『世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち』 (文春文庫)

これはひどい(棒 以下後報
【後報】
頁57、映画七三わけのモデルの人は、最初オッペンハイマーという会社にいたそうで、
オッペンハイマーって、グウィンの『所有せざる人々』の主人公のモデルだったっけ、
と思いましたが、確認していません。あとがきに書いてあったはずなのですが。頁77、義眼の人の奥さんがアジア系であることは映画でも分かりますが、
さいしょが韓国系で次がベトナム系とは映画では分かりませんでした。
二人目とは婚活サイトで、まだ医学生だったころに知り合ったそうです。
奨学金というか、学資ローンがたんまりあって、人付き合いが苦手と正直に書いたそうで、
でも米国籍って書いてれば、そりゃね。そこをウソついて別の国籍書いたらどうか。
同じページに、双極性障害と誤診されたとあり、そんな誤診があるのかと思いました。
頁317では、アスペルガーとなっています。
頁247、映画ではノブというレストランでしたが、オカダ・レストランと書いてました。
頁371、最後のカモ、みずほ証券。そうだったのか。
どっかに農協も出てきました。
頁425、七三わけの人が、ベガスのあとで寄生虫が見つかるとか、
アメリカの日本食レストランの信頼性にかかわると思いました。
映画では末端の、住宅を失う人たちが出てきましたが、本には出ません。
あと、売る側のキャラがひとり出ます。この人は映画では割愛だ。
あともう少し書きます。

映画感想
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160610/1465504322
(2016/6/29)
【後報】
読んでる時に、非常に的確な表現だなと思ったのが、
頁288、炎上中の家の火災保険を安値で買ったようなもの、でしたが、
今振り返ると???です。そんなもん、保険会社が倒産せずに支払えるものなのか?

頁437
 一方、ウィン・チャウのCDO事業は破産の憂き目を見たが、チャウの手もとにも数千万ドルの金が残った。チャウは商魂たくましく、新たな事業を興し、数十億ドルもの他人の金を失う元凶となった当のサブプライムモーゲージ債を、安値で買い上げるという離れ業を披露することになる。ハーウィー・ハブラーは、単独のトレーダーとしてはウォール街史上最大の損失を出したが、それでもなお、みずから稼いだ数千万ドルの金を懐に入れることが許された。ウォール街の大手投資銀行のCEOたちもまた、博打の負け側にいた。その全員が、ひとりの例外もなく、自分の経営する企業を破産に追い込むか、さもなければ、アメリカ政府の介入によって破産を免れた。そして、全員がやはり金持ちになった。
 賢い決断を下す必要がないとしたら、つまり、お粗末な決断を下しても金持ちになれるとしたら、どれくらいの数の人間が賢い決断を下そうとするだろう?

単なるお粗末な決断でなく、他者を不幸や破滅に巻き込み追い込む決断ですね。
それに対する道義的責任は純然として存在すると思うのですが。
だからジュディ・フォスターはそれに対する個テロ映画を撮ったのかな。

模倣犯が出ないといいですね。マイケルベイのパールハーバー見て、
きゅういちいちとかが、それが世界の空想力の現状だと思うので。
でもそんな怒らないか普通。普通じゃないけど。解説は藤沢数希。
解説者もまた、作者の本を読んで、作者が意図した、優秀な若者には、
金融業界を将来の選択肢として選択してほしくないという思いと正反対に、
金融家への道を選んだそうで、で、解説者もまた同様の目的から、
日本の金融業界を糾弾する本を書き、この業界もシュリンクしていて、
以前は外資系トレーダー勤続5年なら年収五千万が2014年は三千万がいいとこで、
これは他業種の一流大企業のたった3倍にしかならない、やめたほうがいいですよ、
と言ってるのに、それでも3倍ですか、なりますなります外資の金融業界人に、
でもどうしたらなれますか?という問い合わせが殺到したそうです。

頁457 解説
儲けた時は自分のポケットに入れて、銀行が潰れるほど大損した時は「大きすぎて、潰せない」ので、そのつけを全て納税者に回す。その恐ろしく間違った金融業界のモラルハザードを皆に知って欲しかったからだ。そういった問題点が世間の目に晒されれば、この巨悪が存続できるわけがないと考えた。
(中略)
 皮肉なことに、儲けた時は自分のもの、損した時は納税者のもの、という巨大銀行の詐欺的なビジネス・モデルは、どうやら普遍的であり、簡単には改善しそうもなく、

税金払いたくない払わんもんとかいう人も、たばこ税と酒税、消費税は払うのかな。
お金を出してモノを購入する限り。解説者は火災保険の比喩を言い直しています。
頁464、他人の家の火災保険を掛けて、家が燃えるのを願うような賭けだ。
中上健次の小説に出てくる革パンの男をふっと思い出しました。以上
(2016/6/30)

【後報】
年金の運用損、昨年度5兆円超 GPIF公表は参院選
朝日新聞デジタル 2016年7月1日07時35分
http://www.asahi.com/articles/ASJ6Z4C94J6ZUTFK004.html
(2016/7/1)
【後報】

義眼の人が二度目のベトナム人の奥さんと知り合った婚活サイトの広告が、
この日記にも出てきましたので、プリントスクリーンしました。日本にもあるんだ。
(2016/7/6)