『逃亡の書 西へ東へ道つなぎ』"The Book of Escape. Connecting The Road to West, or to East."「間奏曲・転位のための覚書き」"Intermezzo・Memorandum for transposition." by MAEKAWA SANEYUKI 前川仁之 読了

ビッグコミックオリジナル『前科者』読書会に出て来た本。

左は表紙(部分)日本語ですが、別に北京語でタオワン"taowang"と読んでも可。同じ字で同じ意味*1

前半は、コロナカ備忘録です。どっちかというと、この人はあくたいをつく派なんだなと思いました。そりゃ自粛警察とかはいやだったでしょう。読めば読むほど、SARSの騒動を基準に行動してきた自分は、日本から浮いてたなあと思う。

「正しく恐れよ」という点からすると、日本は、第一次第二次以降は、万一の強毒化のおそれというか、責任問題だけでずるずるやってただけだと思います。TOKYO2020から帰国したリネールがパリでノーマスクで吠えた時点で、終わらせてよかった。

全然初期の話ですが、武漢からの帰国便チャーター機で乗客から料金をとらないなんて、アホかと。天安門事件の時に邦人避難で飛ばした日航機の乗客から正規料金とったのを反省してるんでしょうが、駐在ばかりの今回はとったほうがよかった。案の定日本の空港で検査拒否してふたりくらい邦人逃げたし。

SARSの本場中国が白紙デモまでゼロコロナ強行をやめなかったのは、コロナ発生の真の理由を知ってたからかもしれませんし、SARSの経験が悪い方に生きたとも言えます。志村けんさんや岡江久美子さんが亡くなられた時がヤマだったと思う。武漢封鎖からの、ほんの数ヶ月。あのころはホント、中文の「病毒」ビンドゥという感じだった。その頃に外出させろと騒ぎ、今度は二年経ってもまだマスクつけっぱとか、逆ばっかし。

私の場合は、自宅待機やリモートワークがいっさいなく、さらにいえば職場には感染者も農耕接触者もいたのですが、私自身や家族は最後まで該当せず、皆勤に近かったので、おうちナントカの鬱屈が分からないという点もあります。いつ感染するかヒヤヒヤしながら毎日出勤してるのに、はてなブログに「いつも外出なんていい身分ですねえ」なんて書かれたり(その人はたぶんおっちょこちょいです)逆に、ほかの人のブログを読んで、会議なんてテレワークでいいだろうに、なんでこの人は毎日一時間歩いて密を避けて出勤してるんだ? ほんとに役職付きのホワイトカラーなのか? と思ったこともありますが、大人なので指摘してません。

以上もろもろですが、要するに前川サンとはコロナカについては意見が合わないということです。どうも東大出(中退)の方なので、直球で言っても大丈夫なくらいディベート力があって、ロジックを感情的な反応にすりかえないだろうという甘えの感情が私のこの感想の奥底にあるので、こう書きました。

で、ステイホーム、外に出られないという点から、一気に話は牛久に行くのですが、自殺者が異様に多いという出だしで、まず、日本は諸外国に比べ自殺者が突出しているというほかの方のブログの記事を思い出し、これが、「郷に入っては郷に従え」の制度化だったら恐ろしいことだと思いました。自殺するくらいならふつう帰国選ぶんじゃないの? 帰国するより自殺を選ぶのはなぜ? と思います。外国人まで日本色に染めて自殺を選択させてるとしたら、こわい。祖国に戻ってもいのちの危険があるからですよ、と言われても、政治犯で死刑確定してるとかの証拠があったら、日本の法務省難民認定するだろうくらいにはみんな日本政府信用してるわけですし、そこまで明々白々でないのであれば、帰国しても逃げれるかもしれない、少なくとも牛久で首くくるよりはノーチャンスじゃない、と私は思います。狂言自殺のみごろしでなければ。処方箋薬漬けと同じ発想の人だと、リスカとかすぐ考えそうな気がして、すごくいやです。誰か、強制送還によりそって渡航して、現地官憲の手から逃れて脱出に伴走型支援、の現地ルポ書く人はいないんでしょうか。

頁231 パンジャーブ州シク教徒が迫害されていてそれで逃げて来たというシク教徒の人。

 (略)つとめて和やかに自己紹介した。こっちは編集者で、こっちは書く人です、といった具合に。バルプールさんは大きく息を吐いた。

「メディアの人ってことね。メディアに出ても、なんも変わらないよ。それがびっくりなんだよ。メディアが伝えて、それで変わるなら話すよ? だけどもう、何回も、色んな人が来て調べていったけど、ここから出られる人が増えたか? 僕たちの扱いがよくなったか?」

「あまり効果はなかったかもしれません」

 静謐な気迫におされて、素直に答えた。

「そうだろう」

「しかし自分たちが書くことで(略)

頁235

 v わたくしという島国

 GoToトラベルキャンペーンがかなりお得だという知人の話に感化され、秋にはついに、旅に出た。久々の自転車旅行だ。さいたま市から群馬県の妙義、下仁田を経て(以下略)

いきなりGoToになる転調にズッこけました。三人インタビューが紹介されてますが、全員日本語のみの会話。ほかはスリランカ人で、ずっとオーバーステイでふつうに働いて生きてたのに、運悪く入管にゲットされたとか、妻子持ちとか、いろいろ。

私はひと時代前の、観光名目でニューヨークやロンドンに行って、一旗揚げることを夢見て日本食レストランで皿洗いする日本の若者たちの時代を知ってますので、彼らとワーホリとのちがいは労働資格があるかどうかだけの違い(滞留期限が過ぎても居座ったら不法滞在=オーヴァーステイになりますが、それはワーホリでもいそうな話)なので、犯罪やドラッグの方に行かなければ、どうでもいいという考えです。で、悪い外国人というと、やっぱりコロンビア人とかぶっとんでいたので(レバノン人にもひどいのがいた)特異点を基準にすべてを拒否ろうとは思わないです。青龍刀で切りあうチャイマなんてまずいないけど、いないわけではないらしく、そういうヤカラは在日中国人社会でもニュースになるでしょう。じゃあ黒星は、そして先物取引くらいしか日本の就職先がなかった時代の留学生は、とか、考えることが多すぎる。その後、牛久はコロナカで、密を避けるため、収容人数を1/5くらいに減らしたとか。

あと、3.11のことも少し書いてたと思います。

以上