『金曜日ラビは寝坊した』(ハヤカワ文庫)読了

金曜日ラビは寝坊した (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-1)

金曜日ラビは寝坊した (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-1)

誰のブログで拝見したか失念してて、検索し直しましたら、
わりとかんたんに出たのでよかったです。いずれそこのコメント欄に挨拶にゆきます。

カバー:森本美由紀 解説:都築道夫
読んだのは五刷ですが、文庫化される前にポケミスで出てたみたいです。

Friday the Rabbi Slept Late (The Rabbi Small Mysteries Book 1) (English Edition)

Friday the Rabbi Slept Late (The Rabbi Small Mysteries Book 1) (English Edition)

こうやって原書の表紙画像が速攻検索出来る時代に生きてると、
文庫表紙のロゴや色調を原書に似せてるのは、いいねえと思います。

ラビ探偵なわけですが、中華料理人探偵陶天文のような頼れる壮年ではなく、
IT社会以前は、確かにこういう線の細い、学究肌の青年の、
社会適応策というか救済措置の一環として、宗教家という選択肢は、
あった話だなあ、と思いました。ワスプの荒波をくぐり抜いて成功を収めた、
在野のユダヤ人社会で、こんなつまらないトーラーオタは罷免されそうになりますが、
名推理で地域のユダヤ人市民を救うわシェリフ保安官とWinWinの関係を築くわで、
あわやクリスタルナイトの危機も回避してトランプ翁もご満悦、
という1964年、ケネディ時代の米国北東部を舞台にしたお話です。よかった。

頁132、地の塩に、カッコして、社会の健全分子という注釈をつけてます。
三浦綾子もビックリだ。そりゃ健全ですわね。あなたがたは地の塩である。
イコール、あなたがたは、良き市民である。コモンセンス、グッドセンスをもっておられる。
良識者諸兄諸姉である。そういうふうに均して考えたことがなかったです。
ソドムとゴモラの塩の柱とはまあ、違う話とは思ってましたが。

頁175
「酒はやれるんでしょう、ラビ?」ラニガンが気づかわしそうに訊いた。「つまり、宗旨にそむくことはないんでしょう?」
「ええ、わたしたちは禁酒党ではありません。

以上