『饒舌抄』 (中公文庫) 読了

饒舌抄 (中公文庫)

饒舌抄 (中公文庫)

作者 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E4%BA%94%E5%8D%81%E5%85%AB
何かでこの本読もうと思ってメモして、それで読みました。
模造記憶ですが、作者が名料理人で、おもいでのひとしなについて、
るる語る本かと勝手に思ってました。で、開いたら、数寄屋造りはじめとする、
建築のエッセーで、作者は建築家で、がくぜんとしました。
おいしいもののはなしが読めるかとわくわくしてましたので…

獅子文六の『バナナ』に、「吉田流新建築」ということばが出てきて、
それで、建築家名とその著書もメモってたみたいです。

2017-02-20『バナナ』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170220/1487537951

カバー折り返しの著者写真は東京芸大所蔵のものだとか。
カバー画は著者筆の岩波別邸スケッチ(個人蔵)
カバーデザイン 中央公論新社デザイン室
あとがきは本人でなく、小杉英男という方。
やはり建築畑の、門人みたいな方かなと思いましたが、
同名が多いせいか、検索結果ははかばかしくなく。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110002513801/
著者略年譜付き。
解説は、惜櫟荘を購入手入れしている佐伯泰英

1980年新建築社刊行。著作権法第何条何項を受けて文庫化したと、
巻末にこまかく記してあります。権利ゴロ除けに、
こと細かく書かねばいけない時代なのでしょう。

頁57、日本建築で茶の間といえば、明治までは文字通りお茶を沸かす場で、
それが現代では家族団欒の場になった、と昭和戦前のエッセーにあります。
で、客間が日当りのいい南向きにあって、茶の間が薄暗い、風通しの悪い、
場所にあるのは理にかなっていないと憤慨してますが、外に面してると、
近所の人とか御用聞きとか配達とかバンバン来るから、落ち着かないかも、
しれないと思いました。だからぶあつい灰皿置いた客間を外にだしとくと。

頁126、「呶鳴る」

頁141、芸術新潮の対談で、蛍光灯について懸念を表明していて、
冷たいとか灰色になるとか、確かに私もよく聞いたなと思いました。
だから西洋というかアメリカではあたたかみのある白熱灯中心で、
蛍光灯ばっか一辺倒の日本に来るガイジンは部屋借りると蛍光灯外して、
白熱灯にしてしまうとか、聞いたのは前世紀末期のはなし。
今でも京都在住のあちらの人の部屋などに入ると、はーんと思うと、
思います。

頁167「建築と衣服の調和美」婦人文化新聞昭和三十三年八月十日
外国の年へ行った人達は誰でも感じることであると思うが、その街を歩いている人々、いわゆる街の点景人物が、いかにその周囲の建物とピッタリ調和しているか、またそのために、いかにその都市が美しく見えているか、こう感じるのは決して私だけではないと思う。それがもっとはっきりしている例は、海外の都市によくある、いわゆる支那町である。そこには、中国独特の支那式の建物が一群をなしているが、そこに働いている大部分の人達は、たいてい支那服を着ている。この支那風の建物と、この服装とが如何にも一致調和して、何んともいえない美しい雰囲気をかもし出している。夜など、どこともなく聞こえて来る明笛の哀調とともに、蘭灯のかげにゆらぐ支那服の美女の切々と、ひとに訴えるこの情景は、建物のみでも服装のみでも出てこない、移住一致の極において、初めてかもし出される風物詩である。

支那町という言い方はあまり聞かないので、それでフーンと思いました。
中華街はわりと新しい言い方ですが、南京町という俗語はおいても、
古くは唐人街といってたという認識です。横浜中華街、神戸南京町
長崎唐人街。作者がホンコンの、パジャマとかスウェットそのまんまで、
ぶらぶらしとおる人らーを見たら、何と云うですかね。植民地の濫觴かしら。

頁178で、日本で数寄屋造りがさかんになったのは戦後で、戦前までは、
書院造りが主流だったとあります。茶の間もそうですが、普遍は不変ではない。
むかし、大学で、卓袱台は日本本来の伝統でなく、箱膳が江戸時代だよん、
と教わったのを思い出します。大皿つつきあわず、懐石に今も残る小皿盛り。

頁190「シャム・コンストラクション」
この言葉が分からなかったので検索しましたが、直球ど真ん中が、
ありませんでした。「虚偽構造」の意味らしいですが…

『10+1』 No.41>ARTICLE>実験住宅と発明 個別技術が可能にしたもの

藤森照信中谷礼仁>シャムコン論争、あるいは表皮への関心

http://db.10plus1.jp/backnumber/article/articleid/639/
外の装い - 14 ページ - Googleブック検索結果
https://books.google.co.jp/books?id=l-smDwAAQBAJ&lpg=PA14&ots=93_jfb40Tn&dq=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%A0%20%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&hl=ja&pg=PA14#v=onepage&q=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%A0%20%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&f=false
裸の建築家――タウンアーキテクト論序説 Googleブック
https://books.google.co.jp/books?id=T-wmDwAAQBAJ&lpg=PA72&ots=8ec3pUzig6&dq=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%A0%20%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&hl=ja&pg=PA72#v=onepage&q=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%A0%20%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&f=false
素顔の大建築家たち 02 - 199 ページ - Googleブック検索結果
https://books.google.co.jp/books?id=7ewmDwAAQBAJ&lpg=PA199&ots=7rBJPgc3WX&dq=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%A0%20%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&hl=ja&pg=PA199#v=onepage&q=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%A0%20%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&f=false

"siam construction"で検索すると、同名の建設会社が出るので、
タイのシャムじゃないのかなー、じゃ、ジャムかな、ジャムるのジャム、
それの、昔の言葉だから、ひょっとしてドイツ語読みでもしてるのか、
ジーメンスシーメンス、と思いましたが、"jam"はシャムにならないよなー、
それだとコンストラクションが英語読みの説明つかないし、と思いました。

頁273は京と江戸の違いを述べる講演で、奈良から京都への遷都について、
渡来人との絡みで書いていて、桓武天皇を出して、同祖同根とか、
内鮮一体とは違う話ですが、光仁天皇のお后の話出していて、
それが昭和四十八年の講演で、へーと思いました。以上