『酒が仇と思えども』読了

酒が仇と思えども

酒が仇と思えども

その辺に転がってた本。「あだ」ではなく「かたき」です。
カバー画/さし絵 中川学 装幀 多田和博
初出は祥伝社「小説NON」2016年8月10月12月号2017年2月4月6月号
参考文献は下記。作者 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B3%B6%E8%A6%81
ウィキペディアにも本書の奥付にも生年の記述はなく、
検索すると下記になるので、この写真の人が作者か、予想と違うなと思ったら、

これはフリーアナウンサー赤江珠緒という方だそうで*1、AIが我々を、
スリードさせて人類を滅ぼそうとしたのかと思ってこわくなりました。
日刊ゲンダイの本書著者インタビューでご尊顔は拝見出来ます。

日刊ゲンダイDIGITAL 2017年11月9日
著者インタビュー「酒が仇と思えども」中島要氏
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/217225

帯(図書館本で帯ないので、アマゾン画像を参考にしました)
呑んでも呑まれるな
とは言うけれど、
呑むにまかせる夜もある。
時に後悔の朝を迎えても、
それでも
やっぱり

酒が
好き…

凝った心をときほぐす、
呑まずに酔える
傑作時代小説!

オチャケにまつわる江戸庶民それぞれの悩みを、狐面そっくりなご面相の、
酒屋の若旦那が快刀乱麻で解決し、返す刀で最終話自らの悩みも緩解するという、
なんというかワンテーマ短編集というか…一話二話五話はミステリー仕立て、
三話はなんちゅうかとりとめのない人情噺、四話はホラー(いちばん好き)
最終話は、例の尾張藩のアル中元禄御畳奉行の日記にもたびたび登場する、
大酒飲み対決で、努力、友情、勝利で意中の人を射止めるという、
バクマンみたいな話です。(うそです)一話は隠れ酒女で、
女手一つで育ててくれた母(故人)から、父(離縁)の酒の繰り言と、
飲酒の罪悪感を植えつけられているという、巻頭一話目不足なしのお話で、
二話目はブラックアウトで、目が覚めると死体と同衾という、
ミステリー的にはあるあるでしょうけれど現実にあったら大変な話。
三話目は、酒で失敗の男に「最高の酒」とはどのようなシチュかを、
体験させようとするさぶみたいな親友の心意気と不慮の死の話。
四話目は、否認否認否認偽りの断酒宣言嘘も方便が、この世ならぬアレを呼ぶ…
五話目は、チェーン店がない時代のゲロ居酒屋人情模様。水は血よりも濃い。
で、最終話はさっきも書いた通りバクマンみたいな酒飲み対決ですが、
この本を貫通する思想として、燗酒のほうがいいし、ポピュラーなのに、
冷やばっか飲む状況に陥ってるTENGA点があります。思想ではないか。
昔読んだ『燗酒ルネサンス―なごみ・ぬくもり・いやしの酒』*2
(酒文ライブラリー) では、そのままではちょっと飲めなくなってるサケを、
だましだまし飲むための工夫がお燗であると書かれていて、
そうしなくてもきのまま飲める酒に囲まれた環境というのは、
いささかゼータクな気がして、元禄御畳奉行*3は親の死後すぐ死んだな、
結局酒がやめられず、黄疸でまくって、と思いました。以上