「バジュランギおじさんと、小さな迷子」(English: Bajrangi Bhaijaan)(Hindi: बजरंगी भाईजान )(Urdu: بجرنگی بھائی جان)劇場鑑賞

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献血の後めんたいぴりり見た後はしごしました。ムービルのビルのモスバーガーで夕食を摂る筈が、諸般の事情から、閉店セール中の西口ダイエーでアジフライとおにぎり🍙一個になりました。お客がこの入りだとめんたいぴりり以上のクライシスだと思いましたが、終わってみるとまだましな入りになっていてほっとしました。ムービルは109系列ですので、会社の福利厚生を使いました。会社帰りに映画館に通う映画好きの人たち、寒いけど頑張れ!ということで。

バジュランギおじさんと、小さな迷子 - Wikipedia
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/d/dd/Bajrangi_Bhaijaan_Poster.jpgキネカ大森で予告見て、その隣のビュッフェスタイルのおいしいインドレストランでポスター見て、行こうと思った映画。

ふたりなら、どんな壁でも越えられる
インドからパキスタン―700キロの二人旅が、世界を笑顔に変えていく…
「ダンガル」「バーフバリ」に次ぐインド映画 興行成績 歴代第3位!

 2015年と少し前の映画であることは見てから知りました。このところのインド映画ブームで買い付けたんだろうなと。私も、こんなことなら「PK」見ておけばよかったと後悔しています。アミュー厚木でもやってたのに。でも、岩波ホールが先鞭をつけた「ガンジスに還る」はたぶん見ません。ゲージツ映画だから。

最初のほうの、実話インスパイアがどうのという英語スーパーに、字幕がついてなかったのが不満です。どんな大事なことが書いてあったのだろう。中文ですら辛いのに、英語スーパーのあの流れる速さについていけるわけがないでしょう。スター・ウォーズだって大変だったのに。

主演の人は目をいじってる感じがしないでもないです。ベジー(役柄ですが)なのにあのガタイ、あの筋肉。なるほどプロテインは大豆たんぱくなんだと。子供時代の回想で、レスリングの才能がないと語っておきながら、とても強いので、なんじゃこりゃあと思いましたが、「インド映画だから」は「香港映画だから」と同じくらい説得力があるので、仕方ないのかと思い直しました。

この映画は子役のマジックパワーを封じるというか半減させるために、声が出ない、喋り出しが遅い子、という設定をドカンとぶつけています。そうでもしないとかきまわされてボリウッドのスターたちが危ない。喰われてしまうマンハント。飛び道具には飛び道具、マムシの毒はマムシでなおす。五千人のオーディションで選ばれただけあって、右手を上げて「アッチャー」やるだけで見てる方も「アッチャー」映画観終わった後、しばらく首を左右に振るようになります。おいしそうにチキンを食べる場面が印象的でした。ムスリムがハラルの肉食可であることと、いつも食えるかどうかはまた別問題。

 チベットでは偽僧侶横行につき、古着屋含めチベット服売ってる店で僧侶の服はほかより妙に高いのですが(買い手の理由をみすかしているかのよう)回教国ではブルカで全身真っ黒に覆って、妻帯者の妻のフリするのが賢いやり方というふうに、この映画ではなっています。お尋ね者が二人なので、何人でも妻帯出来るイスラム法がここでも生きてくる。周りはみんな、一人でも大変なのに奥さんが二人とはご愁傷さま、と同情してくれて便利です。離婚はそうそう出来ない。がたいのいいオッサンがブルカで変装して検問指名手配をやり過ごそうとする場面、「あたしはテキーラをお持ちしましたわ~ん」というジョジョ第二部のセリフが聞こえてくるようでした。ホダーハーフェス。シュクリア。ナマスカールでなくナマステでしたこの映画のインド側の挨拶は。

 かわいい子役のはずが、左の写真だと白眼剥いてるように見えてこわいという。

インドとパキスタンの中の悪さは、原理主義者が台頭してからの話でもなく、印パ戦争からの話でもなく(いや、そうかな)イギリスから分離独立した瞬間から流血の大参事であったわけで、しょせん血塗られた道よ、みたいな。大虐殺のあった町の名前が、銀英伝で、因縁の民主主義滅亡直接契機の大敗北の戦いの場の名前で使われていて、ニヤリとしたもんだかどうだか弱ったのを覚えています。アムリトサル

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この映画も冒頭、ラホールーデリーの急行列車(夜汽車)が走る場面から始まり、あちらでは(日本でもたまに)あることですが、夜中なんにもないところで列車が停まります。両国を結ぶ鉄道というと、すぐクリシャン・チャンダルの『ペシャーワル急行』思い出します。図書館のアジアコーナー、むかしは本当に本がなかった。中韓以外という意味で。そこで輝いてた小説。

クリシャン・チャンダル - Wikipedia

本の紹介 ペシャーワル急行
印パ分離独立にともなうイスラム教徒とヒンドゥー教徒の相互殺戮を描いた名作「ペシャーワル急行」など、ウルドゥーの短篇10篇を収める。怖く、面白い。

現代インド文学選集 1(ウルドゥー) ペシャーワル急行 (現代インド文学選集 1 ウルドゥー)

現代インド文学選集 1(ウルドゥー) ペシャーワル急行 (現代インド文学選集 1 ウルドゥー)

 

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小説では最後、インテリ女子大生が、強盗団の若者に、殺さないで、私は役立ちますし、よき妻になります、私はまだこんなに若い、人生がこれからある、あなたと共に歩むことも出来る、等々喋り、若い暴徒の兄ちゃんは、エッチかなんかしようとしてたのがする気がなえて、コントロールされようとするイヤな気配を彼女に感じ、返事がわりにぶっすり下腹部に短刀つきさして殺すだけにして立ち去ります。で、なんということでしょう、彼女の手にしていた本の書名を見よや、というオチなのですが、そこが両国のスターティングオーヴァーで、21世紀、迷子映画が現われるいう大きな流れがよかったです。

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バジュランギおじさんは大学を10年留年したんだか卒業出来なかったのか、みたいなオッサンで(幼少期は九九が出来ないインド人という、前代未聞の設定。バスケとラップが出来ない黒人を遥かに超越するメタファー)、近い親等の家族はいません。迷子が色白なので上位カーストと勘違いしてました。物乞いと違ってお金を受け取らない迷子でしたし。私は今これを書いていて「バラモン」という最上位カーストの名前が思い出せなかったので、「カースト」「上位」という検索ワードで検索したのですが、結果がぜんぶスクールカーストに関することで、ガッカリしました。話を戻すと、迷子は迷子なのでパキスタンのパスポートを持っていないのでパキスタン国籍と証明出来ず、なので正規のルートで帰国出来ないのですが、そこを蛇の道はヘビで裏ルートで送り返すことを約束した旅行社のオッサンが、彼女をヒーラマンディみたいな売春窟に売り飛ばそうとする場面がまず前半の山場で、ここはよかったです。インドの売春街、映画で見れるとは思わなかった。リアルだったと思います。行ったことありませんが。

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なすのサブジ セット EGG PLANT SABUJI なす・玉ねぎ・スパイス。 オクラのサブジ セット OKURA SABUJI とろみのあるオクラはサブジにすると格別です。 じゃがいものサブジ セット POTATO SABUJI おつまみにもオススメ。ピリ辛のスパイス味。 ゴーヤのサブジ セット GO-YA SABUJI まかないで好評のゴーヤ。お客様にも是非お召し上がり頂きたい一品です。

ロードムービーみたくなるんだろうと予測してましたが、そこはあんまりありません。お尋ね者の不法入国者ですし。パンジャーブからカシミールへ行く途中は治安の悪いところも通るはずなので、余計にのんびりロードムービー出来ないかと。で、バジュランギおじさんはかなり気合の入ったベジーらしく、パキスタンの野菜カレーは肉と煮こんでるからか肉のダシ使ってるからか、NGな場面がありました。「サブジ」という単語を覚えていてよかった。ここに出ます。

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チトラールとか、フンザとか、スワートとか、山のほうに行くと、現在ではものっそ回教原理主義者の布教が苛烈なので、どんどん改宗してるが、もともとムスリムでない山岳少数民族で、アプリコットのなる村に住んで、アプリコットを摘んで果実酒作ったりとかそういう暮らしを回教ファンダメンダリストがどうのこうの、というようなアジテーションのデータは、たぶんバジュランぎおじさんの属するヒンディー原理主義者たちが毎日ネトで暴風雨のようにまき散らしてると思います。でもそれはこの映画が歴代三位の興行収入を達成したとか、パキスタンでも上映された理由にはならないです。

キホンご都合主義映画ですので、背景だけ楽しむ映画で、あとはやっぱ子役の飛び道具とバジュランギおじさんとおばさんの晩婚の行方を愛でる映画でしょうか。ご都合主義なので、そこに目くじら立てたらアカンです。私はこんなゴーモンされたことありません。警棒でおもくそ手首殴られたことありますが、それはウランバートルで、インド亜大陸ではない。

印パの緊張を見ると、日韓はおこちゃまのようなもの、とまでは言いませんが、でも印パほど根源的な違いに基づく愛憎を抱いてるわけじゃねえとは思います。たぶん私の生きてるうちは無理でしょうが、そのうち、独仏並みの大人の関係になれるんじゃいかと思いますよ。で、中国については、知らない。以上