小川町に行って、これ読もうと思って借りました。用水路についての本。
とりあえずここに置いて、あとで考えます。
【後報】
私も名前のみの会員で、会費を払うことで何か世の中のお役に立つ一環になれればくらいなのですが、でも食い物にされないところにお金を払いたいくらいの気持ちはあって、そんな自分とこちらの本気度はやはり雲泥の差です。疑ってかかるくせが自分にはあるんですね。えてしてこういう人のほうが騙されてしまうのですが… 著者の文章の特徴として、敵を登場させて敵を攻撃し、自分たちは正しいとする、ほかの政治団体や宗教団体も多用する手法が見える時があり、他国のNPOには支援金を食い物にするだけのところが本当に多いのでしょうが、ペシャワール会以外にも、現地で狙われなかったり追立を喰らわなかったところは、具体名は書いてませんが、あるかないかで言えばあったようなので、自分以外のすべてが駄目であるではなくて、この人たちはよかった助かったみたいな箇所があってもよかったななどと、あまっちょろいことを思ってしまいます。タリバンや軍閥については是々非々の書き方を貫いてますので、どうか私たちの属する西側にも、ほかにもましな組織があると、もしあるなら書いてほしいかなと。
それで話は変わりますが、はてなブログを書き始めてからもそこの方が私のブログのコメント欄に来ましたが、渋谷のアップリンクの近く、なんとか商法をいっぱいやってたところが、むかしむかしアフリカ支援をうたってやってきて、私は千円出してるのですが、その件でいまだに私はペテンに引っかかる、国際支援とかみんなインチキなのにあいつはそういうものばっかりやって真面目に地に足の着いた生き方をしない、と言われています。ほかにもうひとつ、中国絡みでも嫁さんに… ありましたが、そっちは傷を忖度してかそれほど言われない。そのかわりアフリカ支援の千円はいつでもしつこくせいだいに言われる。そういう私がこちらの本を読んで、指導者のグルイズムだけでここまで突破して行けるものだろうかなどと寝言を述べていても、意味がない。
まず医療があり、井戸掘りはその延長線上で捉えればよかったのですが、灌漑事業は別格だと私も思います。15億円と聞きましたが、動画だと20億円。水利事業は古代の王の事業、尭・舜・禹など、それがデキる人材が世襲でなく王位に就いたという程の重要事業、基幹工事ですから、海外のNPOがやるレイヤーの話なのかとか云々で逡巡が普通だと思います。そういうところで、やるかやらないかで、やったというその敢闘力に素直にこころを打たれます。
本書は、具体的な人名を挙げて「~は去っていった」みたいなドラマ的な書き方は極力避けていますが、相当数の人材が去ったり、アフガン側の人だと引き抜かれたりしたとあります。そうした花も嵐も踏み越えた勝利なんだなと。そして、これも別にわざわざ書いてはいませんが、去った人が復活することも、またありな組織なのではないかと思います。そんなことでやいやい言っても進まない。
こういう日本の河川の普通の修理メンテは分業化システム化され過ぎていて、現地の参考にならず、それを身につけた人材もまた、初手からゴッツンするだけであったとか。大半が去ったと書いてありますが、有資格者で乗り越えた人がいてもいいな、書いてないけどと思いました。昭和三十年代までの思い出話は大いに参考になったとか。そんで、福岡の団体ですから九州北部の河川の水利事業、特に江戸時代の「義民」といわれる人たちの21世紀に残る仕事を見て回り、筑後川の、朝倉市の山田堰にたどりついたとあります。灌漑で住民を助け乍ら、義民はたいてい非業の死を遂げてるとか、ほんときれいごとじゃない。
市のホムペにも、ペシャワール会がアフガンで参考にした旨が明記されています。
著者が用水路関係のワーカーに必読指定した本はまずこれ。私は未読ですが、こんなにいろんな出版社がキンドルにしてるとは。ゴマブックスに内村鑑三があるとは思いませんでした。
もう一冊あって、それが下記。私は未読で、いつも行く図書館に蔵書なしでしたという。リクエストします。
私程度ですと、本書で得た知識は、急流で下記のような堰を作っても、水の力でぶち壊されるだけなので、ななめに作らんならん、くらいです。
アフガンと日本は、河川の高低差、それによる急峻さ加減が、似てるんだそうです。山岳国ならではか。これがパキスタンのパンジャーブとかスィンドに行くと、インド亜大陸のゆったりとした流れになるんだろうなと。関係ありませんが、頁124を読んでから小川町に行けばよかったです。話を戻すと、山田堰以外に、実際のアフガンの激流で閾値とかをどう算出するかのくだりで、アフガンの、近くの別の場所で、手掘りで実際に機能している用水を測ってぜんぶコピれ!で、伝統のその用水の数値を参考にすることで切り抜け、解決した箇所もよかったです。頁153。さらにのちにその用水が渇水に見舞われた際には補修工事を助ける。
お寺の池が何故か干上がったの図。下の、蛇籠と、水を吸って根をはってよく育つ柳の話は、本書を読んでも思いましたし、後者は話を聞いても思いました。石積みに関しては、アフガン人のほうが日本人より、身についていて、それは伝統にねざしてるんだとか。現地の水が多く含む石灰によって、時間が経つと蛇籠の中の石同士がくっついちゃうという話も面白いと思いました。ペシャワール会が、ペシャワールというパキスタントライバルテリトリーの都市の名前を冠しているので、難民としてパキスタンでは苦渋を舐めた人間の多いアフガンで色眼鏡で視られたという頁218の記述もびっくりしました。そこに目を付ける人もいるんだと。これは灌漑工事達成時の記述で、VOAが式典を二時間放送したんだとか。
頁232
グルカリームは、殺戮を繰り返した者に特有な、暗い表情があったが、ある種の罪悪感を虚勢で補う態度が読み取れた。アフガンではよくある性格で、(中略)粗暴さと気の良さが同居し、「憎めない厄介者」(中略)「許せぬ敵」となれば躊躇なく殺すが、最後まで非情さを通せぬ気弱さがあり、アフガン人=イスラム教徒としての節を守ることを美学とし、良いと思うことは率直に行動に移す。(後略)
トルコ系の道路会社、インド系の道路会社と、道路会社が、米軍よりよく顔を出すので、どんなところなんだろうと思ったら、ほんとに川沿いに幹線道路があったです。
ここの四角く囲ってある所が、取水口の近くの目印と思います。グーグルマップの写真だと、これでも全然分からない。あちこちが、一面緑になってることは分かりますが。山西省で閻錫山麾下の部隊として働いた日本軍の蟻の兵隊さんの手記を読むと、麦の刈り入れの時期になると、農民が刈る前に軍隊が勝手に刈り取って糧食にしてしまう行為が出てきますが、アフガンでもそれはあるようで、まーてっとりばやくかっぱげるもんなと思いました。グーグルマップを見ていくと、用水近くに、一個バザールがあって、グーグルマップなので☆四個ついていて、コメントが数個あるのですが、下記のコメントがあってうなりました。アフガンはやはりそういうところだと。
(Google による翻訳) 写真を投稿しないでください。
(原文) دا عکس خو د خيوي د بازار نه دي.
頁280、インドの道路会社の担当と話す時ウルドゥーで話す場面があります。英語パシュトゥー語ダリ語ウルドゥー語。よくもまあという。
用水は完成してからも、浚渫や、春の暴れ水に壊されて補修とか、いろいろあって、継続的にお金と人月を必要とします。


タリバンは本当に、バーミヤンの石仏さえ破壊しなければ、著者のような人たちの声がもっと四方に届いて、アルカイダとはまったく違うんだと理解されてたと思います。うちの近所の首のない仏像や、顔を削られた仏像。誰がやったか分かりません。イコノクラスム、偶像破壊主義がなければねと。
頁339によると、作業員のべ三十八万人、事故による重傷者が四名いたそうですが、心筋梗塞で世を去った一名以外、事故死はひとりもいなかったとか。書いてませんが、戦争やテロで命を落とした作業員もいなかったんだろうなと。
頁343でアフガンのことわざを紹介しています。
「カネがなくとも生きていけるが、雪がなくては生きられない」
これが、地球温暖化による氷河の減少等で現実のものになってしまった時代を背景に、用水建設が始まるです。その後のこととして、お役所仕事の書類に形式的に対応してないので、形だけ法を満たすという芸当が出来ず、それでまた苦しくなる記述があります。頁349。すごいよなあ。
ダライ・ラマもそうですが、この組織も後継を育てていかねばいけないですし、もう着手はしてるのでしょう。相変わらずすごい書き手でした。以上
【後報】
(2019/4/3)