『父が子に語る日本史』読了

 積ん読シリーズ 読んだのはトランスビューのソフトカバー本。2018年10月に初版で、2010年2月の三刷を買っています。装幀 クラフト・エヴィング商會吉田篤弘吉田浩美

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ねえお父さん、教えて、歴史って何の役に立つの? 教科書では学べないほんとうの面白さ とうさんやかあさんが大学で歴史の勉強をするようになったのは、教科書が面白かったからではなくて、歴史に興味を持たせてくれるような本や先生に出会ったからです。(中略)君が教科書だけで歴史という学問をきらいになってしまうとしたら、それはとても残念なことです。そこで、この本を書くことを思い立ちました。(本文より)
父が子に語る日本史 (ちくま文庫)

父が子に語る日本史 (ちくま文庫)

  • 作者:毅, 小島
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 文庫
 

 類書の『父が子に語る近現代史』も積ん読なのですが、レビューを書くにあたって、ネトウヨをより忖度しなくて済むのはこっちだろうと思って、こっちを読み出したです。いま検索したら、この後、『子どもたちに語る日中二千年史』なんて本も出してますが、これは藤井省三NHK生活人新書『日中見聞百五十年』みたいなものを書きたくても先を越されたので仕方なく、古代から書き起こしてる気もします。。

小島 毅 | 東京大学

この人は『靖国史観』『近代日本の陽明学』が脳にガツンとくるような面白い本で、ハードボイルドに思想史本を書いた方が絶対いいのですが、なぜかポピュリストに対抗して、よりコレクトな史実について、難しいことを分かりやすく書く使命が学究の徒にはあると考えておられるようで、NHK大河に絡んで、義経本を出してみたり義満本を出してみたり(足利義満は大河じゃないかな?)幕末本を出してみたりと、イロモノでもいい、読んでもらえれば、みたいな潔さのある人だと考えています。本書もだから、アテルイとかその頃の大河ドラマ関連ネタが出る。

帯を見ると、子どもがパパに歴史夜話をおねだり、ジルベールとオーギュかよみたいな気になるのですが、本文にそういう個所はありません。子どもは何にも云わない。あくまで父親の勝手なお節介です。なので「語る」ではなく、「問わず語り」が、よりマッチした表現かしれません。日記形式で書いてます。

今日は息子よ、おまへの誕生日だ、ケーキうまし、歴史が好きになるよう今日からこれを書いてゆかう。結果理系や美系や体育系に進んでも小生しらんけんしゅたいん。

今日は平泉に出張したので頼山陽日本外史を書いてやらう。これ、今はみんな読み下し文で読んでるけど、原文は漢文なんだよ、漢字オンリー。で、歴史と歴史小説を混同するな、吉川三国志三国志は違うし(という例は出ません。三国時代の冊外の民族を吉川三国志は別のものに置き換えていたとは聞いたことがあります)天下統一恋の乱と信長協奏曲は違う、のは一度言えば分かるが、坂の上の雲と史実の日露戦争はちがうのかとか、山岡荘八徳川家康と家康は違うのかとか、竜馬がイクーッと現実の坂本龍馬はちがうのかとかになると、理想化やデフォルメが介在する余地がありやん、頼山陽もそうなんだよ。歴史と軍記物は違うといいつつ軍記物を下敷きにしたエピソードをそのまま書いたりしてる。

今日は旧正月、大年初一で、横浜に出張していて、横浜には井伊直弼にちなんだ掃部山という山もあるので、開国に踏み切って反対者を安政の大獄送りにしたばかりに桜田門外の変でテロ死した井伊直弼の話でもするか。彼に兇刃を振るう側だった尊王攘夷派も、薩英戦争なんかを経て、コロッと攘夷思想を捨ててしまうんだけど、それに対し何ら総括してないよね。ズルくね?

という具合に、一月か二月から、春を迎え、卒業入学を経て、という日々に、歴史トークを気ままに綴っています。日本史というより、日本史よもやま話ですね。

今日建国記念日はニニギのミコトの治世が神皇正統記によると308,533年続き、その息子の彦ホホデミのミコト(海幸彦)の治世は637,892年、その息子のウガヤフキアエズは836,043年、その次の神武天皇は76年、いきなり短くなる、という話をしよう。その神武天皇が51歳の時父親が亡くなっているので、彼はウガヤフキアエズが83万6千歳を過ぎてから作ったこどもだったことがわかる。同様に第二代天皇綏靖天皇神武天皇80才くらいの時の子で、第三代安寧天皇は綏靖が65歳くらいの時の子。上原謙もビックリ。

こんな感じ。ワニ博士を昔は習ったが今は習わないとは書きますが、理由は書かないなど、もっとつっこんで書いてよという気になる本です。だんだんに書き進めて、仁義道徳は人を喰らう、という作者一流のテーゼ、靖国史観に寝技で持ち込んでゆきます。

私の先祖も、今の天皇北朝だんべ、というくらいでしたので、戦前にはポピュラーだったことも、多くあるのではと思いました。今はそれを教えない。断絶がある。

その辺をいろいろ書いてはいるのですが、もう少し整理して頂けたら、とは正直思いました。あと、ニンポープロジェクトについても書いてるのですが、私はこれを日中合同プロジェクトだと思っていたので、日本側だけの(日中交易の窓口としての)寧波研究と知り、へーと思いました。

寧波プロジェクト | ブログ | 早坂 俊廣 | 教員紹介 | 信州大学 人文学部

文系理系入り乱れ、総勢150人による東シナ海域日中交流史を巡るビッグプロジェクト。宋に行っても入唐僧とはこれ如何に。そうでんねん、おかしいねん。明明minmin? 以上