イメージフォーラムの映画「主戦場」のレビューを見てるうちに、なんとなく見たくなった映画。それより前から見ようとは思っていましたが、より一層感情が高まった。しかしいまだに「ブックストア」なのか「ブックショップ」なのか「ブックセラー」なのか区別ついてません。たぶんどうでもいい。検索で出ないだけ。
厚木でやってくれて助かりました。映画館に置いてあった「勝手に応援kiki鑑賞隊」編集・発行のフリーペーパーによると、原作もつい最近邦訳が刊行されたそうで、それについても少々書かれています。私的意見ですが、伊勢佐木町の本店には、かなりな方が以前いらっしゃって、一度あれこれ探しものを助けて頂いたことがあります。現在はどうなのか。で、この邦訳は、色眼鏡で言うのはよくないのですが、出版元のハーレクインロマンスの出版社が、かなりみなさんノーマーク爆牌黨だと思います。
私自身に関して言えば、はーぱーこりんずの本はたぶん読んだことがないです。知ってることといえば、フェイ・ケラーマンの、成人以後に自己のユダヤ人としてのアイデンティティを再確立しようとする中年男と正統派ユダヤ人寡婦のラブストーリーシリーズが、途中まで創元推理文庫で訳されて中断されたままなのを、ハーパーコリンズが、あいだの巻をかなりとばしていきなり途中から邦訳刊行始めたので、ファンからぷんすかレビューされてることくらいかな。
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映画の話をすると、イギリスの書店の話なので、まずせどり男爵数奇譚チャリング・クロスなんとかかんとかを思い出しました。
チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)
- 作者: ヘレーン・ハンフ,江藤淳
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1984/10/10
- メディア: 文庫
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チャリングクロスは古書の話で、戦後戦勝国のはずのイギリスもものがなくて耐久生活大変だったんだなあと思う反面、アメリカはパクスアメリカーナでものがいっぱいあっていいなあ、「乾燥卵」ってなんだろう、という話です。で、この映画は、その時代を漸く脱した頃のイギリスで、じゃー本屋でも開くべえ、海辺の街よ、というウィドウが主人公です。私は最後の大型書店の壁に写る写真が誰なのか分かりませんでした。ブラッドベリでしょうか。検索して出る画像は異なる気がします。最初棚に並べた本の背表紙で読み取れたのが"MILTON"くらいで、失楽園なんて誰が買うんだろう渡辺淳一版なら買うかもしれないがと思いました。ブラッドベリ、マーシァンナントカというタイトルが最初ぴんと来なくて、『火星のサーカス』否、『火星の笛吹き』だッ、と意気込んで、そのうち、後ろがちゃんとクロニクルと読めて、違ったッ、『火星年代記』だったッ、とひとりで赤っ恥かいてました。暗い映画館で。ファーレンハイト銀叡電はいいのですが、たんぽぽのお酒は、晶文社の文学のおくりものの中では、イマイチな気がします。
アーダルベルト・フォン・ファーレンハイトとは (アーダルベルトフォンファーレンハイトとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
日本版スペシャルエディションとして、何処かに萩尾望都作画の『ウは宇宙船のウ』英訳版が転がってるとか、そのなかの、霧の中の恐竜のコマがちらっと見えるとかあると、みんな悶死すると思います。
大阪は淀川の北、十三と新大阪に囲まれた西中島南方に、今世紀初頭、旅の新刊本専門書店を脱サラして開いた方がいて、私はそれをそれ系のフリーペーパーで知ったのですが、店主が何かに書いているのを読むと、とても経営は苦しそうで、一日に缶のウーロン茶一本も儲けが出ず、退職金を切り崩して生活しているとありました。古書でなく取次経由の新刊書で、ロングテールのネット販売も個人では当然敷居が高く、最初から到達点が見えているようでもあったのですが、とりあえず風景として、絵として、旅行書ばかりが並ぶこじんまりとした書店がそこにあった、という意味はあったと思うのですが、今検索して、店名を忘れているので、そんな検索ではそうなるのか、影もかたちも出ませんでした。
夜釣りが趣味とかで、私はある日、仕事の休みを利用して、夕方その街を訪れたのですが、店は開いてなくて、その辺で立ち話してた大阪のおばはんに訊くと、「あれまあ、せっかくお客さんが珍しくきはったのに、あの人もほんままの悪いお人や」とのことでした。その後なにがしかの経緯をへて、私は入店出来て、川野和子『 中国 魅惑の雲南―1万2千キロの風景 』新評論刊を買ったような買わないような記憶があります。とにかく新刊書は利が出ないので、まとめてドカッと売れる参考書とか(医学書だったら看護師の試験対策テキストとか)ないと厳しいと思います。
中国魅惑の雲南 : 一万二千キロの風景 (新評論): 1997|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
この映画はそういう書店の苦労とはまったく別に、傲慢な力のある人間の悪意によって、美徳の不幸的に滅ぼされる人間を描いていて、ナボコフのロリータをイギリスの田舎町で売る反響の箇所がそこと分離しないよう映画として気を使ったと思います。チャタレイ夫人を売るんでなく、ハンバートハンバートを売る。厚木には半原という地名があって、重ねると半原半原で、ハンバートハンバートと音が似てきます。半原半原。ハンバートハンバート。奄美大島には「ちゃんがらはんがら」という言葉があって、与太郎とかデレスケみたいな意味なのかなあ。
ホウシャオシエンの映画のように、木々がざわめく映像が多いです。オマージュなのか。イギリスなので降ってるようで降ってないような、雨が蕭々と降つてゐる、馬はいませんが、みたいなお天気の海岸を、ヒロインのやもめは肩までしか隠れないような意味のないレインショールというか簡易雨具というかをはおって、スカーフして散歩します。そういう人が、名前もヴァイオレンスット・ガマートというパツキンで深紅の口紅のオバハンにやられてしまうという、タフでなければ人間生きられないデスよ、やさしくなければ生きる資格がないはまた別の話デスよ、という映画です。最後ツインテによる貧者の一刀が炸裂しますが、火災保険に入ってなかったんでしょうね、それが効果的に炸裂するためには。私は二度目に中国国境を離れるとき、人民元をちぎるパフォーマンスをしようとしたのですが、周囲の白人連中が、それは甘い、燃やせと言って、それでライターで火をつけて燃やしました。バーニング人民元。そうすることで炎による浄化があるのか。
ガマーチョさんの横やりはまったく合理性を欠いていて、あんな狭い場所、"Local Art Center"なんか作れるはずもなくて、シャッター通りのコミュニティサロンが関の山なのですが、そういう整合性なんか、「気に食わない」という感情問題の前では、まったく意味をなさないわけです。とにかくキライなんだから。ナスティワークという単語、知ってるようで知らなかったので、検索しました。
フィレンツェフローレンスがある人物に勧めた『ジャマイカの烈風』を、私はアーサー・ランサムの作品だと思い込んでいて、しかもさっきロバート・ラドラムの作者名で検索して、出てこないのであれれと思ってました。すべてが違っていた。ほかの方のブログで拝見した気もするのですが、それも違うかもしれない。
https://www.shobunsha.co.jp/?p=1038
A High Wind In Jamaica (Vintage Classics) (English Edition)
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以上です。