「陽に灼けた道」<劇場未公開> དབུས་ལམ་གྱི་ཉི་མ། "The Sun Beaten Path"〈太阳总在左边〉(映画で見るチベット チベット映画特集)劇場鑑賞

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一見、探偵物語松田優作かと思うくらいりりしいですが、実はPTSDというか、文明病のもやもや病というか、の青年です。親身になってくれた旅は道連れのじいさんも、しまいにゃ、まったく情けない若者だと言い出すしまつ。

映画で見る現代チベット チベット映画特集 | 岩波ホール

岩波の上映はもうラスト一回ですが、ほかでもやってくれたらいいなと。

The Sun Beaten Path - Wikipedia

Sonthar Gyal - Wikipedia


陽に灼けた道 / The Sun Beaten Path

この映画は、邦文以外に、英語の字幕がついてます。上の福岡映画祭の予告編はなぜか英語字幕のみ。今回の映画特集の「タルロ」と「オールド・ドッグ」は英語と漢語、両方字幕がついてました。なんでこっちが英語字幕だけなのかは分かりません。題名には漢語がありましたのでこの感想でも漢語タイトルつけます。今回の映画特集の「タルロ」「オールド・ドッグ」とシネスイッチザギンの「羊飼いと風船」はいずれも漢語タイトルあるのですが、タイトルロールにそれが併記されてませんでしたので、この感想でも漢語タイトルつけませんでした。

https://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/amdolaytsen/gyal-kham-melong/sun-beaten-path-wins-vancouver-film-awards-10102011131814.html/sun-beaten-path-305.gif/@@images/46ce4a84-11f6-40e7-bfa7-7715b5f01d99.png

https://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/amdolaytsen/gyal-kham-melong/sun-beaten-path-wins-vancouver-film-awards-10102011131814.html

チベット語タイトルが何と書いてあるかは、またいずれどなたかに質問します。日本語と英語の題名は同じ意味なのに、この漢語はなんだ、と悩んでいます。

というのも、この話は、ラサへの巡礼の帰り道を描いているので、ふつうにアムドのチベタンだとすると、帰りは背中に太陽光線を浴びるか(北に向かって歩く)右側に太陽光線を浴びるか(東に向かって歩く)しかないんじゃと思ったからです。戦争中新疆軍閥盛世才*1の援蒋ルートを攻撃したカザフ人が逆襲にあって逃げて青海モンゴル人を虐殺したのがゴルムドのあたりだったはずで、だからゴルムドというのは決して縁起のいい土地ではないのですが、劇中登場する河卡バスターミナル(チベット語の看板はないのですが、劇中発車アナウンスは蔵漢両言語で流れてました)を出て、太陽を左側に浴びながら歩くと、そのゴルムド方面に向かってしまい、ゴルムドの先は南に曲がるとラサ、まっすぐ行くと海西モンゴルを経て東トルキスタンの核実験ゾーンですので、この主人公の家はどこなら、なんで西に向かって歩いてるのさ、と思うわけです。

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もう一度巡礼に行くわけでもないし、右回りの思想のもと、行きはゴルムド経由でラサに行って、ラサからの帰りは、チャムドォからジュンクンドォ経由で帰ったきたんだろうか? などなど妄想しました。この漢語タイトルがなければ、たんじゅんに公路を歩いて旅行してるひと、としか見なかったと思います。この映画は、エンドロール等はチベット語とアルファベットしか出ないですが、題名のみ漢語が入る。

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丹じゃねーよ唐だよ、という誤記。このひとが西寧方向にあるったとしたら、太陽は右側になりますので、こんなタイトルになるわけがない。ここがもやもやして、私も巡礼に出たいくらいです。バスストップの旅社で、お姉ちゃんのほうからモーションかけてくる場面、女性のほうからさそってくるのはさすがにそんなないと思いますが、性に開放的なのはまさにチベットだなあと思いました。漢族はムッツリスケベだから、そこの発露のしかたがちがう。

〈兴海快客〉というバス会社はほんとにありそうと思いました。まあ、あるんでしょうけれど。河卡バスステーションはここにあった。

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 店の軒先を借りて、むかしだと五角とか払ってかけさしてもらう電話が、混線してるという設定なのか、漢語が聞こえてました。それと、主人公はいろんなドライバーに「のっけてやろうか」と言われるのですが、ランクルかなんかで、西寧不案内だから同乗してほしいと頼んでくる青年のことばも漢語です。外地人のような、綺麗な北京語。マイカー旅行出来るようなリッチな階層なんでしょうね。

主人公は誰の誘いにも乗らないのですが、こういう誘いの中には、純朴な現地人を騙そうとする流れもののマルチやらなんやらもいるので、用心しなければいかんです。ソルタンジャ監督がガンゼを舞台に撮った「巡礼の約束」で、ゴルフキャップにTシャツパンツの、韓国人のような武漢人のような服装のチベタンの女の子が、やはり白のランクルにナンパされて、その後ストーリーから消えてしまう展開が、実はちょっとこわかったり。

 農機具の事故は、日本でも農業の高齢化と相まって、変わらず注意喚起されてますが、コクトーのアンファンテリブルみたいな事故ですので、これ、起こるのかなあとも思いました。バイクを谷底に落とす意味がよく分かってないのですが、複合事故ということなのか。

 処女作なので、粗削りとどこかのレビューにあった気がしますが、どうしてなかなか、なめたらいかんぜよ映画でした。でも、監督の悪癖、子役カット多用は早くもその片鱗を見せています。なるほどなあ。もやもや病は、実は青海にもある病気ですので、主人公が、雪が降って目覚めることが出来てよかったです。青海にもスポーツの高原トレーニングセンターがあったはずで、あと、トヨタの協力会社の小島基地というのがありましたが、現在ではもうないそうです。以上