『そうだ、起ち上がれ!!GET UP, STAND UP!!漫画原作者・狩撫麻礼 1979-2018 manga gensaku-sha Carib Marley』 狩撫麻礼を偲ぶ会・編(双葉社・小学館・KADOKAWA・日本文芸社)立ち読み

今週のお題「わたしの自由研究」老いも若きもたのしく狩撫麻礼を自由に研究。

株式会社双葉社|漫画原作者・狩撫麻礼 1979-2018 <<そうだ、起ち上がれ!! GET UP,STAND UP!!>>|ISBN:978-4-575-31476-2

ヤマカッコの意味が分からないので、私の日記ではとっています。

山括弧(ヤマカッコ)とは - コトバンク

漫画原作者・狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP . STAND UP!!》

漫画原作者・狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP . STAND UP!!》

 

 たまたま立ち寄った三茶の TSUTAYA に在庫があったので手に取ったのですが、河出の文藝別冊や、ユリイカの特集みたいなA5版ムックを予想していたのに対し、同型ですが、ソフトカバーながらチャンとカバーがついた一冊の本になっていたので、なんとなく買うのをやめて、ぱらぱらぱらぱら二十分ほど立ち読みして、銭湯が開く迄の時間を潰しました。頁ごとに自由すぎる体裁なので、ごちゃごちゃして読みづれえと思ったことも、買わずに棚に戻した理由のひとつです。

立ち読みしたので狩撫麻礼の怨霊が祟ったのか、その後、下記の血も凍る惨劇が当て続けに三度も私を襲ったのです。

(a) せめてもの供養に、生きているたなか亜希夫『リバーエンド・カフェ』(1) (2) を同店のセルフレジで買ったのですが、 TSUTAYA なので書店スタンプラリーのハンコがひとつポンとつくかと思いきや、T-POINTカードがないと TSUTAYA ではスタンプラリー出来ないそうで、ならいいです返品しますとも言い難く、とぼとぼセルフレジの書店を後にしました。

hon-hikidashi.jp

(b) そのショックの勢いで、TSUTAYA の上階で開催中のトルコ・トカットのナントカ展を観ようとしてたのが、すっかり忘れて建物を出てしまいました。しかしこれは本当の恐怖のまだ前哨に過ぎなかったのです…

www.setagaya-ldc.net

(c) トカットの木版を忘れてしまったので、どうやって銭湯が開く迄の時間を潰すかノーアイデアになってしまい、三茶の交差点には、昭和音大があるせいか、全国で絶賛縮退中のミスドがまだあるので、とてもひさびさにミスドに行って、ミスドカードで支払おうとしたら、一年以上未使用のカードは失効してしまうとのことで、チャージ金額の残高が幾ら残っていたかも分からぬまま(幾ら残っていても使用出来なくなるらしい)回収されてしまいました。

ミスタードーナツカード|お楽しみ|ミスタードーナツ

「いやーーーーーーっ!!!」

「キャーーーーーーーーーーッ!!!!」

「こわいっ!!!!!!」

https://en.wikiquote.org/wiki/The_Blair_Witch_Project

  • I just want to apologize to Josh's mom, and Mike's mom, and my mom. I am so sorry! Because it was my fault. I was the one who brought them here. I was the one that said "keep going south". I was the one who said that we were not lost. It was my fault, because it was my project. Everything had to be my way. And this is where we've ended up and it's all because of me that we're here now - hungry, cold, and hunted. I love you mom, dad. I am so sorry. What is that? I'm scared to close my eyes, I'm scared to open them! I am so scared! I don't know what's out there. We are going to die out here! I am so scared!

 立ち読みなので、装幀とかメモってません。

 冒頭、高橋留美子山本貴嗣の対談があり、その次にもう狩魔無礼が図解付きで出ます。この時点で既に、アマゾンレビュー等の感動的な煽りがすべて腹黒い陰謀だと分かります。神経繊細そうですから、耐えきれず別名義のペンネーム使いだしたとしても何の不思議もない。本書もまた、1㍉も書きにくいことは書かず、行間を読ませる本なのかと。当時劇画村塾は参宮橋にあったそうで、狩撫の店は経堂だとか。なんで小田急線なんだよとw 複々線化実現目前にその命を閉じたのかと。合掌。痴気情事的な中央線青春群像のひとりだったらば、もっと延命出来てたかもしれない。誰も生き恥だなんて言わないし。PPK(ピンピンコロリ)のように思うのですが、最晩年の手紙などに、手術や退院の話が出るので、実際どうされたのか。

きらたかしが神奈川に住んでるとは知りませんでした。所ジョージ的な基地かと思ったら、「独身」の二文字を見逃していたので、はよ結婚しよしと思いました。花沢健吾の嫁が友人を紹介すればいいと思います。

そことかハロルド作石とか含めて、一度も逢ったことない人か、一度だけ逢った人の回想が多過ぎると思いました。角田光代もそのくちでした。逆に、コンビ組んでた中村真理子など、いろいろうるさいキャラ造型の注文に悩まされていたとあります。いましろたかしも、狩撫麻礼ワールドに吞み込まれておかしくなったという自覚があったのか、途中から付き合いを控えたとあり、その後晩年逝去迄の動向は知らんけんしゅたいんだったそうです。その後は、というと、須藤真澄が晩年のカラオケ人生同伴などを書いてますが、まずびの人はブレない軸のある人なので、冷静に観察してます。いましろの前に話の聞き役だったはるき悦巳は本書未参加ですかね。立ち読みなので見逃してるかもしれません。なにしろ、たなか亜希夫の箇所をまるごと読んでないので。かわぐちかいじ嶺岸信明は見ました。

オールドボーイ」のカンヌグランプリを素直に喜んでますが、いろんな人が書いてるように、たんじゅんな人だったのかも。いましろたかしだけ、「実存」という言葉を知ってる鬼インテリみたく狩撫麻礼を回想してますが、ひとりだけなので、褒め殺しの可能性もあります。何故単純かというと、映画オールドボーイの「復讐の動機」の改変とその成功を知っていたら、絶対喜べないと思うからです。漫画家のアシスタント全員あつめて一人一人に泣きながら「君たちこの映画のどこが面白いと思うか言ってみろ!」と絶叫しててもおかしくない映画だと。パク・チャヌクはこの本未参加。もし私が補遺編の編集者で今後パクチャヌクにインタビューするなら、「親切なクムジャさんの髪形が片山さつきそっくりなのはなんでやって井筒監督が言ってましたよ」って言ってやる。大きな声で以下略

オールドボーイ』の原作の、復讐の動機見ると、音痴なのかと思いますが、歌はうまかったそうなので、接待カラオケでニューミュージックとか歌わされた恨みをオールドボーイにぶつけたのかとも思いました。単純な人なら、それで相手を二十年間幽閉するかもしれない。昴を歌わされた怨み。

キング☆ゴンタや寺田克也の回想だと、えっらいガタイがいい、プロフィールそのまんま肉体労働して生きてきたような造型で登場しますが、ほかの人の回想だと、170cmくらいで痩せてるとのことでしたので、中年太りはあるにせよ、ブルーハーツみたいな人ではないんだろうと。ブルーハーツは全員高身長でガタイがよくて、そして中央線沿線群像的キャラだったと、聞いています。

 うーん、そう、レゲエが好き、ブルーハーツが好き、というのは分かりますが、レゲエとブルーハーツは全然別ものではないだろうかと。ジャンルもカテゴリーも。ボブ・マーリーだけが好きで、ほかのレゲエは興味なさそうな気もしますが、それにしたって。私は、ヒロトは夜ごと酔って野沢直子というかその後アメリカ人と結婚してあちらに住んで毎年一二回日本に出稼ぎに来る(実家お金持ちとも聞きました)を殴るという話を聞いて、言ってることとやってることが違う人間はダメなので、それでブルーハーツハイロウズクロマニヨンズもどうでもいいです。実家の岡山のクリーニング屋さんのご両親が酒癖悪いとも思えないので、AC説を唱えないでくださいとしか。そういう面で、狩撫麻礼がどう成長していったかは見えませんし、本書でも、変わらないのでどんどん生きにくくなっていったとしか、思えなかったです。ザ・ブルーハーツもハシカみたいなものですが、なまじ年取ってから感染したので、キンタマとかに影響したのかもしれない。

というくらい本書はボーダーボーダー、おばあちゃんのボダボダ焼きなのですが、この人の肉筆みると、この人の下の世代くらいから、丸文字が出て、丸文字も還暦突入という21世紀なのですが、この人はカクカクしていて、トロ字ゲバ字というわけでもないのですが、達筆でもなく、ペヤングみたいな字です。個性のある字。『ボーダー』の限界点として、二人がその後海外放浪に再出発しなかった点が、まずあると思います。アフリカと南米にもいっとけば、世界観が変わったとも思います。アジアだけでは。誘拐されたり人質になったりしない幸せな時代だったのは確かで、それで再旅行に持ち込めなかったのかというと、そうでもないだろうと。『ア・ホーマンス』はペヨーテの話らしいので(未読)いろんな国を舞台にしてればよかったのにと。勇午

 本書を読むまで『湯煙スナイパー』をこの人の原作だとは思ってなかったので(そもそも読んでませんが)関川夏央のいうこともあながちウソではないなと。『湯煙スナイパー』は『今日からヒットマン』の大衆受け要素をワザと抜いて、男くさい加齢臭ロマンをまぶした感じだと思うのですが、そう考えれば、『迷走王ボーダー』も、『独身アパートどくだみ荘』に極左冒険主義のスパイスをまぶした感じです。本書では誰もどくだみ荘と対比してませんでしたが、便所部屋以外、特筆すべき新事項があるだろうかという。

独身アパートどくだみ荘 - Wikipedia

しかも本人が再版時直筆で煽ってる通り、バブルの家賃高騰下で、メルヘンでしかない設定にどんどんなっていったし。現実との乖離。蜂須賀が終盤、外国人労働力が入る前のバブルの現場日雇いで有頂天のいい目を見てる箇所はしっかり現実とシンクロしてましたが…(いや、黒人や西アジア系の現場労働者がいないので、外国人の鳶職なんかが可視化されてないだけかも)これのどこが対人関係がどうこうで、人と会話しないで済む裏方仕事ばっかりやってきた男なのか。棟梁にゴマするのうまいし。自信過剰な、自己アピールばっかの男の自己分析を真に受けてはいけない典型。

というか、本書は、他の漫画との対比以前に、狩撫麻礼を批評しようという動きがない。みな慎んでる感じ。そんな生温かさがありました。やさしさに包まれたなら、きっと。ニューミュージック。

新井英樹が、原作話が潰れたのは、あれ、どっちが喧嘩売って潰したんでしたっけ? と書いてましたが、そんなこと書いてるの新井英樹だけでした。浅野いにおとか福本伸行とか安達哲とかが同様のこと書いてたら面白かったのですが。カイジなんか第一部か第二部の冒頭で「未来はぼくらの手の中ッ…ざわ…ざわ…」で始めてた気がするので、絶対お座敷かかってたと思います。どちらが蹴ったか。

巷間よく伝わってる、狩撫麻礼の冷蔵庫にはビールしか入ってない(私も真に受けてました)は、いましろたかしが、そりゃ仕事場の冷蔵庫だからで、自室は違うよ、と否定してます。いなり寿司作ってもらって美味しかった話で、飯屋が長かった人だから、とあり、でもあの人に接客業は無理と談話していて、えっ、狩撫麻礼、調理師の免状とかもってたら、すっごく話の筋が通るなと思いました。実家が飲食店の、ぼんぼん。来客にはかならずうな重をとっておごってたというので、実家が近くのガスで鰻焼く店で、ツケでウナギ出前出来たとかだったら、ものっそ筋が通ると思いました。串打ち三年でもう秋田。でも違うんだろうな。SNSでこのデマが広がる過程を東大生産研に検証してもらっても、私が発信源になることはないでしょう。拡散者はまた別のタイプの人間。

『青の戦士』が異様に高く評価されてますが、意味が分からないです。谷口ジローは先に逝かれてるのでコメントなし。私も多分にこの人に影響されてるんでしょうが、それは黒歴史です。そう思ってない人だけが本書に寄稿していて、それが、一度会っただけの人や、一度も逢ったことない人主体なのが、本書の特色だと思いました。以上

【後報】

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『俺がボブ・マーレイから受け取ったバトンを今夜 誰かに渡したぞ さあ 次はおまえだ!!』 ――「迷走王ボーダー」VOL.129「LIVE!」より ★(狩撫麻礼からバトンを渡された人々) 漫画家・小説家・映画監督・編集者・読者たちが、漫画 イラスト・文章・対談・インタビューなど“要するに、なんでもアリ!!”で狩撫麻礼を語る、異例の【四社共同出版企画】による勇気と情熱の追悼本!!

レモンハートの34巻にはさまってた広告。ピザッツのエロ漫画にはさむより反響あると思います。たぶん。

(2019/9/4)