『ぼんやり酒』"bonyarizake PRESENTED by Keisuke Yamashina" 読了

 装画 山科けいすけ 装丁 サトモアイ(題字 池邨静香)

ぼんやり酒

ぼんやり酒

 

 初出は、「大沢在昌湊かなえ住野よるを輩出した双葉社がお届けする」(公式の煽り文句。ママ)文芸WEBマガジン「カラフル」2013年7月10日~2017年11月25日配信「おとな酒」

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上記告知の黄色枠と矢印は、私が強調のためつけました。

紀伊國屋書店新宿本店別館2Fコミック売場で河出の諸星大二郎中国紀行と入江喜和の新刊と、あと何かをまとめ買いした際に、目についた本。家に帰ってから図書館にリクエストしたら、蔵書ない新刊なので購入されてしまって、赤面しています。新刊だと、他館本が回ってこず、購入選定入りするケースもあるんですよね。そりゃ住民税はガラス張りのサラリーマン(棒)なので源泉徴収で納税してますが… エッセーなんていちばんリサイクル本に回りやすい、所蔵選定から外されやすい本なので、そういう本を買わずに地元図書館に所蔵させてしまったことに、恥ずかしい思いをしているのです。「恥ずかしくなんかない、だってあなたは読みたかったんでしょう、それで行政サービスを使うのは、当たり前のことなの」「いやまあそれなら、ジョン・レノンの愛人の中国人メイ・パンが書いた『ロスト・ウィークエンド』や、『ガマの聖談』のほうが…むにゃむにゃ」

山科けいすけ - Wikipedia

1984年、『週刊ヤングジャンプ』にて、「かっとびハート」 が連載開始。外枠はいしいひさいち『バイトくん』の流れを汲む三流大学生もののギャグ4コマだが、むしろ同じいしい作品でも『地底人の逆襲』的なシュールさが加わっており、さらにこれらを破壊的な方向へパワーアップして独自の方向性を打ち出した。この、現実生活に辛うじて片足を残しつつ奔放なギャグを繰り広げる作風は現在まで共通している。

あまりに的確な評がウィキペディアに載っていたので丸写ししました。

また、本書を読んで、何故この人は就職せず漫画家を志し続けることが出来たのだろうか、と不思議でしたが、ウィキペディアを見て、編集がついてたのか、と安易に納得しました。あと奥さんが誰かも知りませんでした。

この本の前半は、だいたい漫画と同じです。変な店の話ばっか。あるいは、店内はふつうでも、立地が森閑とした真っ暗な住宅街に、最近の、プラモデルみたく接着剤で凸凹を合わせて組み立てる住宅があってそれが店で、客がけっこう入ってたりして、なんで? と思ったりとか、そんな本です。陰謀馬券の本を書いたなんとかTDKという人の場末酒場と似たテイストです。吉田類のオムニバス映画の一編の、店主不在で常連客が勝手にいちげんさんに店の酒をついであげたりアテを料理したりする話のような話もあります。

stantsiya-iriya.hatenablog.com

漫画家なので、カウンターがコの字かL字か二の字かなど、細かくきっちり書いてくれてます。こんな何十年もひとり飲みしてるってことは、独身なのかと最初思いました。で、家族は登場しないので、最後まで独身ではないかと疑ってました。九州男児の友人と泊まった宿で、練炭中毒で危うく二人とも昇天しそうになる話があり、九州男児は妻子ありと説明されているのに、著者は自身については黙して語らず。今はまだ、人生を語らず。

後半は、中学から始まるバレー部のシゴキの話。そこで教師から、中学生の内から酒を飲む訓練をさせられ、著者はスピード、量ともに群を抜いていたため、後で騒動が起こったりします。要するに失禁とかブラックアウトとか。教師は喧嘩慣れしていたのか、酔って殴りかかる主人公(記憶なし)をヘッドロックして動きを停めます。バレー部に勧誘されたくらいなので、作者は背が高そうです。

そんな感じでしょうか。以上