「海の彼方」(原題:海的彼端 After Spring, the Tamaki Family...)劇場鑑賞

公式 https://uminokanata.com/
MoolinFilms当該頁 http://www.moolinfilms.com/jp/?p=100

食べログ風前振。仕事明けで明日も仕事で雪予報、の合い間を縫って、見た映画。初めからこの日に観ようと決めてたので、無事見れてよかったです。前売りを買ってればもう少し余裕がある時に観れたのですが、前売り買うヒマもなかった。ジャック&ベティは前売りの通販も、されてるそうですが… 今日は木曜メンズデーと、映画の日が重なってて、それは少し残念閔子騫。来週さ来週と木曜都合がつかず、しかしここで観たい映画があるので、別の日に少しでも安く見れるよう、その前売りは今日買いました。スタンプカードがあと少しで埋まります。クレカなどが使えるともう少しよいです。52Hzは\1,500もした。

で、野郎の日ではないので、語り部のベーシスト*1のファン?とか、
それなりに女性観客も散見されました。でも鼻をすする客は大概男性。
たいわん、というより、沖縄かな。沖縄ヒストリーと家族の肖像。
鶴見は有名ですが、それ以外の横浜でも、沖縄関係者、もしくは、
かつて沖縄だった故郷喪失者に逢うことは、難しくありません。

水牛とパイナップルは台湾移住者が持ち込んだものだ、という話が、
まず目からウロコでした。
ちょうど映画でも出てくる、八重山最後のパイン罐詰会社倒産の時期、
私は八重山にいて、コマーシャルにもなった、由布島の牛車とか、
見ていて、沖縄ってこうやって水牛使ってるんだあ、と納得してたので、
それが台湾から来たという映画の語りは、ほんと衝撃でした。で、
台湾パイン国有化の影響で、八重山に活路を求めて移住した集団がいて、
マラリアに悩まされ(映画は言ってませんが確か原虫根絶は米国統治時期)
終戦直前には沖縄から台湾への集団疎開もあり、国民党治世下の台湾から、
今度はツテを頼っての密航… ひるぎ文庫やいま文庫の、
八重山の台湾人』という本が詳しく書いていて、監督もそれ読んで、
映画を考えたそうで、今は品切れみたいでした。下記は関連検索で出た本。

台湾疎開 「琉球難民」の1年11カ月 (やいま文庫10)

台湾疎開 「琉球難民」の1年11カ月 (やいま文庫10)

石垣島で台湾を歩く―もうひとつの沖縄ガイド

石垣島で台湾を歩く―もうひとつの沖縄ガイド

もっとも、私も、当時から、カタコト北京語は話していたので、
あそこのおうちは台湾から来たんだ、とかそういう話は聞いてました。
深い話は聞けていません。映画で語られる、タイワンナー、とかも、
知りませんでした。逆に、映画でまだ語っていない、ひょっとしたら、
三部作最終作「両方世界」の八重山華僑青年団で語られるやもしれぬ、
戦後農村の嫁取り問題、お見合い業者の斡旋で、
日本に近いということで台湾からやってきたヨメさんと、
けっきょくあわないから別れた、などの、
本映画の移民をオールドカマーとするなら、
ニューカマー台湾人の物語も、ごった煮に聞いた、です。
あと、これも映画で語っていない、戦前台湾の警官は、沖縄出身者が多く、
イギリス人とマレー人のあいだにインド人が果たしたような、
役割が図らずも沖縄警邏を巡っては付いて回っていた、も、
今後の作品で描かれるのかどうか、興味深いです。

字幕が、言語の違いが分かるように、もう少し凝っていれば、と思いました。
私は主に、台湾語と國語の区別が日本人にも分かるようにしてほしいな、
と思ってそう言うのですが、台湾からすると、日本語の中での、
ウチナー口とそれ以外について明確化してほしいと思うかしれません。
ヨーガリー(やせた人)と、グテーマンデー(マッチョ)は、
字幕にもカッコで意味を記載していました。でもそれだと、
広島に住んでる長男の関西弁とかどうしたもんだか。父親の漢名、
最初字幕に台湾語読みのカッコが出て、その後、子女の口から、
日本語の音読みが出ます。中華民國の栄光ある国連脱退の場面、
ゴンベイゴンベイ言ってたので、何だろ?共匪はゴンフェイだし、
共産北京の略かな、とか考えてました。たぶん頓珍漢な考えです。

産経ニュース 2017.8.5 02:00
沖縄に渡った台湾人 「海の彼方」を撮った黄胤毓監督(2)
http://www.sankei.com/premium/news/170805/prm1708050005-n2.html
「とにかく言葉の壁は厚かった。台湾語を話すお年寄りがいても、戦前の古い言い方なので私は理解できない。日本語も沖縄の言葉なので、最初は本当に苦労しましたね。でも若い人が頑張っているね、みたいな感じで、みなさん歓迎してくれた。150人のインタビューは、私にとっていい練習になりました」


映画やパンフでは監督の名前はカタカナ記載で、「胤毓」なんて、
そうそう読めないからあえてカタカナにしてるんだろうと思いました。
もちろん日本語の音読みでインイクと読むわけですが、
それをその通り外国人が言うだけで、コンプレックスを刺激される人もいるので…
藤井省三と高島俊夫の呂明賜*2論争を思い出す。慣用に従って、
風呂の「ろ」と読むか、三国志呂布などがあるのだから「りょ」と読むかの論争。
まーあれは形をかえたウヨサヨ代理戦争でしたが。監督名のアルファベットはピンイン
監督の省籍(本省人内省人かとかそういうの)は分かりません。
現時点で、語られないことなのか。

三部作、〈狂山之海〉というそうで、クワンシャンジーハイ
(クワンサンズーハイ)と呼んでましたら、これは日本語で、
くるいやまのうみ、と読むのだとパンフにあり、肩透かしでした。

プーリーだか彰化の夜市で、ベーシストらが射的やったりする場面、
日本語で「頑張って!」「ありがとー」と声かけられてました。台湾。

映画の、八重山の三世四世たちを見ていて、華僑、華人、そして華裔、
という言葉を思い出しました。この映画の援護射撃動画の、ひととようの、
肩書は【在日「台灣系」名人】ですが、私が想起した単語は「華裔」


東山彰良編もあった(笑) 大陸留学する際、吉林大学を選んでるんですよね。
私も吉林は好きな町なので、そこは知りたいと思います。ハングルでキルリム。

孫が27人、ひ孫が40人という反面、プーリー、否、ほりの生家周辺は、
孤独死が心配される姪がひとりいるだけ、彼女は荒れ家に住んでいる、
という対比がキツいなと思いました。落地生根そのまんま。

・翻訳アプリが駄目なのでなく、曖昧な日本語ガーという説。
・バブルの場面に70年代だかの映像はおかしいのでは。
・「台湾楽しや」の歌詞♪山で斧振りゃ気も晴れる、
 アモクランナーかと思いました。

https://en.wikipedia.org/wiki/Running_amok
・とってつけたように沖縄と基地のアレが出ますが、
 私は、八重山には基地がない(現在)と思ってますので、
 八重山では、逆に、基地があるから生まれる雇用もあるのに、
 本島はなんで反対するかねーみたいな人にも会いました。
 佐世保やむつみたいに、そればっかに着目すなっ!
 てな人がいる町とはまた違いますが…
 で、台湾も当然反共最前線として基地がありましたので、
 かつて米兵あいてのバーが並んでいた台北農民舎などは、
 私も行ったことがあります。でも今、そんな地名が見つからない。
 模造記憶じゃないはずなんだけど…監督は当然、
 五二四事件(劉自然事件)なども知っているでしょう。
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E4%BA%8C%E5%9B%9B%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 1957年に起こった、劉自然という人が米国軍曹レイノルドの奥さんの
 入浴を覗き見かなんかして射殺され、レイノルド証拠不十分無罪、
 台湾初の反米暴動に発展し、米国大使館に暴徒侵入破壊した事件。
 戦勝国同士でもそういうことは、あるってことで。

で、三部作二部のクラウドファンディングがパンフ巻末に書かれていて、
西表島の炭鉱を舞台にした「緑の牢獄」だそうで、う〜ん、
緑島というかつて有名だった中華民國政治犯収容所を連想するのは兎も角、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%91%E5%B3%B6%E9%83%B7
自虐史観がキライな人からは、資金がほしけりゃ北京に頼めよ、
いやいや北京も花岡とかありまんがなせやし台湾を隗より始めよ、
ってわけにもいかへんやろそもそも尖閣問題では台湾も以下略
金は出さずに映画を自分の趣向に合わせた出来にリモートコントロール
出来たら最高やな、みたいな会話してる人もいるのかな、
とやきもきする間もなく、クラウドファンディングは終了したそうです。




以上
【後報】
埔里鎮 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%94%E9%87%8C%E9%8E%AE
オバアは國語が分からないので、台湾旅行のなにがしかは、
國語世代の監督がアテンドしてるとパンフにありました。
その意味で、故郷埔里で原住民歌劇団が國語の歌流して、
それにあわせて表演する場面は、監督としては、時代の変遷を示したつもり、
なのだろうと思いました。で、映画には出ないのですが、
オバアは毎晩台湾語のラジオを聴いているそうで、
えっ台湾語って電波禁止ちゃうんと思って検索したら、
禁止は学校教育で、放送に関しては、'70年代に割合20%以下の法が施行、
との論文が検索で見つかり、完全禁止ではなかったんだな、
と思いました。映画だと悲情城市が初めて台湾語を前面に出した、
と思ってますが、そうでもないか知れません。そこそこセリフあるかな。
で、検索すると、「ホーロー語」という言い方が出てきて、
この言い方を推奨したい人がいるのは分かるのですが、
台湾語というと、台湾と言うネーションの言語、という意味にもなり、
 客家語外省人の國語、原住民の各言語も含まないとおかしいし、
 閩南語と言うと、福建南部の、アモイなんかの言葉とも同じ、
 ということになり(実際そうですが)、台湾独自というより、
 中国語の一方言、という意味合いが濃くなるので、それでホーロー)
で、ホーロー語は、福佬語とか河洛語とかHo-lo語と書き、
前二者は当然北京語で読むとホーローとは読めませんので、
それで頭がこんぐらがるので、私はあまり使わないです。
河洛はまだ分かりますが、福佬は、北京語でf音の「福」が、
h音になってしまうのがどうしても… 福建麺は現地で、
ホッケンミーですし、ハノイの福建会館であった人も、
ホッケンホッケン言っていて、最初法顕かと勘ちがいして、
入唐求法巡礼記の入唐を「にゅうとう」と誤読したことを、
(ただしくは「にっとう」)思い出したりします。

Yahoo!知恵袋 2014/08/19
平安時代のなぞなぞで「母に二度会い、父には一度も会わず。」答は唇なのですが、Fの音はいつの時代から無くなったのですか。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12134354007

あと、孫が台湾で、オバアと同じ味だ、知らず知らずのうちに、
家庭では台湾の料理を食べてたんだ、と発見する場面、
沖縄も相当油っこい(揚げ物が多い)と思うのですが、
パパイヤのおしたしとか、そういう箸休めは、台湾とは違う、
のだろうなと思いました。
(2018/2/3)