『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT 13 』(ヤンマガKCスペシャル)読了

 装幀/柳川価津夫+大野裕介(SPICE)  巻末に参考文献一覧とスタッフ一覧、スペシャルサンクス。初出はヤンマガ'20年8号、10~12号、14~16号、18~20号。いつもはスタッフ自画像があったりするのですが、手描き合作の余裕がないのか、文字だけ。次巻予告もありません。

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ロミオとジュリエット』誕生。慈愛の金字塔が演劇の新たな時代を紡ぐー。

 表紙側の帯は表紙と絵を合わせてるのですが、裏表紙側は、帯がカバーの文句を消しています。

エリザベス女王の真実と
   結ばれないジョウンへの想い。
 ロンドンへ来た意味‥‥。

  シェイクスピア
    すべてを飲み込み
ロミオとジュリエット』を生み出す!

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裏帯

理不尽な時代に生きる人びとの想いが史上最高の物語を紡ぐ。

正直、私はロミオとジュリエット、ご都合主義だし(頁155でジュリエットが、初めて読む読者に寄り添って、「えっ、そんな都合のいい薬があるんですか!?」と古典的なツッコミを入れてます)、そんなすごい話と思ってなかったのですが、バレエにもなってるし、現代まで語り伝えられているので(この巻には、現代では価値観がそぐわないので、ほとんどお蔵入りのシェイクスピアの同時期の作品が登場します。知らなかった)すごいんだろうなあと。

帯裏のカットの、いちばん左がリーなのですが、この巻から、従来のぱっちりおめめの顔と並行して、やや吊り目のカットが描かれるようになりました。誰だろうこれ。周挺なわけないし。劉(刘)亦菲でも無論ない。頁140のジョンも誰だか分かりません。フレディだったら直球すぎるだろうし、麿赤児みたいな被り物の意味がないし… 表紙はワースとカスバートという若者で、私はヤンマガに移籍してからの片目を隠したワースの絵があまり好きでなく、それなので、この巻から、表紙含め、両目出したワースのカットがぼちぼち増えてきて、うれしいです。片目を髪で隠すなんて、コスプレイヤーじゃないんだから。視力にも影響するだろうし。また、カスバートのような容姿の、まったく普通の外見の若者がどんどん登場するようになってるのは、今のまんがの現在地として、成功だと思っています。世の中のヒーロー以外の、「十人前の容姿」というものが、好感を持ちつつリアルに描かれるようになった。全キャラ美形時代は昭和の彼方へ。

座長の人は、この巻では「アナル舐め」というお得意のセリフを自粛しています。接待を伴う飲食店やら夜のクラスタ感染を意識したのか。実在のこの人の日記が現存しており、当時の劇場事情を知ることの出来る一級品の史料になっていることなどがト書きで語られます。ピーブス氏の日記や、元禄御畳奉行の日記のようだ。

 装幀家はカバー折の部分で仕事してました。ここはきっちり地の部分と合わせています。

7人のシェイクスピアというタイトルですが、7人どころではなくなってる気もします。

頁150、例のロミオ・マストダイとジュリエットの冒頭の文章が登場し、私はこれを読むと、金城一紀『GO』がここを使ったことをつい先日のように思い出します。あの頃からだいぶ経って、当時違和感を感じていた金城作品中のヒロインのセリフ「血が汚れる」は、どちらかというとあちら側のヤンバンの表現、考え方だったなあと気づきました。

どうしてあなたはロミオなの? はパロディにしてコサキンに送ったら採用されたことがあります。採用されたことで承認欲求が満ちてしまい、一度きりの採用で終わったのは今思い返すともったいなかった。もっと続けて投稿すればよかった。

トマス・ソープの物語が出ますが、人は変わらないので、受け止めてもらって、改心したように見えても、ってことなんだろうと思います。そうして緊張感ある人間関係が続いてゆく。

たまたま別件で本屋に行ったらあったので買いました。来月はアンダーニンジャ四巻だそうで、いろいろ刊行されてヨカッタデスネ、です。以上