『リバーエンド・カフェ 9 』(アクションコミックス)"River End Cafe" 9 ( ACTION COMICS) 読了

[装丁]橋田 洸  2021年3月16日号~8月3日号、9月7日号、9月21日号、11月2日号連載。完結してまいました。びっくり。ナントカロス。協力の三方は変わらず。バーと喫茶店と渦巻き🌀の人。せめて喫茶店くらいは一度行こうと思ってましたが、知らんあいだに、学芸大から駒沢大に移転してた。それくらいの月日がすぎたということで。

なんでこんなグロな表紙なのかと直感的に思ったのですが、作者の現時点の到達点がここなのだろうと。編集アンコントローラブル完結まんがのあるあるで、対土佐丸選抜決勝ドカベソ㉛なみの大増ボリューム単行本。入るな入るな、時間よ止まれ。

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リバーエンド・カフェ たなか亜希夫 「迷走王ボーダー」「軍鶏」「リバースエッジ 大川端探偵社」 ACTION COMICS 著者の故郷を描く、渾身のブルース。東日本大震災後の石巻と少女の物語、完結巻。

出発点が、「絆という字はくびきと似ている」という中二病の必然だったので、終着駅がこれだけベタであっても、多少の影はそりゃあるだろうという。実はどっかのサ店で、置いてあった『ア・ホーマンス』を読んだのですが、ペヨーテしかないような話で、なんでこれで松田優作狩撫麻礼がホレ込んだんだろうと思ったことは秘密です(思考だだもれ)

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すべては、つながっている____“川の終わりの珈琲店”に。たなか亜希夫作品(原作/ひじかた憂峰)「リバースエッジ 大川端探偵社」「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)にて連載再開進行中!

オーカワバタは原作者逝去で終わったと思ってましたが(読んでませんでしたが)再開したということで、それでこっちを終わらせたのかと推測します。縄文人とかいろいろ迷走してたので、それもまたよかったのかも。初期、両親の死後面倒を見てくれた保護者の近親が、遺産使い込んで借金残して蒸発したくだりで、借金取りは来るわけだし、身寄りのないこの子どうなるんだろうと思ったのですが、その後の展開も、今思うとスルーだったなと。ベッシー・スミスという歌手の歌はつべで見ましたが、実は正直そんなに感情移入出来なくて、それをここまで熱く語らせろよと語って歌って大団円。ベタにつぐベタ。どこまでもベタ。「メンゴモリー」と、ラフロイグサントリーホワイトに化けてしまうところくらいでしょうか、気になったのは。しかしそれも、鉄槌がくだって、おわる。

頁161がベタの頂点と思いました。むかしはこれがフィクションのふつうで、『君たちはどう生きるか』みたく、傍観者で逃げてメンゴ、許してくださいキリングフィールド、みたいのはレアだったはずなのですが、どうもいつのまにか逆転した気がします。戦友が散華して自分はおめおめ生き残っての戦争戦後から、ベトナムに連帯がどうこうから、いつのまにか自分の世界、日本人の住居はウサギ小屋みたいなところに注目点が動いてゆき、バブルを迎えた天安門前夜まで、フィクションが現実に追随して、あなたの痛みを自分の痛みとして感じとれなくてごめんね、だけが主題になり続けたような気がして仕方ないです。なんかひさびさに、ちゃんとしたベタを見た。あなたの痛みは分からないけどとりあえずこのままでは自分も気分悪いんだよというベタが読めてよかった。

私はほんまりうの『息をつめて走り抜けよう』(未読)はアクション連載だったと思ってるのですが、模造記憶かなあ。今は電子版ですぐ読めるようで、馴染んでる人には良い時代かと。『鈴木先生』みたいな怪作が連載されてたこともあったし、アクションも時々は、こういうことが起きればと思います。

オチはこれしかないというベタベタベタベタなオチで、最初から読み返すと矛盾点が百も二百も出そうですが(動画をあげた映研の男子高校生たちも… なのか、とか)終わったことだし。石巻は一度も行ったことありません。震災の時にサンドイッチマンが現地にいて、情報を発信してたことくらい。

以上