『土俵を走る殺意』 (新潮文庫)読了

土俵を走る殺意 (新潮ミステリー倶楽部)

土俵を走る殺意 (新潮ミステリー倶楽部)

ほかの人の日記を見て、読んでみようと思った作家さん。
読んだのは新潮文庫。カバーデザイン 新潮社装幀室
解説 坂東齢人 ←検索したら、馳星周でした。
単行本は平成二年刊行の由。バブル期に高度成長期を描いたんですね。
お相撲さんの話ではありますが、金の卵の集団就職の話で、
地元の名士のコネ屋の口利きに騙されたり(就職先の福利厚生等)、
山谷のドヤの話になったりします。あとは夜行列車の往来、夜の利根川
映画三丁目の夕日だと、町の自動車工場に堀北真希が来ましたが、
時代が違うと、描き方も変わると思いました。
頁291や頁307など印象に残りましたが、引用しません。
頁325、いつもはしきりなしに鳴り続けるのに、どういうわけかおとなしい。
ひっきりなし、のお江戸訛りじゃないかと思ったのですが、
特に何か検索で出てはきませんでした。仕切り無し、でも意味通るので、
曳き切り無しの「ひ」が「し」になった、と断言しないのかな。
とまれ、作者が東京出身なので、目がいった箇所です。

Wikipediaを見ると、作者も近年は江戸時代小説を並行して書いてるようで、
時代小説ほんとに大人気だなあ、と思います。現代法廷ものと比べ、
近代法の精神を杓子定規に遵守しなくていいから、
復讐法で直接対峙したり、あるいは慣習法に縛られたり、
そのへんの単刀直入ぶりがいいのかな、と、
私は時代小説は、佐伯泰英の酔いどれ小籐次を二冊読んだだけですが、
そう思います。以上

【後報】
頁45、昨年、池田隼人首相が
「十年間に農民を六割減らす」と発言し、高度経済成長政策のなかで、

これ、どういう文脈の中での発言だったんですかね。
機械化による収益構造の改善の話みたいなんですが…
(同日)