二日酔いクン (TENZAN LIGHT SELECTION)
- 作者: 越沼初美
- 出版社/メーカー: 天山出版
- 発売日: 1992/01
- メディア: 単行本
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中環という人の表紙イラスト。中はイラストなし。
図書館で、“二日酔い”でタイトル検索かけたら引っ掛かった本。
これは拾い物でした。面白い。
図書館資料詳細の内容紹介から
祖父母に父 母 弟 父の弟
住み込みの職人が1人
私の計八人の大家族の中で
酔っぱらいのタワ言を子守り歌に育った
お酒大好き人間の私
人を酔わせる魔法の水よ
いつまでも永遠なれと願う私が巻きおこす
泣き笑い小説
作者はWikipediaによると、ライトノベルの先駆的存在だが、1995年以後著書を出していない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%8A%E6%B2%BC%E5%88%9D%E7%BE%8E
ACかと思うような家族構成がまず出てきて、
で、もう二十年も作品書いてないとか、
こわい!と思いながらページを繰りましたが、杞憂でした。
これは、バブル世代の、下町育ちの、専門学校卒の、
カラオケとディスコの、まだAVが貞操概念を破壊する前の、
ヤリ逃げを潔しとしない十代、田中角栄と江川卓の洗礼を浴びた中学生時代、
ヤラハタとハマトラが混在する、個人経営の飲食店が元気で、
高校生に酒を飲ませて店をゲロまみれにされる、
日本映画学校が横浜にあった時代の、、
タクシーでカード払いorマンキツオールなどの方便がないので終電に必死こいて乗って嘔吐、
ボディコンという言葉がない時代のボディコン、
などなど、実に鮮やかにあるグループの人たちの同時代史を切り取っていて、
あまりの面白さに一気に読み切ってしまいました。
終盤主人公(作者の分身で「つぐみ」という名前)は肝臓を壊し、
γ-GPT/2560の茶色い尿という事態になり、闘病に入ります。そして、
回復して節酒を条件に再飲酒開始するところでこの小説は終わります。
で、この小説から二年後くらい(1995年)から、現在に至る迄、
作者は小説を発表しておらず、消息はようとしてしれない――
やはりコワイ話かもしれないです。幸多かれと祈る。