『混沌カオスホテル  ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス』(ハヤカワ文庫)読了

なんとなく図書館の棚で見つけて、手に取った本。
表紙イラストの作者はアマゾンの著者名中の、松尾たいこ
デザインは早川デザイン。

ハヤカワが日本オリジナルの新作短編集出したいと作者に打診したところ、
そんなら、下記、賞を獲った作品だけ集めたアンソロジーの邦訳出してよ、
と言われ、それだと既刊の短編集収録作品とかぶるやん、駄目じゃん、
と思ったが、作者の意向なので、しゃうがない、やらう、
しかし本数が多いので、作者の承諾を得て、シリアス編とユーモア編に分け、
順序も組み直し、新訳も入れて刊行。そのユーモア編がこれとのこと。
The Best of Connie Willis: Award-Winning Stories (English Edition)

The Best of Connie Willis: Award-Winning Stories (English Edition)

いきなり冒頭の献辞が、

公共図書館

です。
作者がその人生において、如何に多くの優れたSFと図書館で逢うことが出来たか、
その恩恵を蒙ったか、序で語っています。そこの作品のうち、ボブ・ショウ、
『去りにし日々の光』だけおそらく下記で既読なのですが、記憶にないです。

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

<以下各話感想>

(1)「カオスホテル」
原題は"At the Rialto" なぜ混沌に変更したか、
エイゴのケイオスと読ませないのは何故か、
そも原題の"Rialto"ってどうゆう意味やねん、が分からないままです。

rialtoの意味 - 英和辞典 Weblio辞書
http://ejje.weblio.jp/content/rialto
chaos の発音 英語 forvo
https://ja.forvo.com/word/chaos/#en
Yahoo!知恵袋 2013/8/1515:57:33
英語でケイオス(混乱)という言葉がありますがスペルを教えてください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12111862207
kaos の発音 forvo
https://ja.forvo.com/word/kaos/
ジャワ語とトルコ語はカオスでしたが、デンマーク語はケイオス、
エストニア語とスウェーデン語はコースに聞こえました。蛇足。

(2)「女王様でも」
いちばんおもしろかった。"history"の"his"を"her"に換えた、
"herstory"なる言葉は知りませんでした。もしくは忘却してました。
生理が辛いものという考えは、男社会による洗脳で、
原始、生理はもっとナチュラルに受容されていた、
というフェミの考え方が、女性の多数派意見によって…という話。

(3)「インサイダー疑惑」
原題"Inside Job" 訳者自身による、邦題は経済用語に横滑りさせた、
もともとは「内部犯」とかの意味ダヨ、との説明があり、表題作同様、
なんでそんなことしたんやろう、と思いました。
中国語にしてネイブーと読ませ、"內部做的""內部干事"にしては如何、
とも思いました。
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41tjX4FgBhL.jpg
頁138、"thine"が登場し、アストラル界の住人はなぜ、
"thee"と"thou"の正しい用法を覚えないのか、という話になります。
以下、メンケンの言い回し。
頁145、がまの油売り スネークオイル・ベンダー
snake oil vender
https://en.wikipedia.org/wiki/Snake_oil
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6d/Clark_Stanley%27s_Snake_Oil_Liniment.png/330px-Clark_Stanley%27s_Snake_Oil_Liniment.png
頁154、駄弁 バンカム bunchum
検索すると、コーヒー用語やコーヒー専門店がヒットします。
転じて駄弁なのか。まさにダベる。
https://en.wikipedia.org/wiki/History_of_coffee#History
頁154、アメリカオロカビト ブーバス・アメリカヌス Boobus Americanus
頁156、愚民階級 ブーブワジー Booboisie
最初スペルが分からず、「おっぱい」の"boob"、
「大酒飲み」の"boozy"、しか検索で出ず、首をかしげ、
その後やっとスペルを見つけました。
http://ejje.weblio.jp/content/booboisie

頁157 『世紀の猿裁判』 グレイト・モンキー・トライアル
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Great_Monkey_Trial
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/0/02/Great_Monkey_Trial.jpg
スコープス裁判は、アスピリン・エイジでも読みました。
と思ったら、それは記憶違いで、下記で読んだのでした。
『オンリー・イエスタデイ―1920年代・アメリカ』Frederick Lewis Allen*1
頁157、いんちき ホーカス・ポーカス hocus-pocus
http://ejje.weblio.jp/content/Hocus+Pocus
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9
頁174 撃ってこい ファイアー・アウェイ Fire away
http://ejje.weblio.jp/content/fire+away
同   まるよん年 オート・フォー Aught-four
https://en.wikipedia.org/wiki/Names_for_the_number_0_in_English
頁175 ボルチモア ボールマー Bawlmer

メンケンの言葉ではありませんが、頁228、
ニュー・ビギニングズ薬物中毒治療センター
という単語にビックリしました。ここは原文見ると、韻踏んでるんですかね。

原文
There were several audible gasps behind me and then the beginnings of a murmur, or possibly a growl, but Ariaura paid no attention—
"—and he introduced me to one of the orderlies at New Beginnings Rehab center, and the deep masseuse at the Willowsage Spa for personal details Isus can use to convince them he knows all-sees all—"

ここの邦訳の、「男性」と「ティシュー」が何処から来たか、
それは私には分からないです。

あとのふたつの短編は、感想省略します。

作者の小説は、犬は勘定に〜と、ドゥームズデイ・ブック*2
あと何か読んだはずです。『ブラックアウト』が、未読のまま
記憶失陥でなく、ロンドン空襲の灯火管制の意味と知ったところで、
終わっています。なかなかや。以上