「まごころを両手に」(原題:「五星級魚干女」)(その前の原題:「歡迎光臨,今日溫泉」)(英題:"Welcome To The Happy Days")劇場鑑賞(台湾巨匠傑作選二〇一九~恋する台湾~)

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大変申し訳ありませんが 「台北メトロ まごころを両手に」 満席となりました。 ※申し訳ありませんが、当館は消防法により お立ち見席を設けておりません

台湾の熱海と私が勝手に思ってる北投が舞台ということで観た映画。「台北発メトロシリーズ」(台北愛情捷運系列電影)という企画連作映画?の一編だそうで、ケーズでは三編が上映されますが、全部で七つ位既に日本でもDVDで売られていて、でもそれで全部なのかは中文の読解力がないのでよく分かりませんでした。

新光堂 まごころ 両手鍋21cm MD-0103 1912g

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 台湾巨匠傑作選2019 ~恋する台湾~ | ケイズシネマ

台北発メトロシリーズ~新北投駅~ まごころを両手に [DVD]

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主演女優のアリス・クーという人はドラマでブレイクした有名な人だそうで、この映画はそのイメージとは違うそうですが、私はそのブレイクしたドラマ知らないです。この映画では海月姫みたいな池袋でひとやま幾らの腐女子役?を大熱演しています。DSとかこうやって始終かじりついてる人、いますね。私の職場のゲーム依存のしとはグランブルー・ファンタジーというゲームをやっているそうです。

zh.wikipedia.org

台北愛情捷運系列電影 - 维基百科,自由的百科全书

上のウィキペディアを見ると、メトロシリーズの他の映画もタイトル変更などがあったようで、売るために苦戦したのかどうか。でも他の映画はここまで閩南ぽくないのではないか。推測ですが。

 邦題で検索すると、關係の方などのブログが出て、邦題選定哀話などが読めます。原題のユィーガンニュィ(英語ナレーションでもユィーガンニュィと、そこだけ國語使っている)は日本語の「干物女」に触発されたタイトルだったとか。それが五つ星。五星紅旗とは関係なく、ミシュランとかのランクのそれ。ななつぼし。ただ台湾では、台湾語の「有省錢」と語呂を合わせた駄洒落の意味合いもあるそうで(それもブログで見ました)タイトルロールじたい、「五星級」が裏返って「有省錢」になります。そういう意味では、かなり縦横無尽に台湾語(閩南語だけか、客家語や原住民語などのほかもあるかは知らない)と國語、米国白人バックパッカーの英語(彼がナレーションなのでナレーションはぜんぶ英語!)が飛び交って、けっこうハードルが高いというか、高いです。最初に流れる曲自体台湾語の曲で、故事はえてしてそういうもの、みたいな歌詞なんですかね。台湾語の歌なんて豬頭皮以外聴いたことなかったので、冷や汗すらかきました。出だしにして既に。

五星級魚干女 - 维基百科,自由的百科全书

あちらの食べログだかぐるなびだかみたいなサイトにも、いつつぼしとゼニ節約をかけたお店の紹介がありました。当該店はFBもあるのですが、私は見れないのでこっちを載せます。

ifoodie.tw

邦題決定のブログにも書いてありましたが、もともとは「歡迎光臨,今日溫泉」というタイトルだったそうで、英語タイトルはその訳のまま"Welcome To The Happy Days"で変更されてないのに、漢語タイトルだけ、日本でも死語になったはやりすたりの言葉に売らんかなで乗っかって?失敗した気がします。もともとのタイトルで韓国のプチョン(富川)国際ファンタスティック映画祭に出品されたとウィキペディアに書いてあったのですが、ケイズやDVDの紹介では、賞を獲ったグアム映画祭が書いてあります。ケイズやウィキペディアだと最優秀作品賞、DVDだと観客賞、グアム映画祭公式だと"Best of film"映画の冒頭には、どちらもテロップ出ます。

Bucheon International Fantastic Film Festival-238 - | 타이페이 러브 스토리

富川国際ファンタスティック映画祭 - Wikipedia

2015 Edition of the Guam International Film Festival – Guam International Film Festival

wedge.ismedia.jp

www.youtube.com

この預告も、全編横溢する閩南語旋風をマスクしてるんだからたいがいです。ところどころ方言喋ってても、漢字字幕があるのでスルーしてしまう。本編見ると、アリス・クーという主演女優さんが、どうしてここまで、今の世代そんなに喋るのかよというくらい台湾語台湾語台湾語。エンドロールにNG集があって、NG出すと北京語で「ドゥイブチー」と言ってますので、実際はそこまで台湾語で生きてない気がします。でもとにかく本編では台湾語がすごかった。アメリカ人は六ヶ月だけプートンホワだか北京語を勉強したという設定ですので、彼と話す時は北京語まじりの英語です。が、このアメリカ人もすごくて、旅館のお湯は100パー温泉なのか水だかお湯だか混ぜてんじゃないのかという質問がすぐ聞き取れてすぐ返答してる。私は字幕があって初めて分かりましたここの会話。なんて言ってるのか分からんです。

ベイトウのロケ地(非公開)、日治や戦争とのかかわりで、ひょっとしたらを推察するブログを拝見しましたが、私はそこ行ったことありません。だいたいそんな博物館がベイトウ、きたなげに今はあるのかという感じ。かつての買春ツアーの爆心地で、少し行けば蒋介石と蒋宋美齢の別荘地で、息子ニコラとその烏克蘭嫁(否、俄太太)に激怒したりしなかったり、というイメージが私のなかの北投げ、ベイトウ。熱海そっくりのヒュージな温泉ホテルが駅前に立ち並び、温泉に行くと、ニッチ時代の遺産なのか、ニウ・チェンザー映画「モンガに散る」そのままに、日式くりからもんもん彫ったお年寄りたちがそぞろ温泉に浸かっていて、日本語が話せて日本に行ったこともある刺青の美麗島老人たちと歓談したりするわけです。私の行ったベイトウはそんなとこでした。

映画感想ブログで、日本人へのメッセージの映画(海角七号)、アメリカ人へのメッセージの映画(推手)、そしてこの映画は台湾人が自分自身にあてた手紙、みたいな評があって、観るまではピンと来ませんでしたが、観たら分かりました。こらすごいわ。40年間の恋がこういうネタばれと結末を迎えるのかという。若い頃のおばあちゃんがまた、ちょっとビビアン・スー似で、いるんだなあこういう娘さんって、と思えるような。逆にヤマダトモオさんは、1972年なのに大正時代というか悲情城市というかみたいな服装で、時代錯誤もはなはだしかったです。2016年のヤマダトモオさんは、ふつうの、ちょいワルでもない日本老人でした。1972年にプッシュホンあるのかと思ったのですが、今の再現ドラマが無難に黒電話のダイヤル式を多用してるのかもしれません。日本が1969年だから、台湾も1972年あっただろうと。

ja.wikipedia.org

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まごころを両手に[監督:リン・シャオチェン] 2016年/99分/台湾/出演:アリス・クー、アンドリュー・チョウ ★2015年グアム国際映画祭 最優秀作品賞 [台北MRT・新北投駅]「干物女」フェイルーは、台北郊外の北投で老舗温泉旅館を営む祖母と暮らしている。ひょんなことから旅館が経営難に陥っていることを知ったフェイルーは、日本人バイオリニスト・山田智生の足跡を追ってアメリカからやって来たアレンを巻き込み、旅館立て直しに乗り出す…。日本統治時代から続く台湾屈指の温泉街・北投(ペイトウ)を舞台に繰り広げられるラブ・コメディ。

チラシの時点での懸念事項は、老外の毛深いコイビトとの絡み、ベッドシーンがあるのだろうかという点でしたが、それはアレでした。何がグッドリスナーグッドパーティだよ。バブルの頃、韓国人から、何故日本のAV女優はキムチキムチ言うのか、キムチガモエヨ?と聞かれましたが、もうこの映画の21世紀では、日本AV妹の「きもち、いー」は世界の共通語みたいで、旅館のフロントのオバサンも口にする。由美かおるばりというわけでもないですが、柯佳嬿も肩出しくらいのサンビス入浴シーンはあります。お湯をぱちゃぱちゃしますよ。

デポジットの漢語はヤージン「押金」だと思っていたのですが、そういうふうに聞こえる単語がなかったです。耳悪いのかな。閩南語は、チッゲーリュウグワンのチッゲーが、「這家」北京語のチェイジアだろうと思ったことくらいです。いやーこの映画、吹替え國語版もあるんでしょうか。マーケットとして閩南語圏以外を考えていないとしたら、それはすごい映画です。広東語離れする香港映画?にカツを入れてるのかも。食事で陶然となる場面とか、チャウ・シンチーのセクサン食神へのオマージュのような。KUSO電影の精神は台湾が継承するとでも言いたいのか。1964年の周鴻慶事件と吉田書簡問題のときに吉田茂元首相が北沢直吉代議士と娘の麻生和子さん(既に麻生家に嫁いで苗字が変わっていた)と訪台したのが北投げ、ベイトウだと思い込んでたのですが、日月潭でした。以上

【追記】

各種コミカルな客とのやりとり、服務接待、アメリカ人との中文でのやりとりはすべて國語です。電話も留守電も官話、マンダリン・チャイニーズ。いちばん聞いてて分かりやすかったのが、銀行員の差し押さえ事前通知。やはり直截的なため口会話でなく、慇懃無礼なビジネス会話を学ぶべきかと(役に立たないのはそもそもの力量の問題)家族や従業員との会話がホーロー語なので、量が少ないかと思いきや、ラブコメなので主人公のひとりごとが多いですし、またこの映画も亜空間殺法、登場人物がスクリーン越しに観客に語りかけてくるという、デッドプールの手法を踏襲しており、それがアメリカ人以外ぜんぶホーロー語というわけです。どうでもいいけど私は閩南語という言い方に、司馬遼太郎の閩のみち以来馴染んでるので、ホーロー語という言い方がどうにもなかなか。漢字で書くと「福佬語」とか「河洛語」になるそうですが、北京語でf音の「福」とh音の「河」が同音という時点で、カタカナでホーロー語と書けばいいんでしょうが、なんとも口に出しづらいです。この映画の主人公も、ファンルー、芳如でしたか、なんですが、台湾語会話だとホンルーに聴こえて、ああ、やはりf音とh音がいっしょなのかしら、日本語みたい、と思ってみたり… あと、台湾ではまるで通じないから台湾に密航せず日本に来る、福州の人たちの、閩北語をわりと日本で聞いたりしてたので、それもホーロー語という言い方にちょっと踏み出せない理由です。ホーロー語という言い方だと、福州のことばは、あれはじゃあなんと呼んで対置すればいいのかなと。

 (2019/5/7)