『統ばる島』読了

統ばる島

統ばる島

レキオの生んだ世界的ストーリーテラー
池上永一八重山諸島の各島を主題に自在に描いた短編集。

八重山の、本島とは違うとの強烈な主張を、静かに表しています。
旅人の野宿禁止の島が多いはずですが、それはものがたりとは関係ないからか、
書いてません。
作者の作品の特徴は、極端な天才が出てくることですが、
その才能はこの短編集でも遺憾なく発揮されています。
離島教育の話に外交官試験受かった東大卒教職員を持ってくる、などなど。

西表だけ、ホラー仕立てで、ナイチャーというか、日本人と移住者が登場人物なのですが、
これは、アメリカ軍政府がマラリアを根絶するまで人の住めない島で、
マラリア絶滅後、本当出身者も多く移住した「合衆国」が西表だからだと思いました。
はいみだとか、あかまたくろまたとか。

同様に、石垣だけ話が薄くて、物足りない印象があるのですが、
これは、作者の出身の島なので、遠慮したのか、
あるいは初期作品『パガージマヌパナス』『カジマヤー』で、
もうすでに存分に石垣を描いたから、だと思います。
湘南は2008年以降石垣島でキャンプしてませんが、清水はまだ石垣島なのかなあ。

風車祭 上 (角川文庫)

風車祭 上 (角川文庫)

宮古についてもいつか書けばいいと思いますが、これも書かない悪寒。