「シン・ウルトラマン」"ULTRAMAN" 空想特撮映画《邢・奥特曼》劇場鑑賞

十八時十五分からの回を見終えてからインドネシア料理店に行ったら、すでにラストオーダーが終わっていて、その店にあるというサテ・カンビン(山羊の串焼き)を食べ損ねました。映画の日に満を持して行きましたが、満を持さなくてもよかったと思います。オチが弱い。というか、オリジナルで、ゾフィーが命を二つ持ってきて、そしたら、ハヤタ隊員の自我はどこにあってどこに行くの? と感受性の強い子は考えてしまって、それが庵野だったというオチかもしれません。同じ思いを全国民味わいやがれ、俺はアニメ界のシージンピン、みたいな。

その、オチが弱いというのも、それまでの物語構築のキモ(核心)ロジック、長澤まさみが巨大化したら核兵器よりも脅威、という箇所の説明が、どうにも頭にしっくり入ってこなくて、庵野だからきっと正しいんだよ、でごまかして、観ていた方にも責任があるのかもしれません。庵野だからって、長澤まさみ核兵器より威力があるなんて理屈、おかしいよ、おかしなものはおかしいと言える世の中でないとノー、ノーですよ、という。

それというのも、カラータイマーがないのはいいとして、ウルトラマンは怪獣、ウルトラセブンが宇宙人、というおおまかな区分が完全に無視されている点を、シン・ウルトラマンとシン・ウルトラセブンりょうほう作らされたらめんどうでかなんので、一個にまとめはったんやろなあ、と、最初に好意的に解釈したせいかもしれません。そういうのが積もり積もって、オチへの過度の期待につながり、それ(梯子)を外されると、もうすべ(for為す)がない。

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事前に見た評は上くらいで、あとは職場で、新マンというよりエースだった、という声を聞いたくらい。私はあまりエース感は感じませんでした。ひし美ゆり子感は感じました。セブンセブンセブン私の恋人ウルトラセブン*1ニューズウィークのしとは、舞台がどこか分からなかったのがマイナスと書いてましたが、出だしがイキナリNEXCO中日本の工事現場(NEXCO西日本でもNEXCO東日本でも首都高でも名古屋高速でも阪神高速でも広島高速でも福岡北九州高速でもない)で、次が東京駅でしたので、けっこう分かるじゃんと思いました。冒頭のお城も、お城マニアならナニ城かすぐ分かると思います。幹事長の選挙区は、横須賀の場面ならスガさんと思ったでしょうが、山間の中央線の、相模湖から西の風景ですし、横須賀の場面はまた別ですので、時代的に金丸信の山梨かなあと思いました。富士急映ってるし。

アメリカのステルス爆撃機も古い形のように見えました。丸の内の電柱の商店街広告、"Always be"まで読んで、あと忘れました。面パトの車番が800番なので、すぐ見破られるだろうと思いました。横浜 800 て 1017 レクサス。

ヘルメットにちゃんと血液型を書いていて、基本を忘れぬよい態度と思いました。防災庁のパソウコンがPanasonic製で、それってなんだっけと考えて思い出せませんでした。ラビは富士通、否NECで、ダイナブック東芝で、ソニーがバイオ。パナソニックレッツノートだそうです。

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長澤まさみがロシア語喋った相手が、ザラブなのか堀北真希の宿六なのかウルトラマンなのか忘れました。堀北真希の宿六は、鼓腹撃壌とか生殺与奪とか、故事成語をよく知ってると思いました。ウルトラマンは、タイのハヌマーンの映画に出て来るウルトラマンのようにも見えました。ほとけさまをたいせつにしろー。大船観音は永遠に。

映画『シン・ウルトラマン』公式サイト

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シン・ゴジラ石原さとみで、シン・キューティーハニーサトエリの人で、シン・エヴァンゲリオンが誰か忘れましたが、別にこの映画、んが澤まさみでなく、浜辺美波とかでもいいんじゃんと思いましたが、浜辺の人は仮面ライダーで既にブック済だとか。

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私はウルトラマンの最終回がゼットンゴモラか分からなくなってますが、私だけのようです。この映画のゼットンはガンド・ロワかと思いました。どうも庵野の人は団塊ジュニアの一員なので、ヤマトの特攻思想に囚われすぎているのかも。先人に続く玉砕を渇望(対等になりたい)。人類は生存に値すべきかなんて論争をやりたいのなら、マイナーまんがの密教戦線サンガースのラストバトルの応酬だけ、参考にさしてもらったらよいのかと思います。美しい風景は、それを見て美しいと感じる自分もそこにいるから意味がある。美しいままのそこに自分も居続けるためにはどうしたらよいか。

以上

【後報】

ヒグチ監督について。死んでもラッパを離さなかったという話ではなく。この人の構図は、同じ絵を左目をつむった構図で撮ってから今度は右目をつむって撮るような、私は作中のヴァーチャルリアリティーテンガ併装みたいな機械を使ったことがないのですが、そういう経験のある人はうなづけるのだろうか、あるいは片方だけ老眼用の遠くを見るコンタクトを入れて、もう片目は裸眼で近くを見ている人のような視座なのだろうか、というようなコンテが目につきました。また、

ワイドスコープを持て余してるわけでもないと思いますが、真ん中に何かモノを置いて黒く塗りつぶして、人物をわきに置き、

対話の相手もやっぱり真ん中の黒く塗りつぶされたわきにいる、というようなヨコナガ画面の使い方が目につきました。

もちろん正面に人物を置いて、その人物がカメラのこっちがわの誰かと話している絵図もあるのですが、

人物を左に置くと右がさびしいのか、右にはかとくたいのマスコットを置き、

人物を右に置くと今度は左がさびしいらしく、左にかとくたいのマスコットを置いてました。

内閣中心に扁額もたくさん出ましたが、ひとつとして読めませんでした。達筆なので。

で、この監督に、むかしのテレビ画面のような横にワイドでない画面や、スマホのタテ長画面だけで作品撮れというしばりをかけたら、どうなるだろうか、いっそせいせいしてかつ嬉々として作品を作ったりないだろうか、と思いました。心理学者の意見も聞きたいですが、失礼だったら訴えられる前提にすると、手をあげる心理学者はいないだろうとも思いました。

(2022/6/2)

*1:こんなのが出続けるのもなんだろうなあと思います。