ギロッポンは東京ミッドタウンで1/27までのショート展示でしたので、行ってきました。
何かと神経を使うウイグル関連の展示も、こうやってギロッポンのど真ん中で、無料・会期中無休でやってくれるんならいいねと思います。セキュリティにも分厚く配慮されるし。
ウイグル料理店で、隣のテーブルで漢族がひそひそ漢語で話しながらめし食ってるの知りつつこっちも素知らぬ顔で食事する時間と比べると、ぜんぜんマイクロウェーブですよ(意味不明)
まあ、あまりに東京は催事が多いので、目につかない気もしますが、見る人は見るんじゃいかな。デフレ脱却に成功した物価のギロッポンでやってくれるのも吉。私は食事はよそでしましたが。そして、日ごろとちがって、欧米人以外の外国人しか見ない場所でないのも、いいのかもしれない。欧米人っても、ギロッポンを白昼あるってるのは、もちろん米兵以外。
エイティガール寺院周辺の写真など、えーこうなってるのかと思いました。下の、この写真展などの記事に、10年間でサラ地になったモスクやバザールのビフォーアフター写真があります。
ウイグル人の女の子の屋台の売り子にもテロ対策で「警察 POLICE」と大書された防弾チョッキを配って着せてるのとか、同じく「警察 POLICE」と大書されたジュラルミンの盾(FRP?)もいろんな施設に配ってるとか、ウイグル人の都市住民が、竹やり訓練じゃないですけど、棒術を、太極拳やラジオ体操のノリで、都市部の歩道一杯に広がってやってるところとかの写真があります。これがギリなのか。
下は、何かを封鎖した写真の、封印の文字。日付は最初から空欄で埋まってなくて、かわりに押印されてるわけですが、ハンコの日付は読めませんでした。
综合治理 社会治安 二〇一九年 月 日
纳尔巴格街道依来克社区
検索すると、ホータンの市街です。
道路の名前が台北路なのが、すごい皮肉だなーと。
下の記事にもある、多少古びた、服装規定についての、ポスターの漢語部分。ウイグル語部分は、打ち込める人はいるでしょうが、頼みません。
正常服饰与非正常服饰区分图(ノーマルな服装とアンノーマルな服装の区分図)
维吾尔族传统服饰(ウイグル人の伝統ファッション)
(文章による説明はなく、女性のスカーフや緑のウイグルハットなど)
禁止穿着服饰或装扮(着用を禁止される服装と装飾)
蒙面纱及"吉里巴甫"服(顔全体を覆う布「ブルカ」)
非正常留大胡子(常識範疇にない大きなヒゲ)
奇装异服(奇異な服装)写真を見てもどこがそうなのか不思議
“马来西亚”服(「マレーシア」風の服)ウイグル風ムスリムでないからか。
星月标识服饰(星と三日月の回教マークをつけたファッション)
以上非正常服饰不得穿着,生产,买卖 违者依法处理
(以上のアンノーマルなファッションは着用、製造、売買をしてはならない。
違反者は法に依って処理されます)
日本語だと、処罰されますというべきですが、私は翻訳とかどうでもいいので、原語の響きのチューリーをそのまま書いてしまうです。あましよくないですね。趙リッケンバッカーサンが麻生太郎サンに言った ”请他喝再说吧“ を「飲んでから言え」と訳したのといっしょ。
上半分はテロ対策として分からなくもないですが(インド映画「バジュランギおじさんと迷子」でも、パキスタン密入国後、警察の眼をあざむくため、男性がブルカで全身覆って、パキスタン人の妻にばける場面がある。あたしはテキーラをもってまいりましたわ~ 怪しいヤツ さすがナチス、どうしておれの完璧な変装を見破った)後半どんどんいいがかりになる。
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この"吉里巴甫"服というのが、ブルカやニカブのようなのですが、その単語そのままのウィキペディア中文版も百度もなくて、ブルカやニカブの項目に飛ばすので、かつてはこういう言い方をしていたが、コレクトでないので、もっか言い換えのまっさいちゅうな感じです。差別語のない中文(差別の意図がないという建前で、何でも言い換えせず直球で使う)でもそういうことがあるのか。
中华人民共和国伊斯兰教女性服饰 - 维基百科,自由的百科全书
私自身もこの辺の言葉よく覚えてませんので、過去の日記を漁りました。
stantsiya-iriya.hatenablog.com
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こんなことチベットでやりつくしたあとで東トルキスタンに来た陳全国という人もえげつないですが、①チベットでやったことはウイグルほど広まってない。仏教徒ゆえにフリクションがムスリムほどでなかったのか。②陳全国は西蔵でも新疆でも行政組織のトップ、省長でなく、共産党のトップである姜さん、否共産党省委員会書記です。中国は、省組織にバランスよく少数民族も分配してるとぬかしますが、西蔵や新疆で党組織トップを少数民族に譲ったことは一回もないとはよく言われること。広西や南モンゴルだと、壮族やモンゴル人の党トップあったりするんでしょうか。ウランフ。
私はウイグルではあんましこの女性の黒一色ブルカは見た事なくて、漢語をさべるムスリム、回族のなかの、サウジアラビアでメッカ巡礼してハッジの称号得るような人たちのなかで、見た事あったりします。回族はどうなんでしょうか。寧夏とかどうなんだろう。
もうひとりの奨励賞の方は、京大中退で毎日新聞社入社というはなばなしい経歴の方で、題材に関しては、参与観察でどこまでこのカメラマンが対象と関わっているかが見えないのが、もどかしいと思いました。ワーカーでもスポンサーでもなんでも被写体に入って、それでプライバシーもなんもおkなら、新しい世界が撮れる気もしますが、私はあまりこういう写真を見ないので、もうすでにあるかもしれません。
下のアフガン大使の本に、唐突に、ひきこもり70万人の日本とアフガンの現状の落差に触れる個所がありますが、今回のふたつの展示でも、比較でそういうことを言ってしまっていいかな、でも比べるべきじゃないと言い返されるかなと思いました。
この川嶋というひとのウイグル写真展は、昨年春に記事で読んで、見てみたいと思いましたが、まあなんしか私のアンテナも折れてますので、いつやってるか知らず、たまたまおとついヤフーニュースで読んで、それで、会期が一週間しかないので(その後大阪でも一週間)森下にももう一度行こうと思ってましたので、えいやで行きました。
昨年の記事。ウイグル人と書いてます。
(略)これに対し、ウイグルは中国から独立しなければならない、独立以外の選択肢はあり得ない、独立以外の意見は中共(中国共産党)寄りだと、ネット上で当事者でもないのに口角泡を飛ばすように反論する日本人がいました。彼らの発言を聞いていると、結局のところ、意見の押し付けという意味では極めて全体主義的というか、中国共産党的だなと感じました。多くのウイグル人が独立を求めているのは事実ですが、(略)外からウイグルの独立を煽る人は往々にして、ウイグルを「反中」の道具に使っているだけなのだと私は感じます。
こういうふうだと、東トルキスタン絡みはネトウヨが強いので、水谷尚子サン同様、キツいだろうなと思います。水谷サンはアムネスティに活路を開こうとしましたが、どうでしょう。
下記の記事を読んで、今回の写真展を知りました。アサヒカメラも朝日ですので、表記は「ウイグル族」です。不安でしたが、展示は「ウイグル人」でした。
下はこの記事のヤフーニュース。ヤフコメでは、なぜキリスト教諸国の欧米だけウイグル問題に声をあげていて、タリバンや回教諸国が声をあげてないのかというのがトップです(実際はトルコはときどきなんか言ってます。が、国内右派には、クルドなどの、なんだかよく分からない「トルコ系」と、純粋トルコ人、正統派トルコ人を分ける色眼鏡もある感じ。トルクメニスタンあたりはまだいいのかな?)
主な写真はこうしてウェブでも見れるのですが、パネルの大きさでないとよくみえないところがあります。例えば、上の左上が緑看板の、商場内の撮影写真は、中央上部にクッキリ防犯カメラだか監視カメラが写っていて、それを承知で大胆に?撮ってることが、パネルだと鮮明に分かります。
上のヤフコメはいささか唐突ですが、例えば水谷尚子サンも、2015年に勉誠出版の「アジア遊学193」で「ウイグル人の反中武装レジスタンス勢力とトルコ、シリア、アフガニスタン」という論文を発表してますし、昨年12月に出た白水社の元アフガン大使によるアフガンクロニクルでも、アルカイダに毒されたタリバンでは、9.11直後に一斉に中央アジアにイスラム革命を拡散させようとした動きがあったことが記されています。
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こないだのカザフのデモ弾圧も、テロリスト集団がデモを乗っ取ったというカザフ側の反論が出てからは、検証するすべもないためか、カザフーロシアに対する人権弾圧の声はしりつぼみに。上のヤフコメは、そうした地政学の反映といえるかもしれませんし、ただの偶然かもしれません。