『テンジュの国 1 』 "BLISSFUL LAND" (KCDX)読了

 design YASUHISA KAWATANI 別冊少年マガジン2017年11月~2018年3月号掲載=五話。

テンジュの国(1) (週刊少年マガジンコミックス)
 
テンジュの国(1) (KCデラックス)

テンジュの国(1) (KCデラックス)

 
  近所の本屋に1, 2, 4巻があり、手に取ってつらつら眺めを繰り返し、ある日買ってみました。そしたら翌日、速攻で1巻補充されてましたが、3巻はないままでしたという。

早くも5刷決定!売れてます!心優しい少年と不思議な花嫁が織りなす、チベットの日常満載のほのぼの物語。幸せ運ぶ、異国の花嫁。

帯背表紙

早くも5刷!!

帯裏

チベットのおいしい食文化がまるわかり!!言葉も文化も違う…。他民族の花嫁・ラティとのドキドキの新生活は!?

カバー裏

十八世紀、チベット。山間のとある村に住む医者見習いの少年、カン・シバのもとに異国から花嫁がやってきた。彼女の名前は、モシ・ラティ。初々しい二人は、少しずつ距離を縮めやがて家族となっていく――。チベットの日常と共に描く、花婿と花嫁の物語。

 1巻では花嫁の民族のヒントは、服装しかないので、少数民族服飾マニア以外けむにまかれてますが、2巻で、地名のヒントも出ますので、ああそうですかと思う人は思うという。こんな簡単な服装ヒント、なんで分からないんや!!と怒る人はいないと思います。日常でもこんな装身具ごてごてつけて暮らすのって、重くないかしらとは思いました。ほんとなのか(という点が多々出ることは避けられない地理と民族を描くわけですので、作者はほんと大変だと思います)

頁33で、ツァンパをこねるしぐさをちゃんと2ページも使って描いたので、それで、膝を正して読むようにしました。これ、なにげないけど、素晴らしい描写です。私は一口大にはせず、オダンゴ状にします。

異民族との通婚に関して言うと、ミャンマーのコーカン族(果敢族)は、明の時代に大陸の歴代王朝から別れた漢民族で、漢民族なんだけど雲南側の漢族と通婚もしない、という話を高野秀行のアヘン王国で読んだの思い出しました。通婚する民族しない民族。

コーカン族 - Wikipedia

この漫画の頁100あたりの草むしりの場面も、高野秀行のアヘン王国で、罌粟畑の草むしりする場面を想像してしまい、にやにやしました。とともに、チベットの畑仕事というと、いもむしを見つけてつまむとそのまま貴重な蛋白源としてヒョイパクするのですが、わたしゃ真似出来ないだよ、と思ったのを思い出します。

異民族との通婚にも関連するのかな? イキナリ冒頭で村の全景が登場し、こんな高層建築の立派な家ばかりのしかも石の地域ってどこだろうと思うと、もうすぐ赤い髪の房をつけた人々が登場し、えっ、そうなの、と思いましたが、赤い房の説明は4巻を待たねばならず、しかしそこでもまだ、チベットを大きく分けたうちのどこかはむにゃむにゃという… 

講談社で以前ラダックを舞台にした漫画描いてた蔵西という人は、今はマットグロッソでアムドを舞台にした漫画描いてるそうで(ちゃんと読んでませんすいません)みなさんいろんな地域を舞台にするなーという。

matogrosso.jp

『テンジュの国』も、18世紀が舞台ということで、この後動乱ガーとか書いてあるレビューもありますが、そうだったかなーくらいで、忘れててすいませんという感じです、私は。

私はチベット医学は、薬草と、脈がいっぱいあるのと、耳にハリを打つくらいしか知らないので、この漫画でも頁158などは、分かる人はニヤリとするのかしらと想像だけしました。

各巻巻末に基礎知識が書いてあるのですが、この巻は、「名前」「バター茶の作り方」「ヤクとディ」「さらい婚」「薬師如来真言」です。

私はつい最近まで、チベット人の名前は男性と女性で違うと思ってまして、これも高野秀行ブータンの本でその迷妄が正されたです。ドルマとかツェリンとかダワとかは女性名だと思ってましたし、ロサンやドルジェは男性名だと思ってました。月だったら女性だし、金剛だったら男性だろう、くらいの気持ちで。

バター茶のところで、主にバター茶を飲むのは、ウー、ツァン、みたいに書いてありますが、ここは私はよく分かりません。クムブムとかラプランとかロンウーとか、ザリン湖とオリン湖とかでも飲んでたような気がしますが、「気がする」だけなので… むしろ、ラサとかだとインドやネパールと同じ甘いチャイを飲むことが出来、インドから遠く中国に近い地方ではチャンガーモーは飲めないので、そこがウー、ツァンとそうでない地方の違いだと思ってました。あと、ここで、四角いお茶、という表現があり、「磚茶」という言葉を使っていないのも、なるほどと思いました。

kotobank.jp

チンコー麦(青裸麦)とかムー(畝)のように、チベットを説明してるのに、通訳の漢語がするっと入ってしまう、その例のひとつと思います。たん茶。今検索したら、日月潭で採れたお茶を潭茶と呼ぶ、という、タピオカミルクティーの新造語に押されまくってました、磚茶。なぜ「せんちゃ」と読まないのかという謎を秘めたまま、消えゆく死語「磚茶」

めすの毛長牛をデイとよぶ、というのは、何度聞いても忘れる知識のような気がします。

この漫画は、四巻まるっと感想したいです。乙嫁語り読んでないので、比較は出来ません。チベットは、タフな環境なので、料理もそんなあれですし、(東京でも代々木上原ブータン料理は凄い人気ですが、という点で推して知りたいと。ブータンは乾燥した高原のチベットと気候が全然違って、照葉樹林のモンスーンなので湿気を発汗で飛ばす必要があるんだなと)料理以外で読みます。でもツァンパこねる場面は感心しました。

残波は泡盛の名前。以上