『れんあい二日酔い』(集英社文庫)読了

カヴァーは佐野洋子土偶地母神みたいな女性像だからすぐ分かります。
図書館で借りたのは第9刷。

出版社のことわりがき
この作品は、五十三、四年『女性セブン』連載の「ふたたびスプーン一杯の幸せ」と五十四年『小説ジュニア』連載の「パジャマパーティー」に「銀座点描」「青春」と読書」「現代詩手帖」「芸術生活」「PHP」に掲載したものを併せて一冊とした。

売るために作ったタイトルですので、特に恋愛依存で二日酔いとか、
そういう話やエッセーはないです。
淡々と、七十年代の世相と風俗を楽しみながら読みました。

頁13
「そう、キャベツ一個三百五十円とは、暴力以外の何物でもない!日本の政治はどうなっている!庶民の台所も守れないような政治家は政治家失格だ、なんて、突如、目覚めてしまったのね、このひと」

昭和五十三、四年の三百五十円は高いです。読んでてびっくりした。
この発言の主は、UCLAのトレーナーを着た銀行マン。
子離れした妻が夜間大学で学ぶことにしたので、夕食作りを引き受けて、
スーパーに行くようになって物価やインフレに敏感になったという話。

頁57に出てくる歌。「命短し恋せよ乙女」という歌名で書かれているので、
そのまま検索して、うっかりボーカロイドの歌をここにあげそうになりました。
初音ミクも重音テトも落合恵子の祖母じゃないわな。
平和な読書、終了。