『スパイシー・カフェガール』SPICY CAFE GIRL COMIC BY AKIRA FUKAYA 読了

カンボジア料理店にあったマンガ。他にこの著者のは、R.I.Pと密林少年があったはず。アキオ無宿ベトナムは、ないです。

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スパイシー・カフェガール (宙出版): 2005|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

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「初出」

ラープ・ガイ◎週刊バンチ(新潮社)2002年35号 
小さな密航者◎週刊バンチ(新潮社)2003年4・5合併号~7号 
ミリオネアランチタイム◎描き下ろし 
プリッキーヌー◎描き下ろし 
ブックデザイン◎名和田耕平 
担当編集◎山岸克紀 

あとがきによると、新潮社時代のバンチに、韓国人の女の子とデートした話を下敷きに短編描いたら評判良かったので、はすみ以下略みたいな話を描いたらなんか火が消えたそうです。で、宙に浮いてた本をおおぞら出版が義侠心から出してくれたと。

たぶん、赤坂に韓国パブがようさんあった頃で、で、この話は、ニューカマーの韓国女性にはたいがい同国人の悪い虫がついてるという、オッサン連中に思い出がなまなましい点がウケたんだと思います。韓国の男尊女卑を日本に持ち込んで、かわいい◯◯ちゃんをいじめるなーと思っていても、そんなDV男と別れられず邦人のオッサンの前から消えてしまう韓国人女性。それを引き延ばせばよかったのに、ぜんぜん関係ないはすみ以下略 

そりゃ火も消えるかなと。なぜタイ料理で、なぜ店長が悪党どもとの大立ち回りが強いかの説明もないので。アメリカで中国人がタイ料理店開く話に作者も感情移入出来ないだろうに、なぜ日本を舞台にそういう設定で話を始められるのか。日本人青年がいかにタイ料理を修業しようとも、なかなか、タイから本場の料理人呼んだ、より集客力があるとも思えず、コックの手抜きやごまかしを見抜くために、オーナーもしくは雇われ店長の自分も技術を持ってる、てな将来を見据えた修行くらいしか、邦人がエスニック料理のイロハをマスターする理由が思いつかない。でもネパールのダルバート一筋に打ち込んで、現地の大衆料理をこじゃれたレベルで、入店にドレスコードがあってもよいクラスにまで引き上げてしまった大阪人もいるので、21世紀では一概に言えませんが。

そんなお店で、タイ料理なのに、チャパティ百枚作れとオーナーシェフが仕込みの主人公に無茶振りする場面もあり、現在のナン全盛のインド料理店界隈で、チャパティ出す店探すのに四苦八苦するような状況からすると、むかしは牧歌的だったなあ、と思い返します。そこはよかった。私の近辺でチャパティ出す店は、オダサガのケニア料理店しか知りません。

タイ料理の名前がたくさん出るのはいいのですが、どういうふうにうまいのかがよく分からず、また、前川健一が、タイは宮廷料理も屋台料理もいっしょ、と毒を吐いたように、コースの組み立てみたいのがあんましなくて、ゴハンものの炭水化物をかぶってオーダーしてたりするので、なんだかなあと思ったりもしました。前菜でサラダ、スープ(トムヤムクンのようにスープがメインになる場合も)、メイン二種とゴハンものもしくは麺、デザート、みたいな感じで、今はそこそこのタイ料理店だとコース組み立ててると思います。そういうのでなくて、屋台で食い散らかしてるだけだと、あまり読んでて深みが… 

で、ビージャンのマンガは讀んでないのですが、この人のアクションシーンのデッサンは、いつから狂いだしたのだろうと思います。最初からうまくなかったのが、締切との戦いの連載でえいやで手抜きを覚えてしまって、それっきり先に進めなかったのでしょうか。顔のアップや突っ立ってるだけの絵だと、うまい下手はともかく、作者の感情移入が伝わってくるので、こういう表情が描きたいんだな、じゃ、仕方ないな、と思うしかないのですが、動きのあるコマになると、どうにも粗い時が… いいのかバーフバリ。

バーフバリでマンガ描いたり、どっか中央線沿線でマンキツ経営してると聞いたこともある人なので、うらやましいというか、町田に来てるのかという感じでした。以上