『浮世床』(マンガ日本の古典㉚)(中公文庫)再読

 カバーレイアウト 丸山邦彦(CREATIVE MND)マンガ日本の古典は、シリーズで平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞だとか。近年もさかんに宣伝してますので、今でも普通に買えます。単行本は1997年5月中央公論社刊。

浮世床―マンガ日本の古典〈30〉 (中公文庫)

浮世床―マンガ日本の古典〈30〉 (中公文庫)

  • 作者:古谷 三敏
  • 発売日: 2001/09/01
  • メディア: 文庫
 

 あとがきによると、本作は三年がかりで仕上げたとのこと。まず大病で一年延期。次に、原作がとりとめもないので変えてくれと申し入れたが聞き入れられず、そうこうしているうちにシリーズの安彦良和三河物語』とバロン吉元徒然草』が仕上がり、同じように漫画のしにくい素材を上手に料理される様に鼓舞され、何とか仕上げたとのこと。仕上げを手伝ってくれた人や、担当編集、使った画材への謝辞で〆てます。

このシリーズは、へえと思うようなラインナップですので(落窪物語とか信長公記とか春色梅児誉美とか吾妻鏡とか)これが入っているのもよいと思いました。マンガ化した人も『寄席芸人伝』ですし。私がシリーズで読んだのは、これと、バロンと、坂田靖子かなぁ。

式亭三馬浮世床は、浮世風呂の続編ですが、混浴の江戸の銭湯を舞台にした前作はビジュアル化しづらいと思います。本作は、二作目ですが、巻頭にバーンと「大清中華」の文字が躍り、世界のなかのお江戸でござる感がまずあって、高原書店岩波文庫のこれを手に取った時は、吃驚しました。(そして買いました)孔糞先生と云う腐れ儒者がまず登場するのが非常によいです。この人の理屈を読んでると、式亭三馬が漢学者をどう思っていたか、当時の江戸の市井の漢学者はどんなもんだったのか、日本には科挙なんてないのに、ということが伺えて非常に面白いです。私は「残念閔子騫」をこれで覚えました。当時の人は、顔淵を「がんねん」と読んでいたんでしょうか。面白いダジャレです。以上