、何の説明もないのですが、邦人は分かりま千円ですので、あってもいいかなと思います。

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エンドロール、蔡博藝を、cai boyi とピンインで書いていて、台湾のウェード式なら、caiでなくtsaiなので(現總統やツァイ・ミンリャンの字)なんとなく、ウーンとうなりました。

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台湾ひまわり運動のリーダー  人気ブロガーの中国人留学生  そしてドキュメンタリー映画の監督の私が  台湾、香港、中国でみつけた  “私たち〟の未来への記録――  きみの笑顔の先に、 未来をみた。

以上

【追記】

ホンコンについては、小爲廷が、ポッカーポッカー言っててうるせいと思いました。ほんとうに台湾の青年は〈仆街〉好きなんだなと。以上