『今日も飲み続けた私 プチ・アルコール依存症からの生還』 (講談社プラスアルファ新書)読了

恋愛依存とセックス依存は女性から見たら違うんでしょうけれど、
男性からしたら同じではないか、などと最近考えます。
新井英樹のマンガで、
男「だっ、出したいっ」
女「??? 入れたい、じゃなくて?」
的会話を読んだ記憶があります*1

この本は、アマゾンのレビューでよく書かれていませんでした。
著者の公開ブログでも飲酒にまつわる葛藤は2008年4月19日しかなく*2
う〜んと思いながら手にとりました。
ブッコフにも図書館にもなかった。
プラスα新書やラクレは自費出版みたいな扱いなんですかね、よく分からない。

著者は、連続飲酒も離間症状も家庭環境も問題飲酒も関係ないのですが、
酔って記憶をなくすブラックアウトをたびたび体験するようになりました。
(スクリーニングテストの結果は書いていない)
で、いろいろアルコール依存症の文献を渉猟し、
(巻末に参考文献一覧がないので全貌は不明)
断酒はしたくないので、プチ禁酒を何回か試み、まずまずの成果を得ます。
ですが、専門医は入院断酒のメソッドしか持ち合わせず、
はるばる新潟まで節酒や適正飲酒のプログラムの話を聞きにいきますが、
その手のプログラムは執筆時点では実施されておらず、
なんだか分からないうちにこの本は終了します。
公開ブログを見ると、再婚されて新潟で暮らし、日本酒など現在も嗜まれているようです。
ワークショップなどを計画中と、おわりにあったのですが、
ブログを見る限りでは、現状どうなってるか分かりませんでした。

書名の「プチ・アルコール依存症」は、頁21にあるとおり、作者の造語です。
厚生省のサイトなどで軽度の人、予備軍などを指す「プレアルコホリック」を
題名に使わなかったのは、専門家に入院を勧められたので、
自分には「プレ」は該当しないと考えたのでしょう。
しかし、自分で造語造るより、汎用的な言葉使ったほうがよいと思いました。

あと、ときどき取材対象の容姿に厳しい。
頁98「口臭がある」頁162「ケリー風のバッグ」など。
ケリーかどうか特定出来ないなら、ただのバックと書けばいいのに。
「ケリー風」だと、パチもんと読む人もいそうなので。
異業種交流会とか勉強会とかまめに出てる人なのに、どうして。

頁142
飲酒運転による大事故の報道を読むと、「非常識だから飲酒運転をしたのではなく、運転することがわかっていても、お酒を飲まずにいられないアルコール依存症なのではないか」と思うことがある。病気なら意志やモラルの問題ではないと思うが、だからといって、飲酒運転をしても「仕方がない」とはならない。
 アルコールに限らず、DVや性依存症もそうだ。DVは暴力への依存だと私は考えているが、被害者が存在する以上、「病気なんだから仕方がない」と免責するわけにはいかない。

この本を読んで、著者のようなライフを送りたいと
涙ぐむ依存症患者の方もいるかもしれません。
同じように飲めないから断酒なのに。
けど、涙ぐむだけならまあいいか。
著者にはすでに上梓した以上、責任があると思います。
ワークショップ等、頑張ってほしいと思います。
新潟の酒造業界はそうした啓蒙に、
投資やぶさかでないでしょうかダメでしょうか。

*1:

SCATTER あなたがここにいてほしい 2巻 (ビームコミックス)

SCATTER あなたがここにいてほしい 2巻 (ビームコミックス)

*2:http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/183502/40926393 SNSにもブログがあるとこの本に書いてあったので、非公開もあるのかな。