早稲田松竹にフロリダ・プロジェクトを観に行って、併映だったので見ました。とんだ拾いもので、よかったです。Leave room 6 inches for the holy spirit.
ロゴの書体、合わせてもよかったのに、日本語タイトルが別の書体を選択した理由が知りたい気もします。主演女優さんが、こないだ観たハンガリー映画「心と体と」のヒロインに似てる気もしました。いくら白人がフケ顔だからって、このノーメイクの荒れた肌でJKはないだろ~と思いましたが、邦画にも「青葉茂れる」とかありましたし、学ラン着てれば誰でもDK、セーラーブレザー着てれば誰でもJK。
https://en.wikipedia.org/wiki/Lady_Bird_(film)
21世紀アメリカ版 『小さな恋のものがたり』チッチ&トン子といった趣でした。しかし設定は2002年~2003年で、ジョブズのスマホ以前、イラク本格侵攻真っ只中。
人は誰でも、国外留学はちょっと…であっても、国内の別の地方の上級学校に進学してみたいもので、ヒロインは、開放的でフリーの西イメージとは裏腹に守旧的なサクラメントで育ち(分かりやすい日系人は出ません)、そこから東部への脱出を夢見ています。学業成績も、家の資産も、なかなかおぼつかないのですが、そこはなんというか、オルタナ系の子なので、世界のどこかに、自分のまだ見ぬ中央線沿線があると信じている。
そういうテーマの作品を早稲田で観たということで、少し心が動かされました。関西人はどこ行っても関西弁直さないな、という陰口をスルーする、関西弁と標準語を見事に切り替えられる人たち(沢口靖子とか鈴木杏樹とか。切り替えられる人のほうがむしろ人口としては多いと思うのですが、標準語喋っている限り関西人だと分からないので、サイレントマジョリティーのまま、顕在化しない)とか、京都の最大派閥異邦人、客なのに外食後お店の人に「おいしかったですありがとうございますまた決ます」と言わねばならぬと調教薫陶を受ける上京学生の群れ、その辺の心理は古今東西普遍だなと。
このあたり、喫茶店と隣の中華くらいが、かろうじて昔からあった気がします。早稲田松竹というと、往年のそれとは隔世の感がある、荻野アンナシアターとして文化再生されたとは聞いていて、それでこういうラインナップをかけるようになったんだなと。
かなりお客は入ってました。入れ替えなしですが、途中で再入場券をもらって外に出て戻るのは自由。飲酒鑑賞酒気帯び鑑賞はかなりの御法度のようでした。
この映画はいちおう母娘の相克もきちんと扱っていて、この医療関係者の母親は、老後娘に介護してもらおうと思ってないんだろうなと思いました。母娘が口論する横で、失業中のうつのパパが、パソウコンに向かっているのですが、ソリティアやってるだけで、笑いました。そのパパが、就職面接で、やめた会社のことを悪く言う場面はよかったです。私は中高年向けの再就職セミナー(職安主催、外部団体委託事業)で、団体が雇ったサクラみたいな連中(失業者仲間という触れ込みでしたが、なんかプロみたいな感じで、額面通り受け取れなかった)を面接官に見立てた仮想面接訓練で、以前の職場をボロカスにけなして、「それは云っちゃいかんでしょう、御法度だ」とだけ言われた思い出があります。
ステップブラザーは中南米系のメスティソというかムラートというか、の人で、子どもが生まれそうになかったので慈善で養子とったら妊娠した、のパターンのようでした。この兄はバークレーを出ながらスーパーのレジバイトなのですが、成績がぱっとしない主人公レディ・バードは、兄の大学合格を、人種枠だ、デセグリゲーションだ、と、言ってはならないことを言います。ここは、あ~あって感じでした。言うなよ。
プロムで終わるのかな、と思いながら観ましたが、その後もフィルムは続きました。東部での学生生活スタートと新歓コンパで急性アル中で担ぎ込まれてその後まで。髪の毛が緑色って、周囲を見ても恵まれた人生ではない気がします。半分、青いのキャラは知りませんが…18歳になった当日、それまで買えなかったものすべてを買いに行く場面もよかったです。
以上
【後報】
「それから」は、青春ダイナマイトスキャンダルクサいので、あまり…ただ、「夜の浜美枝でひとり」はいい題名だと思いますので、「正しい日間違えた日」とコンボで観たかったです。と、抱き合わせの苦労も知らずに言いたい放題。
これも、「浮雲」と「山の音」で…まあいいや。浮雲は原作しか読んでないので、仏印ダラトで苺喰いまくる場面とか、鹿児島まで鈍行で移動中えんえん食べ続ける場面とかが、映画でもあれば観たいです。一月四日に行こうかな。
(2018/11/30)
【後報】
レディバードって、テントウムシ🐞の意味だったんですね。それであの髪の色なのか。思った以上にナウシカよりの奇人だった。
下記の本でそれを知りました。為念。
(2019/3/20)