『百合子さんは何色―武田百合子への旅』読了

百合子さんは何色―武田百合子への旅

百合子さんは何色―武田百合子への旅

これも村松さんの本。文庫化されてますが、借りたのは単行本。これはノンフィクション。
かつての編集者が、大宅壮一文庫を使ったか使わなかったか分かりませんが、
肝硬変で六十七歳でお亡くなりになった武田百合子さんの実像に迫ろうとした本。
武田百合子の才能は旦那からの影響でないことを、
女学生時代からの同人作品再録で証明しております。
でも、没後だから、本人承諾なしに掲載したわけで、それってどうなんだろう。
娘さんに、死んだら燃やしてくれと言って燃やさせたトランクと茶箱の、
メモやノート、手帳、原稿、日記類なんかの話も登場するだけに、
考えてしまいます。商業誌ならいいでしょうけれど、仲間内の同人誌ですから。
コミケとかの同人誌でないことは、全人類に理解して頂けるものと認識しております)
あとは、泰淳の全集に収めなかった婚前交渉時代の百合子との故事をモデルにした小説が、
泰淳ひどい奴だな〜、て感じだったこと。
仮名で登場しますが、泰淳の前の男(アーティスト)の小説にも登場する百合子。
さらに、実弟の談話で明らかになる、生い立ち血族の新事実。
泰淳は、鈴木家のストーリーにころっといかれていたので、眞相知らずじまい。

鈴弁殺し事件 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E5%BC%81%E6%AE%BA%E3%81%97%E4%BA%8B%E4%BB%B6

実像に迫れて、泰淳が妻から受けた影響まで見破っている、優れた洞察力の本でした。
もともと、犬が星見た、みたいな言語センスのある人だったということです。以上