このまんがはラズウェル細木サンが同じ雑誌に連載、同じ出版社から単行本化した『パパのココロ』を巡るパリッコサンらとの鼎談で知り、三冊読んでいたのですが、なんとなくもうマンネリかなと思い、続きもブッコフで買っていたのですが、読んでませんでした。が、あんまり置いとくのもなんなので、読みました。これでいったん完結。連載時もう上の子は小学四年生くらいにはなっていたようで、しかし読者のヤンママたち(ヤングママという意味です、為念)はいつもだいたいこどもが幼稚園くらいまでの年齢層なので、マンガの中ではこどもたちは年齢がサザエさん的に固定化され、作者も苦しいかなと自分で思ってたんではないかと。この後、反抗期を飛び越して、思春期の高校生くらいから、自我の確立されたこどもたちの本人了承を得て思春期編や成人編、就活編などが描かれ、あとは子離れした後の夫婦シニアライフ編に移行します。


こんな表紙。日本語では「よたび」ですが、英文ではフォレバー、「永遠に」になっています。


買ったのは四刷。値段は忘れました。●デザイン/稲穂誠一 ●料理指導/前田廸子 終わりの方に時短料理レシピまんががあるので、それでだと思います。1995年12月号から1998年4月号までの連載分収録。プロローグとエッセイは描き下ろしとのこと。そういうことをしっかり記載出来る出版社がなくなったのは、やっぱりさびしいというかなんというか。カンゼンは見習ってほしい。
新社長に交代後、デジタル化を急ぎ過ぎて、急激に紙雑誌を相次いで休刊したので資金ショートして破産したという、そんなことありうるのかみたいな出版社。すごい話。


この時代の漫画家は今のデジタル全盛より、絵がうまいというか、勉強してうまくなっていってると思います。『ペルシャが好きっ』の一巻だけ買いましたが、石膏像をデッサンして、角度によって顔という立体はこう変わるってのをよく把握したらいいのにと思ったのが、たぶんどんどん出来ていく。右の公園デビューは、その時期を思い出しながら描いていて、カラオケなのは、左のこどもを寝かしつけるコマともリンクしていて、カラオケボックスが普及する前女同士で温泉スナックでカラオケ歌ったらマスターから歌い方についてダメ出しされるという昭和的エピソードや、平成になると「板橋マダム」はこどもを寝かしつけた後誘い合わせて夜十一時からカラオケスナックに行くが、メールもSNSも携帯もない、携帯電話普及初期なので(ポケベルはある)事前にもう約束して、昼のうちにボックスに人数予約しておくというエッセイが、頁123にあります。板橋ってスゲえなと思いました。清野とおるサンのまんがだと縁切り榎があってこわいですが、うまいこと回避すればよいのか。
頁137。素人の主婦友「板橋マダムズ」にアシを頼んでも、それなりにこなしてしまうというコマ。こういうのを発掘して働いてもらおうという露骨なムーブメントが令和なんだと思います。好きな仕事でなきゃ楽しくないって視点が、大切だと思う。
頁77。公園デビューのまんが。いろんな人が来るけど気にするな、という箇所。そして、上のコマの、年をとればとったでまた新しい友達が出来るという素晴らしい展開につながります。孤独死予備軍の私としてはうらやましいかぎり。そこは性差な気もします。
主婦兼業漫画家として「手抜き」を偽悪的に惡の華として描く著者ならではのコマ。
頁44に「これはうまい!」と「最近作っておいしかった料理」を描いてるのですが、味の創造想像がまるで出来ませんでした。
「白さいの浅づけをダシでにる」
「うんとにたらイカの塩辛を入れる」
「いっぱい入れる」
「あと5分にる」
「七味をふってできあがり!」
「これはうまい!」
まったく味が予測つきません。
同じページに「ちょっとうまい!」料理も載っていて、ふつうにうどんを作って、けつねうろんのおあげは、出来合いの稲荷寿司のおあげを切って使うというもの。また、「これはまずい!」料理も載っていて、鶏肉を塩胡椒で焼いて、すりおろしニンニクとチーズを入れて、美味しいかと思ったら、びっくりするほどまずかったというもの。独り者でない家庭でも『鬱ごはん』はありますよという。だからだいじょうぶ(何が大丈夫かは知らない)


巻末の書籍広告にある伊藤比呂美育児四部作と、頁145のクッキング千手観音。
頁91。こういうコマもありますが、パートナーの寝顔を見ながら、真剣に「なんで離婚しなかったのか」過去を遡行する話もあります。この巻だったか、この後の子離れ編だったか忘れましたが… 共稼ぎ前提で働いていたんですが、パートナーに激怒してもっと稼ぎのいい仕事に移るんでやめた女性のエクストラハズバンドが職場に電話してきて、連絡先とか知らないかと聞いて来た時(もちろん誰も知らない)の、おそろしく気まずい気分を思い出しました。
いいまんがですが、もう時代は戻れない。あと付け加えるとすると、頁7でパートナーがサッカー観戦して「やった~!日本ゴール」と喜んでいるテレビ画面に映ってるユニが青でなく赤で、たぶん色を塗る時気にしてないかったと思いますが、あとでパートナーから「これじゃ韓国代表、レッドデビルじゃないか、どうしていつもいっしょに見てるのに分かってないんだよ!」「そんな細かいとこ注意してないわよ、だいたいほかのことしてるし。てゆーか相手チームが映ってることにすればいいじゃないの、オウンゴールというていで」という言い合いがあったに2ペリカ。以上