『かわうそ堀怪談見習い』読了

かわうそ堀怪談見習い

かわうそ堀怪談見習い

ほかの方のブログで拝見した小説。
http://d.hatena.ne.jp/suijun-hibisukusu/20170909/p1

本当は2/3くらいまで読み進んだ程度なんですが、
フライングでここに置いておきます。以下後報

【後報】
イラスト フジモトマサル
装丁   名久井直子

他ジャンルの作家のホラー挑戦というと、岩井志麻子の、
ぼっけえ、きょうてえ』を思い出します。未読ですが。

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

これ以前はシマコーはコバルト文庫書いていたという…

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E4%BA%95%E5%BF%97%E9%BA%BB%E5%AD%90#.E4.BD.9C.E5.93.81.E3.83.AA.E3.82.B9.E3.83.88

なのですが、この、かわうそは、作者自身が主人公なので、
その点、主人公自身も歪んでいる、奈落や陥穽に陥るスキがある、
主人公が語っているのか、憑依した何者かが語っているのか、
というところになかなか踏み込めない、自分をそういうキャラにしたくない、
というところが苦しかった気がします。別人を主人公にして、
底意地悪くネチネチとやればよかったのかもしれません。

これだと、霊感ないのに霊を見たと言い張る痛い人みたい…
とまで言うと言い過ぎかもしれませんが、う〜ん。

私も、このブログ書き始めてから、それまでまったく知らなかった、
島本理生大道珠貴絲山秋子の小説を読みまして、
世界が広がるというのはよいことだな〜と思ってますが、
柴崎友香さんは、この小説を読んだ限りでは、上のお三方や、
さらに大御所の佐藤愛子とか田辺聖子とかみたいには、
人格を曝け出さない、気もします。

例えば、鈴木さんという伏線が生きていて、
途中から鈴木さんの文章になってしまうとか、
そういうのが怪談というか恐怖というかホラーなのかと。

最近読んだ『たたり』も、主人公の歪みっぷりが、
幽霊屋敷とどんどんシンクロしてゆき、とりこまれちゃうです。
屋敷の残留思念と共依存してどないすんねん、という怖さだったw

映画エクソシストの何が怖いかというと、母親は娘を少女に固定しようとし、
少女の肉体はすくすく育って、母親の恋人が、イタズラしそうなキャラで、
こいつはやばいぞ、と思ってると破壊神パズスが覚醒してしまうわけで、
で、女の子はエクソシスト観終わった後、
「思ったより怖くなかった〜」「つまんなかったー」
と言ったりするので、それが何かの隠蔽かと思うと、すごく怖いわけです。

あくまで私個人の感じる怖さです。
そう言った意味で、主人公がどういう人間で、だから、
何を見てショックだったのか、という点が、
忘却してた小学校だか中学校時代の思い出、だけだと、
それは誰にでも起こる、普遍かもしれず、学校で孤立してたという点が、
なんで孤立してたのかよく分からないけれど、
あまり細かくも書きたくなかったのであろう、と思い、
やはり小説家自身が主人公というのはきつかった、と思いました。
以上
(2017/9/24)