「ミッドナイトスワン」"MIDNIGHT SWAN"劇場鑑賞

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後半、ダダダダと連弾するあたりで、キョージュの人が作曲なのかと思いながら観てました。かなりレビューを見て、ネタバレ上等で、というか、これだけ賛否両論レビューが続いてたので、やっと見る気になって見ましたが、それでも全然予備知識として足りませんでした。だいいち、主人公の死因が分からない(ウィキペディアを見て片鱗は理解)

ミッドナイトスワン - Wikipedia

ヒットの理由は相當あると思いますが、近年まれに見る、死の匂いが濃厚な映画だったこともあると思いました。レビューでそれ言ってよって感じ。あと、こんなにスピリチャル( な映画とも思ってませんでした。しかも、かなり攻めのスピリチャル。

世界三大呪縛対決みたいな映画で、最強の呪縛決めようぜ、みたいな。さて、次のどれでしょう。

①同級生の死霊

②母の爱

③こころと性の不合致

①の呪縛が中学生を襲った時、それをいち早く察知して、取り除いたのはつよぽんの人ではなく、②で、そこから②への新たな陥穽が待ち受けていた、というふうに見たですが、少女はデスノート並みに天性の何かと運を持っているので(勿論努力もしている)②にちゃんと決別して、渡米後は一年半帰国してないとさらっと言うわけです。ちょっと見ててうなりました。スリー・ビルボードの真逆というか。

つよぽんの人が、視力もあれになるくらいのってなんだろうと思い(本人も「こんなんなっちゃった」というような抽象的な物言いしかしない。そういうキャラではあるんですが)ホルモン注射だと思ってたのが、エイズの発症予防で注射とかあったっけ?くらい妄想をヒートアップさせながら見て、見た後こうして検索して、妄想は妄想でしたが、真相は藪の中で、わりと迷宮です。

同級生の告別式に行くとか、そういう普通の描写をところどころバッサリ切っているので、その辺を見ている時は忘れていて、そういうのもヒットの理由かもしれません。母親が部屋の前で待ち伏せする場面から八王子の死霊まで、中国当局の検閲でカットされたかのように不自然につながっているので、なんだこれと思いましたが、それすら八王子を効果的に見せるための予備作戦という。

この映画と中国映画の共通点はもうひとつあって、それは、国家権力たる警察への全幅の信頼です。レビューで、この映画に☆をつけることを、がえんじたくない人の言う理由の多くが、JKビジネスというかJCビジネスか、その場面と、あれがレンタルルームというものでしょうか、そこの場面ですが、どちらも当然のように正義の警察が介入して見事にあとくされなく裁いてくれてます。あんなに信用出来るなら、いいですね。東京一過酷と私が思っている新宿警察に栄光あれ。「すばらしき世界」のように、宮城県出身ソープ嬢が3.11以降この職についたとか、ある種の人々(ネトウヨ)の琴線を逆なでする設定はこの映画にはない(と思います。別のいろいろはあるかもしれませんが)

実家は主人公を男性と思ってるはずなのに、何故多感な思春期の中学生の女の子をそこ(縁戚ではあるが独身男性のマンション)に同居させて避難させようとするんだ、という疑問を感じさせないほど、つよぽんの人のビジュアルインパクトに最初負けますが、映画館を出てから、徐々に、あの家族、全面的に崩壊してるから、そこがおかしいと家族自身も気づけないのではないか、と思いました。母親のチックは老人性なのかそうでないのか。

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撮影会ビジネスも二丁目?抜き系風俗も、どちらもきもい男性が客になるんだなあ、男性の性は女性の性に比べてやはり攻撃的なのだろうかと言ったらまたよくないのだろうか、と思いました。なんでつよぽんの人は男というかパートナー作らないんですかね。「うちらみたいなんは一人で生きていくしかないんじゃけえ、強くならにゃいかんのんじゃ」みたいなセリフは、その場ですっと入って、その後、『昨日何食べた?』と考え方違うよな、と思い、ゲイとトランスジェンダーは違う罠、とまた考えたり、いやいやこれはつよぽんの役の人の個人としての属性、パートナーを作らない主義、の発露なのかもしれんと思ったりしました。「すばらしき世界」の博多弁より、広島弁のほうが私には馴染み深いです。綾瀬はるかもパフュームもこないしてしゃべりよろうが、ワシいうんで。

リフトも使わない倉庫作業がショーパブより給料いいとは絶対思えないです。ここは苦役列車でも見て考えなおせと。

「女装オネエ」という東スポのこの映画の記事のことばが問題になったそうですが、正直、主人公がタイに行くまでは、私も主人公のビジュアルをそのように見ていて、別の映画の生田斗真とか(未見)、海月姫はほんとに女装男子ですが、そうした他の映画でも、女装したオッサンや兄ちゃんにしか見えないしな~、つよぽんの人も、う~ん、と思いながら見て、さっきウィキペディアで「シスジェンダー」なる専門用語を知り、ノンケとかストレートという言い方でいいのかどうか知りませんが、そういう人が越境して演じることへの論議があるんだなあ、と知ったです。で、タイから帰ってきてからのカメラ映りが、肌のぱさつきがなくなり、血色も肉付きもよくなった気がするのですが、論理的な理由がないので、そう見えるだけと思いました。

そもそもバレエ映画で、劇中の二丁目ショーパブでもバレエ的な踊りを見せる時点で、監督の攻めを感じ、男女の骨盤の違い、出産のため骨盤が開いて臀部が大きくなる女性と、しまったままの男性との骨格の違いが、バレエだと特によく分かるので、おそろしい映画だと思いました。

内田英治 - Wikipedia

バレエの先生が、この映画のために、あちらからひょっこり帰って来た川島なお美に見えて仕方なかったです。演じた方に申し訳ない。八王子に実際に超有名な登竜門的コンクールがあるのかと思ったら、コンクールがあるにはあるけれど、超有名かどうか検索では分かりませんでした。架空だとしたら、何故八王子。スカウトが猖獗を極めた地に置いたのは何故か。そこにも怨霊と鎮魂が。

エンドロールに、貼るだけピアスと、女装屋がありました。不快レビューに戻りますが、「オチる」という単語や、昔の言い方で言うとミスターレディというか、そちら向けの女衒、スケコマシでなくナニコマシなのか、そういうのもいるんだと思いました。客は、ふたなりとかそういう同人漫画読みすぎた、世紀末は終わって新世紀になったはずなのにさらにひどくなった人だと思います。くすりで人工的に気分をアゲてる風俗嬢が通りすぎてゆきましたが、非合法な薬でなく、処方箋と思います。たぶん。

レビューを讀んでた段階では、誰が死ぬのか分かりませんでした。あと、映画見た時のメモに、「田舎はマイルドヤンキーばっかり」と書いてました。メモは書いてないのですが、今の私学は授業料を行政が負担してくれるので、寄付金とか以外、私立と公立の違いはないんだとか。そういう知識を以て映画観て、セフレ、否、セレブと避難民が同じ中学に通うのは不自然でない旨納得してます。セフレ、否、セレブの子の家が、それでも新宿区なので、こんな感じなんだと思いました。どの辺なんだろう。矢来町とか抜弁天でしょうか。それとも西新宿でしょうか。山手線の内側の戸建て住宅というと、『ちはやぶる』で東大生がお汁粉作る文京区の公民館のあたりを思い出します。

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つよぽんの人の映画で、「まく子」の遊び人板前役を見て、無理があると思ってたので、この映画も、厚木でやった時には、観ようと思いませんでしたが、凱旋上映なんかやる時代になったので、TOHOシネマの優待券に職場の福利厚生ポイントを替えてたので、それで観ました。でも、関内からの交通費など考えると、港南台に行ってもよかった気もします。予告上映中に映画館に着きましたので、そのタイムロスのなさは、この映画の持つ何かに呼ばれた気もします。小さなスクリーンで、観客はけっこう埋まってました。ミセス・ノイズィと見たのと同じ、ここだけ都内でもいちんち四回上映してるミッドタウン日比谷です。彼の演技評はもう書いたと思いますが、皆がレビューで触れている、「おかあさん」と呼ばれた時の神演技は、これがみんな書いてた箇所かと納得しました。確かにこれは歴史に残る名演な気が。以上

【後報】

作中『らんま1/2』を読みふけっていて、私は、どういうまんがかは知っているのですが、ロクに読んでません。中国で最初の海賊版が出た時、〈鸟山明先生最新作!〉と銘打たれてたのに笑った思い出があるくらい。19世紀なら、《乱马1/2》は有害図書だったかしれんとは思いませんでした。同人誌ウケを狙いすぎたとは思います。女性が、北京ビキニを超えて、ヌーディストビーチなみの上半身にすぐなるマンガ。フランスでも大人気で、紀伊国屋の洋書部にふつうにあるフラ語翻訳マンガだった気瓦斯。

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(2021/4/9)