ドーヴァー (1) (ハヤカワ・ポケット・ミステリ (967))
- 作者: ジョイス・ポーター,川口正吉
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1986/06
- メディア: 新書
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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC
Joyce Porter Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Joyce_Porter
国立国会図書館サーチ ドーヴァー 1967年版 ←読んだのは1983年版。原書"DOVER ONE"は1964年刊。
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I024537561-00
『夜のフロスト』の解説で、解説者の霞流一という方が、フロストは、ポワロだかメグレと、ジョイス・ポーターのドーヴァー警部を足して二で割った人物と書いてたので、それで読んでみたです。
2018-08-01『 夜のフロスト』 (創元推理文庫) 読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20180801/1533071026
結論からいうと、世のミステリマニアからしたら、これは21世紀のモノサシだと何かとさしさわりがある、されどミステリの佳品だと。なので、ネタバレとかまとめとか今北産業とかしないで、そっとしておいてほし、という作品だと思います。どのあたりでそうかというと、PTSDとか、ナチのユダヤ人迫害と戦後イギリスの高福祉政策/国民健康法による麻薬処方とか飲酒許可とか。このあたりまで黒い笑いに包み込もうとは、ほかの方も感想で書いてると思いますが、女性はおっかない。イギリス人のオバサンはおっかない、というふうに限定した方がいいのか、開いたほうがいいのかは分かりません。
退役した陸軍大佐が登場しますが、女性です。プードル*1を飼っています。自分より年上のメイドと二人暮らし。戦中は救急看護婦人部隊(First Aid and Nursing Yeomanry)略してファニーに所属していて、もともとは女子国防軍のトラック輸送部の中核にいたとか。頁35。こんなところにヨーマンという階級名が出てくるとは思いませんでした。
頁39
(前略)ミス・マクリントックがしずかに言った。そしてドーヴァーへ親しそうに微笑みながら、「図書館の本については、わたしとても面白いことがありますのよ」かすかに含み笑いし、告白するように言った。「わたしはいつも、とても丁寧に一ページ一ページ繰っていきますの。人びとが本の栞にどんなものを使うか、ご覧になったらびっくりなさると思うわ! わたし、永年見つけた栞を大事に蔵ってあります――バスの切符、古い靴下止め、軍服のネクタイを半分にしたもの、百フラン紙幣――それはそれはスリルですわ。わたしは見つけた栞はみんな取って、その本の標題と日付を記入して、箱に蒐集していますの。もちろん、見つけたものぜんぶを取っておくというわけにはいきませんわ。ベーコンの切端しとかそんなものが挟んであることがあるんですもの、そんなのは棄てちまいますわ。年金証書なんかは、もちろん送ってあげます。おお、それから手紙――切手も貼って宛名も書いて出すばかりになっているの。わたしはいつも郵便箱に入れてあげますわ。でも、その他のものは何でもわたしの小さな博物館に蔵ってあります」
最近は図書館カウンターの委託業務マニュアルにしっかり書いてあるせいか、返却時にぱらぱらぱらと忘れ物が挟まってないかチェックされ、忘れ物だけのければいいのに、面白がって挟んだシオリや、過去の誰かの貸し出し票まで、すべて抜かれてしまうので、必要な手続きと分かっていながら、少し寂しいです。そしてここは伏線だったと今書き写しながら気がついた。
頁44、ミニチュアをミニアチュアと書いています。
頁96、犬儒思想と書いてシニシズムと読む。これを作中で唱える、ロシアにルーツを持つナチ迫害亡命ユダヤ人(アメリカに金持ちの親戚がたくさんいるがあまりの人生の違いにアメリカに馴染めなかった)の名前がポゴレポフというのですが、「〜ポフ」とかあるのかなあと思いました。「〜コフ」が決まり事ではないかと。女性なら「〜コワ」→後で考えたら「アンドロポフ」がありました。
キュニコス派 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%82%B9%E6%B4%BE
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E7%8A%AC%E5%84%92%E5%AD%B8%E6%B4%BE
犬儒主义 百度百科
https://baike.baidu.com/item/%E7%8A%AC%E5%84%92%E4%B8%BB%E4%B9%89
作者の名前の付け方は面白くて、ドーヴァーの部下は「マクレガー」でなく「マグレガー」ですし、スミスは、ただのスミスでなく貴族らしいスミスということで、チャップ=スミスという名前です。ピレーとか、おひとりさまのイヴ・カウンターとか、ラングとか、ビングとか、フリールとか、ユーラリア・ホッポルドとかボンディ。名前にはすべからく仕掛けがありそうな気がしますが分かりません。
頁139、天手古舞い。
- 作者: Joyce Porter
- 出版社/メーカー: Policy Press
- 発売日: 2013/08/29
- メディア: ペーパーバック
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以上
*1:名前はペリグリン