『三枝教授のすばらしき菌類学教室』"The amazing mycology classes by Prof. Saegusa" by Kouhi Yura(BRIDGE COMICS)読了

その辺にあったまんが。帯に東京農業大学地域環境科学部江口文陽教授推薦の煽り文句「きのこを愛する皆さんの必読作品の登場に感激しています」巻末おまけ漫画にもこの人が登場。参考文献一覧のあと、スペシャルサンクスは東農大に捧げられてます。 

三枝教授のすばらしき菌類学教室 1 (BRIDGE COMICS)

三枝教授のすばらしき菌類学教室 1 (BRIDGE COMICS)

  • 作者:香日ゆら
  • 発売日: 2019/06/08
  • メディア: コミック
 

 初出は「COMIC BRIDGE online」という電子媒体。2018年10月23日~2019年5月31日配信分収録。カバーに、装幀・松本圭司と書いてあるのですが、奥付には装丁・デザイン三河史尭(BALCOLONY)と書いてあり、カバーと中身で装幀者が違うなんて珍しいと思いました。

 作者のウィキペディアなし。ご自分でいろいろ情報発信してるし、削除したかもしれません。過去の作品のウィキペディアはあった。

博士の白衣女子攻略論 - Wikipedia

この分析化学のまんがと夏目漱石のまんがを描いたのかな。女性がうまいというか、キャラによって描き方がぜんぜん違うので、よくこんな描き分け出来るなと思いました。今の漫画家はとても器用。最初の女の子が捨てキャラなのがとてももったいないが、それくらいの物量を投入しないと今のまんがはダメなのかもしれません。大量生産時代大量複製時代のまんが。

上に出てくる教授の学部、大学が舞台で、そこは厚木でないんだそうです。頁82に、厚木では大根踊りの応援練習しないとあり、じゃー私が知らなくてもおかしくないなと思いました。私は東農大と何の関係もないですが。

青山ほとり - Wikipedia

かつて東農大をおちた人に、心の中で「うかれよ」と思ったこともありますが、私は理系なんか全然だめだし、文系でもぜんぜんだめなので、そんなことを言える資格ないのに、心の中とはいえ、よく言ったものです。醸造学科かなんか目指してたのかな。当時もうもやしもんはあったかも。

現在は少子化で推薦全盛時代みたいなので、入学してから学力を調べる「リメディアル・テスト」というのがあるそうで、しかし検索すると、東農大ばっか出るので、東農大の特色あるカリキュラムかもしれません。

リメディアル - Wikipedia

頁51、菌類学を学ぶ学部というのは決まっておらず、各大学で生物だったり農学だったり林業だったりとばらばらだそうです。で、東農大は厚木でなく世田谷の林業だとか。

主人公は何故髪が赤いんだろう。赤い髪の主人公のまんがというとひとつとても有名なのを思いつきますが、現実に髪が赤い人というと、ロンドンブーツの田村淳なので、くえない人間というイメージがあります。主人公の名前は天谷(あまたに)で、それとベニテングダケのアマニタ・パンセリナをかけているというねたが第一話です。アマニタ・パンセリナは中島らものそういう雑学の本のタイトルだったと思います。バロウズ読んでるし、俺詳しいだろうみたいな時代だったと思いますが、本書の第一話で、ベニテングダケの神話性をまず粉砕して、ふつうにおいしいと書いてますので、よかった。勝った。そうですよね、私も網であぶってしょうゆたらして食べたことありますもん。しかし本書のベニテングケ(ケではなくケが正式名称とか)はアマニタ・パンセリナではなくアマニタ・ムスカリアです。頁35。ちがいを検索しようかとも思いましたが、しません。

名前は、主人公の天谷洸輔と四井実威(親が三島好き)は凝ってると思うんですが、三枝誠一郎とか奈良麻衣子は隠された意味が分かりません。榎木サンは下の名前出てたかな。鶴田サンも。猪口サンと高橋サンは下の名前出てないと思います。小学二年生の女の子はみょうじ分からない。

頁110の、農薬じゃないのに農薬やワックスだと思われてしまう野菜や果実のテカリについての蘊蓄が面白かったです。胡瓜はテカリのないものが品種改良で売り物の主流にまでなってるとか、おもしろかった。胡瓜にワックスいちいち塗るわけないのに。でもアメリカ産の、白雪姫に出て来そうな真っ赤なリンゴは、今でも疑ってます。日本のリンゴと違いすぎる。

頁142、しいたけの石突は、文科省の食品成分表では、含めないで計測して記載されているとか。食べないだろうの前提だそうで、私も食べません。エノキのステーキもよく分からない。

そういうまんがです。東農大楽しそう。そして、この手のまんがの先駆として、動物のお医者さんはやはり偉大だった。キャラの立て方、ミステリー形式の謎解きなど、いちジャンルとして完成させた上で独自色も強かった。と改めて思いました。以上