「すばらしき世界」"Under the Open Sky" 劇場鑑賞

だいぶ迷ってた映画ですが、港南台シネサロンでミッドナイトスワンとハシゴ上映が出来そうでしたので、こりゃ好都合と思ったですが、港南台のサービスデーの火曜日は他の用事も検討していて、さらにまた、一日潰れるのはどうだろうと考え、今日月曜は雨だったので関内のシネマリンで見ました。サンビスデー。

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この世界は、生きづらく、あたたかい。 実在した男をモデルに「社会」と「人間」の今をえぐる問題作。

左肩だけで、それも所謂すじ彫りの主人公。お金がなかったのか、ムショ暮らしばかりでちゃんと入れる時間が持てなかったのか(そんなわけなかろう)入浴してるのは温泉なのか、もしくは九州はスーパー銭湯墨おkという表現なのか。銭湯には見えません。銭湯も、東京神奈川やかつての大阪京都は絵人間おkなのですが、神戸はダメと神戸のひとがはてなブログに書いていて、う~ん、ほんとなのかと思わないでもない日々でした。

コロナで半分しか席を開放してないのですが、それはかなり埋まってました。大手シネコンでの上映が終わった後、こうしてシネマリンにまでかかり、さらにそれが埋まるのも不思議です。レビュー等を見ると、「一部の人には必要な映画だと思う」「シネコンでは早朝上映などで上映アリバイを作られた」等々書かれていて、それも観劇に二の足を踏んだ理由のひとつ。役所広司じたい、「うなぎ」で既に一度ムショ帰りを演じてるわけなので、なんで二度目やねんと。

勤務明けなのですが、不思議と寝ませんでした。

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六角もふけましたが、役所広司もふけた。バウンスコギャルの頃などからすると、夢のようにふけてます。見事にふけたな~。役柄のせりふの半分は、何故か職場の北海道出身の元自衛官のひとに似てました。富良野なのに主人公の故郷、筑紫野でしたか、こんなに似るもんなのかと思った。ヤクザと自衛隊は似てないと思います。残りの半分は標準語で、妙に流暢にスラスラ言えていて、もっと全編とおしてキャラの個性が出る喋り方が出来ればよかったと思いました。田中邦衛は偉大。

映画『すばらしき世界』オフィシャルサイト|大ヒット上映中

身分帳 - Wikipedia

佐木隆三の原作は、近隣の図書館ぜんぶ貸出中でした。めずらしい。だいたい私が映画の原作本借りようとすると、さくっと借りれて、活字離れ本格的だな~と思うことばかりでしたので。

冒頭特急電車内で中国人の家族が出ますが、外国人はそれくらいしか出ません。あ、アパートで半グレみたいのに使われてる感じのベトナム人実習生のようなのが三人いましたか。「百パーセントごめんなさい」とか、冗談半分で教え込まれた日本語をしゃべってた。

ワーナー、バンダイナムコと続くオープニングにびびりました。分福は寡聞にして知りません。

ラストシーンは、ちんちんまたお監督こと刁亦男の《白日焰火》を意識してると、私は勝手に思いました。それくらいオマージュがあってもバチはあたらないと。

マスコミ組、長澤とヒゲの兄ちゃんについて、ネットでは、いらないとか、このパートぬきで作ればよかったのにとか、かまびすしかったですが、見た感じでは、これを抜くと映画として狂言回し、語り部がいなくなるのでストーリーにならないと思いました。しかしシネマリンでもおおむね観客は、このふたりをてきとうに流してた感じです。寿取材、寿ルポとダブるわけでもないんでしょうけれど、この二人がNPOのボランティアや宗教関係者で、炊き出しやバザーをやるような人たちだとどうだったんだろう。

あと、長澤まさみは、別映画の共演者がふたり自殺したことで落ち込んでたともニュースになってましたが、この映画では予告やバンセンの釣り役に徹させられていて、そういう広告の仕方ってどうなん、というレビューもありましたし、なんちゅうかでした。体に気をつけてください。なんか、天海祐希のような独身の星路線をその年から狙ってる気がしてなりません。

観客がいちばん笑ってたのは、六角が平謝りで、三上カンの役所がカギのかたちに指をくいくい折り曲げて、店にへんなんが来たら呼んでよ、いつでもチカラになるからよ、警察は民事不介入で頼りにならんさけのう(博多弁が私の脳内でうまく再現出来ず関西弁に転調してしまいました)という箇所でした。まさにチンピラ。暴対法前。前であっても、ショバやシマなどのジャーゴンと無縁な、自由な風が吹き渡りすぎる調子のよさ。野毛や伊勢佐木町に住んでると、あるあるすぎて、笑いが起こる箇所なのかなあ。

私はここは、麦茶出されるところで、あー麦茶だよ、と、むかし、ノミ屋の事務所に「あいさつだけで素通りもなんだから入ってよ」みたいな感じで、当時働いてた不動産屋が直接ノミ屋に物件貸すのもなんなのであいだにもう一軒渋谷の不動産屋かましてたのを、おおもとの不動産屋をつきとめようとする兄ちゃんに招かれてしまって、額に汗しながらてきとうに話して切り抜けたことを思い出しました。当時はこの映画のようなベトナム人研修生の時代ではなく、韓国人台湾人の語学留学生が多かったですが、彼らが近所の住民とゴミ問題などでトラブルがあったので、それとなく管理するという名目で住んでいたのを、住人のノミ屋さんがかぎつけたと。つい先ごろまでインバウンドでブリブリだった不動産屋ですが、もう時効だから書いてもいいだろう。社長が副業の絡みで、ほんとは不動産業やっちゃアレなので、いろいろ名義をあれしてた会社なんですね。ので、ノミ屋さんとしては、今後のために、いろいろ事情を知っといて損はないだろうという。インフォメーションイズマネー。もちろん知らぬ存ぜぬで切りぬけましたが、ああいう時の味って、ほんと忘れられないもので、あの麦茶の味はよく覚えています。モンゴル式に、飲み干さず帰ると失礼だから一気に飲みほした、かどうかは覚えてません。その後私は運転中よく見ないで車線変更しようとして隣の車線のどこぞの企業の社長車、運転手付きの車に傷をつけて解雇(幅寄せされた社用車が回避して歩道でホイールを擦った)

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六角、メロンとかイチゴとか、なんなのその誠意の全力投入、SNS拡散でも恐れてるのかと思いました。ちょっと脅したらコレモンよ、また遊びに行ったろうかいのう、と後で言われるんじゃいかと思いましたが、そういう場面はありません。また、この前段は、お会計してない商品が、ほんとに出てくるか、オヒキが別途捕まるかと思いましたが、それは万引き家族の見過ぎでした。監督が、二番煎じやりたくなかったのか。でも、ギッたものが出て来ない展開(=やってない)にするのは、甘いと思います。

行政の支援受けてると、携帯持てないと思ってたとか、刑務所内でシャバの情報共有してないのか、どうして情弱状態なのかと不思議でした。この映画はきりし…ローランドがコメントしてますが、ホリエもんの評もあるかなあ。あればいいけど。

みんなよく正座出来るなあ、足痛くならないのだろうかと思いました。白竜の人は足、気づきませんでした。卵かけごはんの醤油は、減塩だろうかと思いました。高血圧。初代ナウシカガールにも気づきませんでしたが、二代目ナウシカガールがいるのかどうかも知りません。

暴対法が悪いみたいな展開に流してる気もしましたが、それ以前も、シノギの出来ないヤクザのしとは組から見捨てられてのたれ死に(組は養老院じゃないとかなんとか)、だからヤクザになんかなるもんじゃないとよく言われたものです。そういう記憶がうすれてるんじゃいか。あるいは社会保険払わなくても行政の支援がむかしよりよくなったから忘れがちなのか(というデータはありません)

主人公の三上カンの役所が、キレるというか激昂するのは確かによく激高しますが、手が出るというか、ごろまきを楽しむのは、自分にチョッカイ出された時と、相手がしろうとを脅してるのを目撃する場面だけで、なんか、監督が、昔の漫画、立原あゆみの『本気!』とか、新田たつおの『こちら凡人組』とか幼少期に読みすぎたのかと思いました。そういう、善のヤクザが、悪のヤクザに立ち向かうとか、現実にはないから。ないから漫画がウケたわけで、かつての現実は、やっぱり極道任侠組織暴力団は下っ端にも腹を見せたカタギにも厳しかったと思います。食いちぎる。

こういうあぶれもんというか老人が今度は半グレに使われたり、使おうにも、どしょっ骨があるので使いこなせず軋轢をうんだりという現在進行形の物語を、もっと切実につむいでいけば、ノスタルジアに終わらなくて済みますし、警鐘も鳴らせるのに、とは思いました。そのへんは監督やプロデゥゅーサーの腰が据わっているかが問われるデス。誰に対して据わっているかと問われれば、それはスポンサーに対してです。

老人介護施設の職員が、他の健常者?職員にどつかれる場面は、予想通り、身につまされるというか、シンパシーの嵐、かわいそう、泣きました、のコメントが散見され、これ、ちゃんとネタばらしされていて、ゲームに夢中になって利用者さんが溺死寸前だったからほかの職員がきれてると説明されてるのに、レビューではそこはスルーで見ないふり、もしくはそこが理解出来なかった感じで、やんぬるかな、おえん、と思いました。私の職場にも、何故怒られたのか理解するクセがつかないまま大人になった人がたくさんいる。そして、カジを殺したのはミサト説がここでも。xaraは裏エヴァンゲリヲン作って、庵野監督扮するカジがミサトに殺される動画作ったら庵野監督がメンタルほかで危ないので作らない方がいいです。

施設、今は、あれこれ言われますが現場は頑張っていて、「つなげられる」成功例ももちろんとっても多いので、拡張に次ぐ拡張で、キャパを超えそうに児童をたくさn受け入れてあっぷあっぷみたいに、すくなくとも近隣の施設見てると思います。かつてはDVでもなんでも、介入出来なかったのが出来るようになった分、施設は膨張せざるをえないんだなと。そうでなくてもどの地域でもこども食堂とかいろいろ聞くわけですし、だからこの映画の、さびれた施設風景は意外でした。米兵が去った後の一時期みたい(じっさい福岡は駐留軍基地がタモリが上京した辺りで消えてるので、一時的にそうなってるはず)

ひとり暮らしなので孤独死はそりゃそうで、五十代より前に孤独死すると驚きますが、六十すぎるとどうなんだろう。苦しむことなく、成仏してけさいと思います。博多弁でなにか書きたかったごたるが、書けんかったですばい。以上