編集/竹田央(株式会社ぷう)装幀/佐藤正久(株式会社スペース・ユー) 絵 バンジャマン レイス 企画 銀城康子 表紙写真 AFLO 取材協力はグエンさんという人。
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イラストを描いたのはフランス人だそうで、スルヤ・ボナリーのようなフランス人なのか、ジネディーヌ・ジダンのようなフランス人なのかと思いましたが、英語読みすするとベンジャミンの、"Benjamin REISS"という名前で、白人のフランス人でした。なんでそんなことを思ったかというと、とにかくねこぜのイラストが多いので、なんでや、漫画家だから猫背になって、その自分でイラスト描いてるからでしょうか。あるいはアジア人の写真を見るとねこぜが多いから、そう描いたのでしょうか。あるいは来日以降日本人の猫背が伝染ったからそう描くのでしょうか。等々、ふしぎだったからです。オークワフィナもかくやのねこぜっぷり。頁20のフルーツを食べる子どもなど。
アメリカに同名の研究者がいるので、著書検索するとごっちゃでグダグダですが、下記はたぶんこの人のマンガだと思います。
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私はベトナムのコメは日本と同じジャポニカ米だと思っていて、じっさい日本のベトナム料理屋でも、たいがいこだわりなく日本米出して来るのですが(そこがインディカ米のタイ米にこだわるタイとちがう)本書頁5によると、ベトナムもインディカ米だそうです。なんとまあ。しかし、細長いのはそうなんでしょうが、粘りが少ないというは、日本の電気炊飯器がアジアを席捲する前は、中国でも平気でゆでこぼしたり水を継ぎ足したりして、ねばりけのないコメの炊き方をしていたので(そのほうが油っこいオカズとあう)それもあったりしないかと、未練がましく考えています。
ベトナムもインディカ米とすると、香港でも〈香米〉という名前でインディカ米を好むのと、ひとつつながりが出来るのですが、私が勝手に考えてる文化の分水嶺、尻を紙で拭くか水で洗うかの境界線と、インディカ米とジャポニカ米の境界線が重なる説が崩れるので、残念閔子騫です。
(3)
本書はハノイのアラフォー夫婦と二人の子どもの家族を設定していて、お年寄り含めた家族構成になっていません。そこに戦争の影を見るのは、考えすぎです。たぶん。
(4)
このシリーズは、そうやって設定した家族の一週間の献立を列記するのですが、昨夜の残りのヒヤゴハンをチャーハンにしての朝食が、三回もあり、これまた中華っぽいと思いました。中華料理でも、本来チャーハンはヒヤゴハンの再利用なので、高級中華に入れず、それほどありがたがられる料理ではなかったと聞きます。
(5)
頁22に、わざわざ中華とベトナムの違いを表形式で書くくらい、両者は共通点が多いです。鍋も同じ、まな板も同じ、箸を使うのも同じ、箸をヨコに置かずタテに置くのも同じ。頁8で、叩き鉢と書いてある調味料を混ぜ合わせるすりばちでゴリゴリやるのが、中華っぽくなくて、タイと共通してるっぽいポイントに見えます。フィリピンにはそういう鉢はなさそう。
(6)
右上は茹でた瓜。献立を見ると、意外と炒めもの以外に、茹で野菜を食べてます。こんな野菜のつるまで食べるの、と驚きました。カボチャのつるも、ハヤトウリのつるも、食用にするという発想が私にはありません。
(7)
このシリーズは食事のマナーに見開き一枚使うのが特徴で、麺をすする時音を出してはいけないとあるのが、へーでした。ほんとうでしょうか。
(8)
ホビロンや犬肉などは、最後の文章だけの補足ページに出てきます。ブタののうみそ食べる所も、漢族と違うかな。
頁10のイラスト。「êch」と書いてありますが、グーグル翻訳の「カエル」は、これに声調記号がついた「ếch」でした。
(9)
頁17に載ってるバインベーオと同じなのか違うのか、あるいは頁3の蒸し春巻なのか、バンクオンという料理を食べたことがあります。
ウィキペディアに載ってるバインベーオは、バオズのような点心です。
(10)
頁23に出てくるフランスの影響のトマトを使った煮込み料理は、下記の麺料理を食べたことがあります。
Hủ Tiếu Bò Kho – Wikipedia, wolna encyklopedia
(11)
おこわもよく食べるとのことで、本書には出ませんが、緑色のオヤツ的なおこわに驚かされたことがあります。
(12)
頁18で、フォーなどには大量に生の香味野菜を入れるという箇所は、日本ではなかなか実践が難しいですが、いちぶトライしてる店もあり、例えば下記です。
下はカンボジアスーパーで見た、その中のバジル。
(13)
下記、ねこぜでないマーケットの絵を見てたら、これは売ってる絵なのに、食べてる絵だと誤解する人がいて、しかもその人がハノイに旅行したことがある人なので譲らず、まーめんどくさいと思いました。中途半端な体験談ほどあてにならないものはない(のは私も然り)この人がハノイに行ったのが国境なき医師団絡みというから、またまためんどくさい。
上下同じ服がパジャマっぽくて、パジャマで平然と外を出歩く香港感覚をベトナム人も持っている、ということになると、これもまた漢越共通ポイントとなってしまう。
(14)
絵本の感想は手が抜けるかと思ったら、ぜんぜんそうはなりませんでした。とほほ。以上