『薔薇はシュラバで生まれる 【70年代少女漫画アシスタント奮闘記】』"Roses Are Born in Shambles. (70's Girls' Comic Assistant Struggle.) " by Sasou Nami 読了

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[編集]小林千奈都/町田美津子 [装幀]坂根舞(井上則人デザイン事務所)協力 図書の家・小西優里

少女漫画ラボラトリー【図書の家】

なんかでアマゾンに関連書籍で出てきて、レビューを見て、読もうかなと思い、なんしかブッコフで三百円くらいで買いました。たしかそれくらいだったと思う。帯無。

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第一話だけマットグロッソで読めるみたいです。

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 文春新書のスマッシュヒット、『少女マンガ家「家」のリレキ書』でバラの絵を描いているのもこの本の作者であると、上のスーモの記事で読みました。

現在60代の同人作家が、同人誌即売会イースト・プレスの編集に声をかけられ、本書刊行の運びになったそうで、本書に出て来る70年代の少女誌編集者がなべて男性なので、イースト・プレスの編集さんも男性とばかり思っていたのですが、奥付の名前はたぶん女性でした。企画から刊行まで、遅筆なので二年九ヶ月かかったそうで、それは分かりますが、最後の一日だけ手伝いに来た浅川まゆみという方が、一日だけなら手伝わなくてももう一日本人ががんばればええやん人月的にとかそういうこと言わなかったか気になります。

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夢野一子さんも数日手伝いに来たそうで、その一方で、現在まだ商業誌で仕事してる人は、完全デジタル化で在宅デジアシだったりするそうです。この漫画に、入浴すると浴槽にトーンの切れ端が浮くというお約束ネタはありませんが、デジタルだとスクリーントーン代かからないという私の認識は合ってますでしょうか。実は従量課金ですとか、そういう事実を私が知らないだけだったら嫌です。下記は裏表紙。

シュラバ。 ―――それは、締め切り前の漫画家とアシたちが、夜も昼もなく、作画作業に追われる漫画制作の現場。と同時に、薔薇のような名作が生まれる現場なのです。美内すずえくらもちふさこ樹村みのり三原順山岸涼子etc…。数々の名作を生みだしてきたレジェンドたち―――の元で、かつてアシスタントをしていた著者の、とんでもなく貴重な体験を綴るエッセイ漫画。

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レビューを読んで妄想していた時のほうが楽しくて、実際のエピソードは、かつての恥を泣いて許してみたいなのと、ねむけざましの怪談ネタ、綺羅星のような実名の数々、くらいなのかなあ。頁63、平行線は三角定規を使え、は知りませんでした。エピソードの多くは本人と記憶照合して修正されたものを掲載してるそうですが、三原順は故人なので、そういう作業が出来なくて、これもごめんなさいとあとがきにありました。

冒頭に、三日月会という月イチ開催のマンガ勉強会の描写があり、興味深かったというか、高校生くらいに、地元の部活だなんだの生活以外に、趣味のつきあいというのがある場合、月イチくらいのペースが適度だよなあと思いました。横浜の大桟橋*1でやっていたそうで、当時だと、関内桜木町から歩いて行ってたのかなあと想像しました。

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美内すずえは、萩尾望都のエッセーにもよく出ていたので、その延長線上みたいな感じに仕上がってました。木原敏江の外見評は、へえという感じ。山岸涼子天人五衰』否『天人唐草』は読んでるはずなのですが、まったく思い出せません。なんかよくない記憶のフタが開くとも思えないのですが、なぜだろう。

樹村みのり作品はほとんど読んでませんが、この人が登場することで、ある程度年配の読者に対して、ピリッとシメてる気がします。

抒情的なトーンを多用してるからかもしれませんが、とりのなんこ手法というか、なんとなく散文を撒いてトーンのあるコマで〆、余韻が残るでかんわ、みたいな21世紀の一大潮流を本作も踏襲していて、別にそんなことしなくてもとは少し思いました。これやりだすと多分止まらなくなるのではないでしょうか。ラクなので。

頁55に、くらもちふさこが、蘭丸バンドにすると藤丸バンドに似すぎるからブルーアップルというバンドにしようとしたが、サソウサンが蘭丸団にしたらと言ったので、蘭丸団にしたというエピソードがあり、リアル蘭丸はこの後出てきた人物なんだなと思いました。本能寺で死んだほうとは別に。藤丸バンドは知らなかったので検索しました。

藤丸バンド Fujimaru Band - I Know It’s Gonna Last - YouTube

60代同人グラフィティも見てみたい気がします。娘がいたら巻き込んでいるが、もう別人格なのでそうそうマンガに出せず、それでそのジャンルは成立しないのかもしれません。以上

*1:だいさんばしと読んでましたが、おおさんばしだとか。湯桶読み