『酒と酒場の博物誌』"Natural History of Liquor and Tavern" 読了

 その辺にあったのを、自分で借りなおした本。泰西文学と漢文両方に通じた最後のとっちゃん坊や、でふ先生最新作。社会学者が書いた博物誌でなく、ルナール的な?随筆です。でふ・レパード。でふでふが一羽韃靼海峡を渡つてゐつた。ダッダーン!ダッダーン! 装幀 南伸坊ですが、これ、両方とも辮髪の元絵を、ハゲとざんぎりに直した気もします。銀座百点に2018年1月から2020年6月まで連載した30話と、集英社新書のウェブサイトに2017年5月から2018年8月まで15回掲載したコラムから6回のみセレクトして、一冊にまとめた本。後者のほうが前者より、一話の文章が長いです。

 南條竹則 - Wikipedia

Ⅰ酒の博物誌 

第二話|サイダー 

ディック・ターピン - Wikipedia

桂冠詩人と聞いて、警官詩人と思うか、鷄姦詩人と思うか。

・サイダーの語源はヘブライ語のシェイカールで、聖書では「濃酒」と訳して「こきざけ」とルビが振られているとか。こきこき。

第三話|海南島の米酒 黒い米酒なんだとか。

第四話

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第七話|椰子酒 

南インド映画研究家って前川健一のエッセーにも出て来る気が。思わぬつながり。

・原宿と表参道の交差点に「カフェ・セントラル」というフィリピン料理店があって、アドボやガーリックライスを出していたとか。

第九話|楊貴妃と酒

・ここに出て来る〈黄桂稠酒〉だけ、「酒」のルビが「ジウ」という私ごのみの音です。ほかは「チュウ」ばっか。ラオチュウ、パイチュウ。

第十三話|うるか

ツグミでなく、ヒヨドリなどのうるかであった可能性もあるのでは。

第十四話|臭味相投

浙江料理だそうです。霉千张,霉菜梗,どちらも食べたことありません。ヒユが中国で莧菜と呼ばれ、珍味になってるとも知りませんでした。でも、検索すると、山形で食べられているヒユとはちがう、「ヒユナ」が出ます。

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第十七話|ペリー 

・イギリス料理の、ミントソース味のひつじ焼き肉がおいしそう。

第十九話|白乾児

永昌源パイカルの製造をやめたとは知りませんでした。

第二十二話|カルヴァドス

・町のきどらない料理店は、フランスならビストロだそうで、さがみ野ラオス料理店がビストロを名乗るのは、仏領だったからだろうかと。

第二十四話|哈尼族の自烤酒

・シーサンパンナは別に知られざる秘境でもないと思います。田舎はそうなのかもしれません。

第二十五話|本直し

・別名を柳蔭と云うそうで。

第二十六話|ラク

・そろそろトルコも回教の観点から飲酒禁止の訴えが増えてると思います。オダサガのウイグル料理店で、トルコ人が、この店は酒を出すのかと店主に詰問していた。

第二十七話|どぶろく

阿賀に生きる」の監督とでふ先生が旧友とは知りませんでした。私はどうしてこの映画を観たのだろう。「妻はフィリピーナ」と抱き合わせ上映だったのかな。

第二十九話|五加皮

・でふ先生は「ウカピ」と読み、由来不明としてますが、私は「オカピ」と聞いていて、それならハングル由来でおkです。오가피。

Ⅱ 酒場から酒場へ

第一話|兵六

・曲阜の孔子廟に金声玉振房と書いてあるとは知りませんでした。

第五話|白鳥の歌

・若いうちから分不相応な韜晦(温泉宿で原稿を書き、気晴らしにタクシーで飲みに出る)をしても、バロン・サツマのように行きつくとこまで行かなかったのだから、ご自分の才能を褒めてもいいのでは。

第六話|「大力」の幽霊

・死後も、開店前のひるま、定席にちらっと眼をやると、座ってたりする常連客の話。

以上