『太平天国演義』〈弐〉甲斐谷忍(SCオールマン)"Romance of Taiping Heavenly Kingdom" vol.2 by KAITANI SHINOBU〈SC ALLMAN〉読了

次巻予告!! SC ALLMAN ALLMAN オールマン 凶悪なる匪・洪火秀と共に冤罪をかけられた妹のもとへと 向かう石達開。 だが、その先で 待っていたものは・・・!?!?!? 太平天国演義 第3巻 甲斐谷 忍

3巻は市場に出てるのがボッタ値しかないので読まない積もりでしたが、2巻がここまでだと、読みたくなります。2巻が1巻よりいいわけでもないのですが…

頁29。2巻は客家史観が満開で、といっても東洋のユダヤ人とかそういうのではなく、後発で南下したエスニック集団なので、先住の南方漢族からやたら虐げられていたという描写が多く、ちょっとそれに辟易するというのが、1巻に比べて2巻が低評価になる一因。

练团

頁177。台湾に行った時、新竹だったかな、客家の多い街にも行ってみたのですが、その辺の屋台のオバサンの言ってることがまるで分からなかった。もっとも、例の悲情城市九份に行った時もバスの運ちゃんの言ってる閔南語がまるで分からなかったので、それが漢語の何方言であっても分かるとは言い難いのが私なのですが… さがみ野に台湾客家料理の店があって、町中華からガチ中華への移行期、進化の過程におけるミッシング・リングみたいな位置づけのお店なのですが、地球の歩き方広東省客家の町の名物料理として《盐水鸡》とか出てたので、ありますかと聞いて、なんだかよく分からなかった思い出はあります。

頁132。主要キャラがなまなかには回復不可能な深手を負うのが低評価の理由その二。肩甲骨の隙間に刀を二本もブッ刺されて、チャイニーズ・オペラの役者みたいになってまんがなという。これがいつの間にか読者も忘れる頃にあっけなく治ってるとマンガですが、でもこれはマンガ。

の武術の達人、《石达开》サン*1も深手。太平天国の領袖、老干部、《冯云山》サン*2と《韦昌辉》サン*3も①巻から登場してマス。

哈ー哈ー哈ー

頁149。②巻は①巻に比べて、漢字の擬音が少なくて、ここともう一ヶ所しかありません。石達開は分かりやすい単細胞の熱血漢として描かれ、クールだが実はソウルは熱いみたいな洪火秀に比べて使い勝手がよさそうです。動かしやすそう。そのうち辮髪やめたらどういう髪型にするのか。しかし彼のアキレス腱が妹で、やたら善人な妹のために命をかけるという、なんかマンガでよくあるありきたり設定みたいなのがう~んなのが低評価その三。

呜呜呜呜呜呜 ザ

頁116。もう一ヶ所の漢語擬音。前巻にも出たヤツです。「ザッ」とか「ゴゴゴゴゴ」みたいなジャンプ擬音のコマも当然あるのですが、漢語化されてない。残念閔子騫

頁25。馬蹄銀が出ます。イザベラ・バードが切って使ってたんだか、日本の密偵サンが使ってたんだか(チベット潜行ナントカ年で)忘れましたが、ある程度本でも映画でも見聞きしてれば、ああ、そういえばとなる歴史考証。

馬蹄銀

頁30。銀貨は洋銀なので、アルファベットが刻字されてます。こういう歴史考証に基づいたコネタ描写は、間違ったら突っ込まれるリスク込みで、「それを楽しめ」の世界だと思います、クリエイターにとっては。

◉cover-design/K. Holee ■マンガオールマンH12年(2000年)No.9~No.14、No.16~No.18掲載分収録。

頁62。どうしても現実の邪教カルトとフィクションとして漫画化した英雄を混同するポテンシャルがあって、そこはどう料理しても間違った解釈をするレイヤーの人がいるので、それでやっぱり電子版が出てないのかなあという。

頁63。この馮雲山のセリフが甲斐谷サンの料理のすべて。つるこ教もファールンゴン(三声二声一声)もこういうことはしてないはずなので、そこでフィクションと分かるよねと。オウムはちょっとこういうことをやった。無辜の民だけでなく権力者を攻撃。

頁28と頁48。スパイを炙りだすためにキリスト教の習慣を利用した箇所。これはネタバレなので、すんまそんです。

 こういう漫画をやっていると、おのずと中国人の書いた書物を読む機会が多くなります。その多くが歴史の学術書ですが、これが意外と面白い。  ニュートラルな視点であるべき学術書にもかかわらず、どう見ても善人は善人、悪人は悪人と誇張して記されています。これも国民性なのでしょうか。  そういえば世界史の教科書はつまんなかったなあ。  ・・・いやそれが正しい姿なんでしょうが。

中表紙とカバー折の著者近況。

19世紀の中国、清朝末期――悪の限りをつくし恐れられる洪火秀こうかしゅう。その首には五千両もの賞金が賭けられ、常に刺客に狙われていた。紫荊山しけいざんの貧しき村で「神」として崇められ、村人と接するにつれ次第に変わりはじめた洪。だが、その洪に最強の刺客、石達開せきたっかいが迫る!!!! SHUEISHA SCオールマン COMICS 12月新刊好評発売中!!

カバー裏の煽り文句(内容紹介)と新刊広告。春日光広とか懐かしい。石川優吾サンは今でも連載してますが、この人はどうしたかな。周良貨サンはモーニングで夢野一子サンと組んだ『この女に賭けろ』が面白かったのですが、なんで集英社に転籍したんだろう。名前に意味を込めすぎてるので、ペンネームだとすぐ分かります。でも邦人とは決めきれない気瓦斯。

カバー(部分)洪火秀と石達開。文章は一巻と同じ。

カバー(部分)太平天国のクロスはこんなんだったんでしょうか。こういうのを描くのも楽しかったろうな。買ったのは帯なし、そこそこ汚れてました。終活断捨離本ならいいのですが、孤独死家財整理で出た本だったらあれかな。まあ供養します。以上です。