映画「孤狼の血」(The Blood of Wolves)(Korō no Chi)(KOROU NO CHI)劇場鑑賞


海老名 最終日滑り込み鑑賞です。

早朝割引ないのですかと聞いたら、本日は東宝シネマズデーで全編1,100円でご覧になれます、とのことでした。バブリー♪ラッキー♪

http://www.korou.jp/
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Blood_of_Wolves
英題は、邦題についてるアルファベットと、英語版Wikipediaどっちが正しいか分からなかったので、併記しました。
けっこう入ってましたが、朝っぱらからヤクザ映画観に来るなんて、どこの新幹線か分からないと観客同士相互疑心暗鬼になっていて、かなりみんな席を離れ合って鑑賞しました。映画が終わった後、なんかすがすがしい感じでみんな劇場後にしてまして、昔はヤクザ映画というと鑑賞後肩で風切ってわざとぶつかって歩くような人が多かったと言いますが、そうした往古の光景とは違う、カタギの世界娑婆の世界の素晴らしさを実感して生きてゆこうと、皆考えながら歩いてゆくように見えました。ひとえにそれは、原作者柚月裕子のチカラではないかと。

孤狼の血 (角川文庫)

孤狼の血 (角川文庫)

私はこの原作者の小説は、検事の本懐シリーズを二冊読んだだけですが、確かカルチャースクールみたいな小説教室出身で、そこを初期作品のアマゾンレビューなんかでは、同性の嫉妬なのか異性の嫉妬なのか、かなりねちねちネット上で叩かれていて、しかし彼女は折れなかった、最近も、私が図書館リクエストで三十何人中三十何番でじっと待ち続けているバターとか、頑張った、勝ちに行った、そして勝った、という感じで、その彼女ならこう女性に云わせるんだろうな、こう男性に云わせるんだろうなという台詞が期待にたがわずさく裂していて、そこがよかったです。

2015-10-20
『検事の本懐』 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20151020/1445355641
2015-11-07
『検事の死命』 (「このミス」大賞シリーズ)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20151107/1446880943

R15+指定ですが、指定にしたからしゃあない、という感じで豚のクソ食わせたりえんこ飛ばしたり真珠ぬいたりする場面を出してます。ホントは、教育上よくないから(真木よう子の息子役も、大人の世界は見ないようにしてるし)R指定にまずして、その上でアリバイ的に残虐描写を付け加えてる気がしました。

江口洋介の名前がイチノセだったりモリタカだったりで、どっちならと思いましたが、「一之瀬守孝」だそうで。奥さんのことをみんなでヒューヒューはやしてるのかと思った。
真木よう子は、プロデューサーが紙の上で決めたときにはハマリ役だったのでしょうが、衣装合わせとかで、首とか髪形とかであれっとなったけど、今さら代えられなかったという感じにも見えました。本人には申しわけないですが、尾野真千子で観たかった気もします。そりゃありえないか。衣装代で映画予算潰すのはよくないですが、バブル承前の昭和63年に、ポリエスエル全開の和服はどうだろうかと思ってみたりです。ポリエステルに見えるんですが、違うかな。
小道具さんがたんたんと、現代の風景を予算の範囲内で昭和63年に見せようと、電話ボックスに出張デリヘルのチラシ貼ってみたり頑張ってましたが、ワイルド7の上のこち亀がコンビニマンガだったので、この時代まだコンビニコミックスねーよと思いました。神は細部に宿ります。チバリヨー。
呉原東署署長が、ツァイ・ミンリャンの新宿映画「アイチンワンスイ」の、お墓のセールスマンのヘンタイ役に似てると思いました。今にもスイカをくりぬいて顔にしてディープキスしそう。
既に鑑賞済みの人が、若いチャンネーがけっこうエグいセリフ吐くよ、面白いよと言ってたのですが、見てて、どの部分かピンと来ませんでした。その人はネトウヨなので、「万引き家族よりぜんぜん面白い映画だよ」という印象操作的結論だけ言いたかったのかもしれないと思っちょりますけん。
ひろだいは、バブル前期青田買い時代の申し子のはずなので、終身雇用なんてダサい、職業選択の自由アハハンとケーサツやめてもいいのに(ジッサイこの時代は公務員の地位を簡単に捨てる若者が多かったはず)なぜか現代人の、就職超氷河期をくぐりぬけてきて、年金ももらえるかどうか分からないので、石にかじりついても辞めない、というメンタリティーを持っていて、そこがミスマッチといえばイスマッチですが、でもそれがあるから、観ている私たちも感情移入出来たと思いました。ホントのバブルの軽佻浮薄であったなら、観ていて引いたと思います。

原作者は、山形の人なのに、なぜ広島弁にこだわりんさるんかのう。そこが分からんのんじゃ。以上

【後報】
マニトウがアレの、大友克洋童夢』で、ケーサツひとすじ、ケガしてその影響でその後の生活がアレでもサツカンやめへん、はずの鬼刑事だかなんだかが、警察やめる場面があります。それが'80年代クオリティだった、と思い出します。
(2018/6/23)