- 作者: 柴崎友香
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/02/25
- メディア: 単行本
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http://d.hatena.ne.jp/suijun-hibisukusu/20170909/p1
本当は2/3くらいまで読み進んだ程度なんですが、
フライングでここに置いておきます。以下後報
他ジャンルの作家のホラー挑戦というと、岩井志麻子の、
『ぼっけえ、きょうてえ』を思い出します。未読ですが。
- 作者: 岩井志麻子,甲斐庄楠音
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/07/10
- メディア: 文庫
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なのですが、この、かわうそは、作者自身が主人公なので、
その点、主人公自身も歪んでいる、奈落や陥穽に陥るスキがある、
主人公が語っているのか、憑依した何者かが語っているのか、
というところになかなか踏み込めない、自分をそういうキャラにしたくない、
というところが苦しかった気がします。別人を主人公にして、
底意地悪くネチネチとやればよかったのかもしれません。
これだと、霊感ないのに霊を見たと言い張る痛い人みたい…
とまで言うと言い過ぎかもしれませんが、う〜ん。
私も、このブログ書き始めてから、それまでまったく知らなかった、
島本理生や大道珠貴や絲山秋子の小説を読みまして、
世界が広がるというのはよいことだな〜と思ってますが、
柴崎友香さんは、この小説を読んだ限りでは、上のお三方や、
さらに大御所の佐藤愛子とか田辺聖子とかみたいには、
人格を曝け出さない、気もします。
例えば、鈴木さんという伏線が生きていて、
途中から鈴木さんの文章になってしまうとか、
そういうのが怪談というか恐怖というかホラーなのかと。
最近読んだ『たたり』も、主人公の歪みっぷりが、
幽霊屋敷とどんどんシンクロしてゆき、とりこまれちゃうです。
屋敷の残留思念と共依存してどないすんねん、という怖さだったw
映画エクソシストの何が怖いかというと、母親は娘を少女に固定しようとし、
少女の肉体はすくすく育って、母親の恋人が、イタズラしそうなキャラで、
こいつはやばいぞ、と思ってると破壊神パズスが覚醒してしまうわけで、
で、女の子はエクソシスト観終わった後、
「思ったより怖くなかった〜」「つまんなかったー」
と言ったりするので、それが何かの隠蔽かと思うと、すごく怖いわけです。
あくまで私個人の感じる怖さです。
そう言った意味で、主人公がどういう人間で、だから、
何を見てショックだったのか、という点が、
忘却してた小学校だか中学校時代の思い出、だけだと、
それは誰にでも起こる、普遍かもしれず、学校で孤立してたという点が、
なんで孤立してたのかよく分からないけれど、
あまり細かくも書きたくなかったのであろう、と思い、
やはり小説家自身が主人公というのはきつかった、と思いました。
以上
(2017/9/24)