『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT (2) 』 (ヤングマガジンコミックス) 読了

考えたら私、シェイクスピア全然読んだことないんですね。
ハムレットと、ロミオとジュリエットと、マクベスの最初の三人の魔女。
「きれいはきたない、きたないはきれい」
―を、多分手塚治虫のバンパイヤで引用してたので、それで覚えた、
くらいでしょうか。だから黒沢の乱がリア王とか言われても、
埼京線伝説でなくてデウス・ウザーラの監督がピーターで撮った映画が、
リア王下敷きにしてたんですかそうですかすごいですね、としか言えないです。
あとなんだ、井上ひさしだか堀口大学だか忘れましたが、
イディッシュ語を東北の方言に置き換えて訳したのを、
人工国家イスラエルの翻訳者が、イスラエルには方言がないんだ、
といって悔しがったという逸話(たぶんかなりいろいろ取り違えて覚えています)
それくらいでしょうか。

このお話は、ご都合主義のアングリカンチャーチが支配する立教大学英国で、
隠れカトリシズム(見つかったら死刑)を貫かんとするシェイクスピア一行の、
ビルドゥングス・ロマンですから(ビルドゥングス・ロマンの意味を、
最近忘れていると思うので、ここは自由に、ミニマリズムとか、
羽田圭介へのクリティークとか、単語を置き換えて読んでいいと思います)
背教者ユリアヌスとか、遠藤周作マーティンスコセッシの沈黙とか、
いろいろ連想しながらスリリングに読んでも面白いし、
私は背教者ユリアヌスも沈黙も未読ですが、7人のシェイクスピアは、
楽しく読んでいます。スピリッツ連載冒頭だと、確か、
エリザベス女王まで取り込んでるんですよね、最終的に、
リーの言霊力、ヒトコトヌシのちからが発現して。
そこまでの波乱万丈が、デビュー後、小林まことの忠告を、
ひとつひとつ忠実に聞かなかったハロルド作石の安定したコマ割りで、
読むことが出来るのは大層幸せなことです。連載再開してよかった。

頁194のランス、否、シェイクの髪が、ちからなくぺたっと寝ていて、
オサーンになると、髪がまず立たなくなるタイプではないかと思いました。
あるいは現実の何かが作画に微妙に影響したか。以上
<付録:煽り文句打ち込み>

帯(改行は私に依る)
BECK」「RiN」「ゴリラーマン」「ストッパー毒島
ハロルド作石完全最新作
仲間たちの才能を集め、完成したヴェニスの商人」。
絶対的自信作を手に、いざ命懸けの“持ち込み”へ!!
世界的文豪シェイクスピアの“真実”を描く、超本格歴史ロマン第2巻!!

カバー袖
富と権力を摑み自由を支配する。

カバー裏表紙
圧倒的理不尽が蔓延はびこる世界で、痛めつけられ、
   心すらも引き裂かれた7人の男女。

―彼らが挑むは、文学史上最大の下剋上!!!

書き写しただけだと、原文の思いが伝わらない気もしました。