その辺から出てきた本。矢作俊彦だから私の本だろうと皆言うのですが、私にはまったく覚えはないです。ショーケンにも何の感興もないし。ピエール「もうパンツははかない」by勝新。
装画 宮澤大 装幀 岡孝治 初出は小説現代特別編集「不良読本」大幅に加筆改稿したとか。
帯 痛快無比の極上エンタメ 矢作俊彦だからこそなしえた完全復活「兄貴ィ」三十年たった今も、その声が耳を離れない――。講談社
帯横 伝説再び
帯裏 日本中を震撼させたテレビドラマ『傷だらけの天使』。 そのラストシーンから三十余年後、木暮修は新宿を離れ、公園で宿無し生活を送っていた。 しかし暴行により意識不明になった仲間が自分の身代わりだったことを知り、姿を見せない敵を突き止めるため、弟分の亨を死なせた街、新宿に足を踏み入れる。 ドラマファンの期待を大きく上回り、ドラマを知らずとも一気に世界に入り込める。 圧倒的エンターテイメント
まず初めに言うと、私はこのテレビドラマ再放送を全話ビデオ録画しましたが、それはアナログ放送で各おうちがアンテナ立てていた前世紀、新宿区近辺のアパート、特に風呂なしは受信状態が非常に悪かったので、彼の地に棲むその筋のマニアから座間在住の私が録画タスクを頼まれていただけで、ほとんど観てません。この表紙の、牛乳生トマトコンビーフの朝食場面はオープニングなので知っていますが、それだけです。広がらない。「アニッッキィー」というセリフは元ネタを知らないままモノマネなんかしてましたが、「亨」を「トオル」と読んでしまいます。「アキラ」と読めない。
この朝食場面は、笠原倫でしたか、何かの漫画の巻末エッセーで、自分に影響を与えた作品のひとつとして紹介していて「ちっともうまそうに食ってない」と書いてました。私も食べたことありますが、いま風に言うと「コスパ」がダメです。本作でホームレスになった主人公がご都合主義的奇跡的にこの組み合わせの食材をコンプリート拾えて、食べてぜんぶ腐っててダメというセルフパロディ場面があります。
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動画配信もあってよいだろうと。配信動画も、納得して購入するわけだから、ある意味クローズドな世界と思うのですが、どうでしょうか。配信先の家屋やヴィハイクル内やモバイル端末を見る屋外は、劇場とは異なるのでしょうかという。音楽配信も有料配信でクローズドと言えば言えないかとか。
このウィキペディアには、本小説も含まれて記述されています。やさしいなあ。帯等での煽りに関わらず、レビュー等では賛否両論、甲論乙駁です。プロット自体は、何かの続編にしなくてもそのままオリジナルでものがたれそうなストーリーですし、海外等で放浪してるので現代日本に適応するにはいろいろ欠落があるという主人公キャラ（なのでホームレス）はやはぎ作品の定番という気がして、そこにショーケン組み込んでもという当惑感はやはり出ます。ヴァーチャル世界である日超有名人になってしまった無名のアウトロー、という素材は、それだけで魅力的なので、テレビドラマキャラをそこにあてがきしなくてもという。
スマホ登場前夜、アイフォンがお財布ケータイにもスイカにも対応してないので使い勝手がダメだこりゃ、とか言われてた時代じゃいかと思うのですが、インターネットは、その当時から言われてたことですが、現在から見ても遜色なく、ようするに現時点までろくに進化してないです。ネットアイドル？とか、シムシティだかなんだか、と言ってはいけないのだろうか的な世界とか。セキュリティは差分があって、登場人物たちは野良LANでインターネットを閲覧したり検索したりします。監視カメラの性能も劣ってるのかな。
石原都政が皮肉られていますが、その後、猪瀬舛添小池と続く系譜は、誰も予想出来なかったと。大阪は、本書脱稿から現在まで現在の路線でブレてないんだなと確認しました。
外国人観光客、この時点より数年後のほうがすごいと思うのですが、本書の描写だけ読んでると、当時もすごいように思えてきます。そうだったかな。狙った恋の落し方くらいの時代なのですが。
ファミレスで酒飲んで、出したほうにも責任ある、飲酒運転させられないよなといって駐車場に車停めっぱなしを店側に了承させるくだりは、現実にもあったんだろうなと。大久保から新宿までの明治通りの店でこれやられたらホント迷惑だったろうと。店長一生の不覚。頁89。スコッチでなく「スカッチ」と書くやはぎ流。コンピュータを電子計算機と呼ぶのはご愛嬌で、頁166、ブルートゥースを「骨伝導マイク」頁236アルファロメオを「アルファロミオ」ネットで下着売って稼いで買った車とのことで、今はそこは時代が違うと思うんですが、同じなんだろうか。頁310、どんみりという形容詞が出て、誤植かと思いましたが、実際にありました。
頁338、酒場でジンジャーエールを飲む。頁383、自己レンビンのレンビンが書けない。ここは口許がゆるんだり緩まなかったり。ハマネタは、博雅のシューマイが頁118に出ますが、私はこの店知りませんでした。白楽の店でいいのかな。頁358、石から始まる都知事が「10.21」という単語を言うのですが、知らなかったので検索しました。
10.21国際反戦デー闘争 (1969年) - Wikipedia
それの再来だかなんだかの仕掛け人は、ブレードナンラーのルトガーハウアーと同じセリフを吐いて死ぬ真似しますが、相手は理解しませんでした。ひとり相撲。翔んで埼玉で、ガクトが鳩を飛ばす場面も、コバトンとブレラン両方かけてるのかなあと観てて思ったです。で、作者の本音かなあと思ったのが下記。うらやましい。
頁120
「いいわよ。出世払いで」
「バカ言え。これ以上出世できるかよ。いくつになったと思ってるんだ」
「あら、分からないわよ、ジョージ・ギッシングみたいなのもいるんだから。泥棒してホームレス同然で、そのくせ死に際になって書いたものは今も岩波文庫に入ってるじゃない」
『気分はもう戦争』原作担当は後世に残ると思います。一作だけのコンビというのがこの人たちらしい。キクニがヤンサンで連載してた漫画は『傷だらけの天使たち』で、複数形だったことも検索で分かりました。私はテレビドラマ観てないですが、ペントハウスのあった代々木のビルは何度か行ったことがあり、知ってる人は知ってるでしょうが、中国書の専門書店があったからです。小沢一郎の日本改造論の簡体字訳が本の山の中にあったりした。
以上
【後報】
（2019/3/29）
